外国語サービス会社の営業担当者心得

外国語サービス会社の営業担当者心得

 

営業担当者は会社の代表であり、ほとんどの場合お客様が最初にコンタクトするのは営業担当者なので、その対応がその後のビジネスの成否の大半を決めるといっても過言ではありません。

また、問い合わせてくるお客様は皆、なんらかのお困りごとを抱えています。つまり、お問い合わせの目的は「お困りごとを解決すること」です。

それでは、外国語サービス会社の営業担当者はどのようにしてお客様のお困りごとを解決しているのでしょうか?

本記事では、翻訳会社の営業担当者の役割や心得についてご説明します。

営業担当者の役割

言うまでもなく営業担当者の最大の役割は「お客様のお困りごとを解決するための水先案内人となること」です。

前述のとおり、お客様が問い合わせてくる目的は「お困りごとを解決すること」です。あなたの会社や組織が提供する製品やサービスがその解決方法になるのではないか、そう考えて問い合わせくるのです。

直接的に解決に導くのは製品やサービスであっても、最適な解決方法を一緒になって考え、提案し、そこへ導き、そしてお客様に発注という決断を促すのは営業担当者です。

よって営業担当者にはお客様のさまざまなお困りごとに対応するだけの、十分な知識や経験、提案力そして、気配りや心配りが求められます。

  • どんなことでお困りなのか
  • 潜在的な問題はなにか
  • お客様は何に期待しているのか
  • お客様さえ気付いていない解決法はないか

 

といったことを常に忘れることなく、お客様のお困りごとに真摯に向き合い、ときには仲間のように、ときには師のように寄り添いながら、自社製品やサービスのプロとして、お客様に感謝してもらえるような対応をする。それこそが営業担当者の役割です。

翻訳や通訳など、外国語サービスを提供する会社に問い合わせてくるお客様のお困りごとは「外国語への対応」です。よってその解決方法は「外国語に関するあらゆる問題に対応すること」です。

しかし、お問い合わせの本当の目的は、外国語対応という問題を解決したあと、つまりその先にあります。

翻訳であれば「翻訳した結果に求める成果」であり、通訳であれば「通訳によって成立したコミュニケーションによって得られるもの」がお客様が問い合わせてくる本当の目的なのです。

よって外国語サービスを提供する会社の営業担当者は、外国語に関するあらゆる問題を解決したあとにお客様がどのような成果を期待しているのか、そこまで考えた上で、または考えながらお客様のお問い合わせに丁寧に対応する必要があるのです。

営業担当者が通る工程

外国語サービスを提供する会社の営業担当者が通る工程は主に次のようなものです。

  1. 問い合わせ対応
  2. 打ち合わせ(メール、電話、面談)
  3. 見積提出(料金、納期、内容説明)
  4. 発注対応
  5. 内部打ち合わせ(制作スタッフ、リソース選定、アサイン、仕様共有、申し送り等)
  6. 進捗管理(対応過程で生じる確認事項への適宜対応や納期遅れ防止)
  7. 納品(通訳の場合は通訳実施)
  8. お客様による検収管理(通訳の場合は実施状況の管理確認)
  9. 請求
  10. 代金回収(入金管理)
  11. 顧客管理(フォローや定期的なコンタクト、ご紹介促進など)

 

翻訳でも通訳でも外国語人材でも、外国語サービスに関するものはほとんどこの工程を経て完了しますが、翻訳の場合は案件が大型化したり専門特化するにつれ、通訳や外国語人材の場合はイベントの重要性や参加人数、内容の難易度によって、各工程がより綿密になっていきます。

よって外国語サービスを提供する会社の営業担当者には、前項に記した十分な知識や経験、提案力や気配り、心配りに加え、このように長期に渡るプロジェクトを常に俯瞰できる視野の広さも求められるのです。

決められたルートをあらかじめ用意されたマニュアルに従ってただ機械的に案内するのではなく、気候や気温、天気の移り変わりや交通状況、さらにはご案内するお客様の体調や気分までを考慮しながら対応する水先案内、と言えばわかり易いでしょうか。

