自動翻訳どれだけ使える?そのまま使って大丈夫?簡単にわかる方法

自動翻訳どれだけ使える?そのまま使って大丈夫?簡単にわかる方法

 

ほとんどの人が、日本国内で、日本人を相手に商売(取引)を行なっているこの日本という国では、残念ながら使われる機会も限られており、その認知度もいまだ高いとは言えませんが、Google翻訳を筆頭に自動翻訳(機械翻訳)の精度は近年かなり向上しています。

自動翻訳(機械翻訳)はどれほど使えるのでしょうか?

本記事では、「自動翻訳(機械翻訳)を使って良いかどうか」を簡単に判断できる方法についてお伝えします。

自動翻訳(機械翻訳)の現状

あらかじめ登録された単語をただ、Aという言語からBという言語に置き換えただけの、「てにをは」のおかしな、文法が破綻してしまっている文章を目にする機会も一昔前まではよくありましたが、今はそれほどでもないのは、AIの活用による自動翻訳(機械翻訳)技術の向上も一因としてその背景にあります。

自動翻訳(機械翻訳)の精度が飛躍的に向上した要因は、「翻訳エンジン」と呼ばれるその中心部にディープラーニング(深層学習)を導入したことにあります。 ディープラーニングとはAIがデータの特徴や構造を自ら学習し、解釈・分類する機械学習の手法ですが、簡単に言うと「人間の脳のように自ら判断できるになった」ということです。

自ら判断できるディープラーニングを自動翻訳(機械翻訳)に導入したことにより、従来のように単語を別の言語に「ただ置き換える」のではなく、「その前後関係や文章全体の流れから最適な単語に置き換えつつ、別の言語による文章を構築できるようになった」ということです。

その結果、文章としてもこなれた、滑らかなものが生成されるようになったことにより、「かなり使えるものになった」という評価に拍車が掛けられているのが現状です。

「一読するかぎりでは特に違和感のない、一見正しく思える、こなれた、滑らかな文章が生成されるようになったことにより、かえって翻訳ミスを発見し辛くなった」という意見も翻訳者にはありますが、それについてはまた別の機会にお話しします。

自動翻訳(機械翻訳)が向いているケース

しかしそれでもまだ、「自動翻訳結果を信用してよいのか?」「いつ、どのような内容であれば使っても問題ないのか?」と相談されることがあります。

当社ではお客様からのご注文に自動翻訳(機械翻訳)を使うことはありませんが、外国籍の翻訳者や海外の協力先、外資系企業の外国人担当者とのやりとりに於いては、必要に応じて自動翻訳(機械翻訳)を活用しています。

その経験から結論を述べると、「英語(もしくは他の日本語以外の言語)は読めるが書くのは苦手」という人には自動翻訳(機械翻訳)が向いています。正確には「英語(もしくは他の日本語以外の言語)を読んで正誤の判断はつくが、ゼロから作文するのは苦手」という人であれば、自動翻訳(機械翻訳)を上手く活用し、その効果を最大限発揮することができると考えます。

また、翻訳業界に居る者として誤解を恐れずに言うと、「商用でもある程度までなら機械翻訳で十分」と今では考えています。ある程度というのは、翻訳の目的や用途が「翻訳の成果が影響を及ぼす可能性の低い」「単なる交信」である場合です。

一方、定型のフォームがあったり、表現方法が決まっていたり、専門用語を使う必要のある文章や、読み手の共感を得たり、心を動かしたりする必要のあるメッセージ性の高い文章に自動翻訳(機械翻訳)を用いるのは、残念ながら時期尚早です。

定型のフォームというのは、その文章特有の書き方が決まっているということです。公式なビジネスレターや申請書などが代表的です

表現方法が決まっているとは、たとえば日本語の場合はかならず「である調」にしないといけないとか、英語の場合は英国式である必要があるとか、といったことです。契約書や対象国の商習慣に基づく必要がある文章などです。

メッセージ性の高い文章とはマーケティングに使われるものです。ホームページが最たるものですが、チラシ、パンフレットその他にもプレスリリースやニュースリリース、ゲームやアプリなど該当します。

自動翻訳(機械翻訳)を使うかどうかの判断基準

ディープラーニングにより文章の特徴を捉えて判断できるようになったとはいえ、自動翻訳(機械翻訳)が行なうのは「機械的な言語変換」であることに変わりはありません。元の文章にない単語を新たに加えて別の言語に置き換えたり、行間を読んで翻訳したり、また、文章から溢れ出る書き手の熱意や思いといったものは、自動翻訳(機械翻訳)には処理し様がないのです。

よって一言一句を機械的に置き換えていくような直訳調の翻訳でよければ、自動翻訳(機械翻訳)を使うことは効率的と言えます。しかしここで問題になるのは、日本語特有の「ハイコンテクストな文化」です。

コンテクストとは「文脈」のことですが、日本語は世界中の言語のなかでも圧倒的にハイコンテクストな言語と言われています。一方、もっともローコンテクストな言語は英語と言われています。

コンテクストを「文脈」ではなく「含み」や「行間」とするともう少しわかり易いと思いますが、ハイコンテクストは「含みが多い、行間を読む必要がある」ということであり、ローコンテクストは「文章として書いてあることがすべて」ということです。

コンテクストの高い低いは、その言語を使う国や地域に住む人が社会的、文化的にどれほどの共通基盤を持つかによって決まると言われています。つまり、「同じ人と長く一緒にいれば、言葉にせずともお互いにある程度意思の疎通が可能である」場合、文章はハイコンテクストになり、そうでない場合はすべてを文章として明示する必要があるためローコンテクストになる、ということです。