営業担当者が確認すべきこと

外国語サービスを提供する会社の営業担当者が、お問い合わせくださったお客様に確認すべきことは主に次のようなものです。

翻訳サービスの場合

【絶対に確認すべきこと】

  • 翻訳対象(契約書、プレゼン資料、パンフレット、チラシ、HP等)
  • 翻訳言語(何語から何語への翻訳が必要なのか)
  • ボリューム(翻訳の元となる文書の文字数、単語数、ページ数等)
     ※電子ファイルの提供が可能な場合は翻訳会社側で確認
  • 希望納期

 

【より良いサービス提供のために確認すべきこと】

  • 翻訳の用途
  • 翻訳の目的
  • 翻訳に期待する成果(翻訳の品質ではなくその先にあるもの)

 

通訳サービスの場合

【絶対に確認すべきこと】

  • 通訳内容(何に関するどんな会議、打ち合わせなのか)
  • 通訳言語(何語から何語への通訳が必要なのか)
  • 通訳時間(日時および、通訳時間)
  • 通訳会場
  • 通訳方法(逐次、同時、オフライン、オンライン等)

 

【より良いサービス提供のために確認すべきこと】

  • 通訳の目的
  • 通訳に期待する成果(通訳の品質ではなくその先にあるもの)

 

外国語人材サービスの場合

【絶対に確認すべきこと】

  • 業務内容(翻訳、通訳、ケースバイケース等)
  • 必要言語(何語と何語の外国語スキルが必要なのか)
  • 時間(期間、日時、稼働時間)
  • 業務場所

 

【より良いサービス提供のために確認すべきこと】

  • 外国語人材サービスの利用目的
  • 外国語人材サービスに期待する成果(仕事の質ではなくその先にあるもの)

 

外国語に関するあらゆる問題を解決したあとにお客様が期待している成果に応えるには、これら以外にも多くを確認すべき必要があります。

【絶対に確認すべきこと】に加え【より良いサービス提供のために確認すべきこと】に挙げた内容以外にも、どんなことを、どれくらい詳しく、しつこく確認するか、それによって外国語サービスを提供する会社の営業担当者の力量が決まります

外国語サービスを提供する会社の営業業務は、そのほとんどをマニュアル化することが可能です。しかし、最適な情報を、最適なタイミングで提供し、お客様自身が気付いていなかった潜在的な問題にまで触れながら対応できる営業担当者はほとんどいません。

話は逸れますが、Google翻訳など機械翻訳(自動翻訳)がAIの活用によりその精度(翻訳品質)を飛躍的に伸ばしつつある今でも、マーケティングに関する文書などの翻訳については今後もプロ翻訳者による翻訳が必要と言われています。

なぜなら、いくら要件定義に時間を掛けたところで、それらの文書に必要不可欠なクリエイティビティを機械翻訳(自動翻訳)に求めることができないからです。

真の営業業務とはまさにそれと同じであり、従来の営業業務のほとんどを、従来より飛躍的に効率的に、短時間でかつ、漏れなく処理できるMA、SFA、CRMといったツールを以てしてもできない部分こそ営業担当者の存在価値なのです。

それは経験がものを言う職人気質な世界で時間をかけてようやく培われるものですが、「お客様のお困りごとを解決したい」「少しでもお客様の役に立ちたい」という純粋な思いさえ失わなければ、経験年数とともに自然に身に付けることができることなのです。

営業担当者に求められること

外国語サービスを提供する会社に問い合わせてくるお客様のほとんどは、外国サービスの内容はもちろん、その存在についてもご存知ないことがほとんどです。

翻訳(ほんやく)と通訳(つうやく)の違いをご存知ないことや、場合によっては翻訳会社や通訳会社の存在さえ知らない、またはこれまでに意識したことがない方がほとんどだということです。

また、提供しているサービスが外国語に関するもの、つまりテキストや会話といったコミュニケーションに関するものであり、製品や一般的なサービス(飲食など)のように良し悪しを決定付ける基準や比較対象が存在しないことも、いつまで経ってもお客様を外国語サービスに不慣れなままとすることに拍車を掛けています。

製品であればスペックや機能、飲食その他一般的なサービスであれば美味いかどうか、サービスメニューの豊富さやその内容によって他と比べたり、そのときどきの用途や予算、気分によって決めたり使い分けたりできますが、外国語サービスではそれが容易ではありません。