別の言い方をすると、人(民族)の出入りが激しい国ではローコンテクスト、そうでない国ではハイコンテクストに自ずとなることはおわかりいただけると思いますが、日本語から英語へ翻訳する場合、もっともハイコンテクストな言語からもっともローコンテクストな言語に変換することになるのです。

これはつまり「そこに書かれていないことまで読み取る必要のある文章」から「何もかもが書かれていないといけない文章」に変換するということですが、この一文だけでも翻訳の難易度は想像いただけるのではないででしょうか。

以上のことから、機械的な言語変換で事足りる文章については、自動翻訳(機械翻訳)を積極的に活用して良いでしょう。時間とコストの面からもむしろそのようにすべきです。ただしそれ以外の文章についてはやはり、プロ翻訳者が翻訳したほうが良いでしょう

さらに言うと、機械翻訳を使うかどうかのもっとも簡単な判断基準は、「翻訳の品質で機会損失して良いかどうか」です。そして、絶対に避けていただきたいのは「機械翻訳結果を鵜呑みにして使うこと」および、「素人の人間翻訳を使うこと」です。

そもそも何のために翻訳するのか

「とりあえず読めればいい」という文章は誰も読んでくれません。読み辛い日本語の長文に出会ったときの自分の姿や感情を思い浮かべてみればすぐにわかることです。また、読んでもらわなくても結構、外国になってさえいれば良い、といった文章はそもそも翻訳する必要などありません。

逆説的に言うと、文章は読むためのものです。「自分または、自分以外の誰かが読まない文章は存在価値がない」といっても過言ではありません。文章そしてその翻訳は、読んでもらえてその成果を発揮して初めて価値あるものになるのです。

当社に翻訳をご依頼いただくお客様にはかならず、翻訳の「用途」と「目的」をお聞きするようにしています。そしてそれらをヒアリングしながら、お客様が「翻訳に期待する成果」を長年の経験と実績に基づいて想像、推測した上で翻訳を行なっています。

「翻訳に期待する成果」とは、「高品質な翻訳」や「美しい外国語の文章」といった学術的な結果ではありません。「翻訳することによってどのような成果が出ることに期待しているか」ということです。

ビジネス文書であれば、期待する成果はビジネスの成功です。売上や利益、販路や商圏、取引規模の拡大といったことがそれに値するでしょう。レポートや資料であれば、その内容を正しく理解、反映することによる研究結果とそれがもたらす技術進歩やより良い社会の実現かもしれません。

いずれにせよ、翻訳を行なうのはそれに期待する成果という最終目的があるからですが、自動翻訳(機械翻訳)にはそのような依頼者の思いを翻訳に反映させることはできません。端的に言えば「そこ(翻訳の元となる文章)に書かれてあることがすべて」であり、「そこに書かれていることをできるかぎり誤りなく別の言語に変換することで精一杯」なのです。

自動翻訳(機械翻訳)と翻訳者による人間翻訳を正しく使い分ける

よって翻訳に於いて大切なのは、「用途」や「目的」、「翻訳に期待する成果」に応じて翻訳方法を使い分けるということです。

Google翻訳やDeepLに代表される無料の自動翻訳(機械翻訳)、翻訳会社や一部メーカー、機関が開発、販売している有料の自動翻訳(機械翻訳)、自動翻訳(機械翻訳)したものを翻訳者が手直し(修正)するMTPE(エムティーピーイー=ポストエディティング)、オンラインで翻訳者に直接依頼できるクラウド翻訳(翻訳マッチングサービス)、そして当社のサービスの中で最も注力、ご提供しているプロ翻訳者による最高品質の翻訳まで、現代ではさまざまな翻訳方法が存在します。

これらのなかから、翻訳の「用途」や「目的」、そして「翻訳に期待する成果」に最適な方法を選択し、都度使い分けることが肝要であり、「自動翻訳(機械翻訳)で十分かどうかを判断する」のはその一過程に過ぎません。

危険なのは、翻訳など「誰がやっても」「どこでやっても」「何でやっても」同じではないのか?と考えることです。同じではないのです。翻訳はクリエイティビティが大きく反映される作文であり、方法に乗じてそれを行なった人の数だけ異なる結果が出るものなのです。

最後に、自動翻訳(機械翻訳)は電卓ではありません。電卓のようにどこのメーカーのどの機種を使っても同じ結果が出てこないだけでなく、同じメーカー(供給者)の自動翻訳(機械翻訳)を使っても、使用する度に異なる翻訳結果になることさえあります。

よって繰り返しになりますが、それを使った結果の正誤の判断がつくのであれば、先の例で言えば「英語を読んで正誤の判断はつく」のであればある程度までは絶大な効果を発揮してくれる素晴らしい発明であり技術です。しかしそうでない場合や、翻訳に期待する成果に直結する、最適な翻訳方法の検討を必ずするようにしてください。

まとめ

以上、「自動翻訳どれだけ使える?そのまま使って大丈夫?簡単にわかる方法」でしたがいかがでしたでしょうか。

余談ですが、「自動通訳」「同時翻訳」などの根幹にあるのはすべて自動翻訳(機械翻訳)です。その刺激的な宣伝文句によりまるで夢のツールのように思われがちな自動翻訳(機械翻訳)ですが、実態や現状はここまで述べてきたとおりです。

当社では、自動翻訳(機械翻訳)を「車の自動運転」に置き換えて考えてみることをよくお勧めしています。自動運転技術の進歩発展には目を見張るものがありますが、もし目の前に自動運転技術を誇る車があり、乗ってみることを勧められたら、あなたは全幅の信頼を寄せて乗り込むことができるでしょうか?目的地まで身を預けることができるでしょうか?

そこに感じる身の危険や不安と同じものを、自動翻訳(機械翻訳)の利用を考える際にもぜひ持つようにして、正しく判断するようにしてください。

そしてもし判断が付かないようでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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