よってお客様の唯一の判断基準が価格(料金)になってしまうのです。それも「外国語サービスなど、どんな方法でも、どこの誰がやっても(提供されるサービスの)質は同じだろう」という誤った先入観に基づいて。

このような誤りを正し、最適な解決方法に導くことも、外国語サービスを提供する会社の営業担当者に求められることです。

それまで知らなかったことを教え、正しい方向に導くというその行為は、「早い、安い、美味い」といった売り込みではなく、例えると伝道者(エバンジェリスト)のようなものです。

外国語サービスはどんな方法でも、どこの誰がやっても(提供されるサービスの)質は同じ、ではありません。方法や、どこの、誰が、やったかによってその掛け算の答えと同じ数の結果になるのです。

また、外国語サービスのほとんどは、成果の最大要素である「品質」と「価格」が正比例するものです。つまり、安価な外国語サービスは総じて提供されるものが低品質であり、その逆も然りということです。

安いと悪い、高いのが良い。美味いのが良くてそうでないものが悪い、といった相対論ではありません。朝、昼、晩といった違いやシーンで食事のメニューやそれに掛けることのできる費用が変わるように、PCやHDDを例に挙げればわかり易いと思いますが用途によって求められる製品のスペックが変わるように、外国語サービスもその目的や期待する成果によって上手に使い分ける必要があるということです。

よって外国語サービスを提供する会社の営業担当者は、外国語サービスに関して問い合わせてきたお客様に正しい情報を提供し、最適な方法を提案し、最良の成果につながる道すじを示さねばならないのです。

くれぐれもマニュアル通りにサービス料金を見積もって、高いか安いかだけでお客様の判断を促すような対応は慎まなければなりません。さらに高いと言われたら値引きして、といった安直な対応を絶対にしてはなりません。

なぜならそれは、自社の衰退につながり、外国語サービスの提供を生活の糧とする翻訳者や通訳者、外国語人材しいては外国語サービス業界全体の足を引っ張ることとなるだけでなく、なによりも(品質の低下に起因する)お客様の不利益につながるからです。

お客様から真の「ありがとう」をいただけない産業はもはや世の中に必要のないものです。乱暴な言い方かもしれませんが、価格以外の「お得感」をお客様に抱いていただけるようなサービスを提供することこそが、外国語サービスを提供する会社やその営業担当者の存在価値なのです。

まとめ

以上、「外国語サービス会社の営業担当者心得」でしたがいかがでしたでしょうか。

本記事は一見、外国語サービスを提供する会社の営業担当者に向けたもののようですが、良心的な業者の心づもり(姿勢)をお客様に少しでも知っていただければと思いお届けしました。

前述のとおり、外国語サービスにはその良し悪しを測る明確な基準がありません(工程、リソース、セキュリティやコンプライアンスなどについて基準化し、翻訳品質を間接的に保証するための要求事項を定めた国際規格「ISO17100」など、外国語サービスに関する一部の基準を除く)。

これは、同じ内容を説明する文章でも人によって書き方や表現の仕方が異なることや、その良し悪しを判断することの難しさ、を想像いただければおわかりいただけると思います。

つまるところ、外国語サービスとは嗜好品なのです。

食べ物を例にとれば、人によって辛さ甘さ、濃さ薄さ、量や温度などの好みが変わるように、同じ翻訳や通訳、外国語人材サービスでも利用者やシーンによってその評価は大きく変わるのです。

そのような無限の組み合わせから、成果につながる外国語サービスを選定することは、不慣れな人には決して簡単なことではありません。しかしそこにこそ、外国語サービスを提供する営業担当者のもっとも大きな存在価値があるのです。

外国語サービスを提供する営業担当者は、そのような重責を担っていることを忘れることなく業務にあたる必要があり、外国語サービスを利用されるお客様は、営業担当者にそのような姿勢が見受けられるかどうかを見極めることで、良い外国語サービス会社を見分けることができます。

成果につながる外国語サービスをお求めであれば、是非一度お問い合わせください。そしてそのご対応内容を以て、信頼に値するかどうかをご判断ください。

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