【機械翻訳】の正しい使い方

翻訳外注ノウハウ

最近の自動(機械)翻訳のクオリティの高さには驚かされます。

最高峰のプロ翻訳者による高品質な翻訳サービスを提供している会社としていかがなものかもしれませんが、無料の自動(機械)翻訳は当社も毎日使っています。

もちろんお客様からご注文いただいた翻訳は経験と実績豊富なプロ翻訳者が行なっており、自動(機械)翻訳は一切使っていません。

海外に外国語で発信する自社の宣伝・サービス・その他有益情報をSNSに投稿するときや、外国の取引先とメールでやりとりをするときに自動(機械)翻訳を使ったりするのです。

しかし自動(機械)翻訳には、その利用にあたり注意すべき点が多々あります。本記事では、自動(機械)翻訳の正しい使い方についてご説明します。

自動(機械)翻訳はあなどれない

  • うわ、結構ちゃんと訳してるなぁ
  • Wow, that’s a pretty good translation.
  • 哇,那是一个相当好的翻译。
  • なるほど、こんな風に ,(カンマ)でダラダラとつないでいいんだ
  • I see, you can string them together with commas like this.
  • 我明白了,你可以像这样用逗号连接它们。
  • え?もしかしてコンテクスト(文脈)読み取って(予想)変換してる?
  • What? Are you reading the context and converting it?
  • 什么,你在阅读(预测)上下文并转换它?

当社がよく使っているのはDeepL(ディープエル)という翻訳アプリです。PCのブラウザーでもスマホのアプリでも使えます。

Google翻訳を使った時期もありますが、いろいろと使ってみた結果、翻訳結果が良いと思えるDeepLをそのサービス開始からずっと使い続けています。

このDeepL、さすがに「世界一高精度な翻訳ツール」と宣伝するだけのことはあります。巷にはびこる「AIに仕事を奪われる論」もあながち嘘ではない、と思うほどです。

ちなみに、上の例文は最近の自動(機械)翻訳結果に対する私の感想(心の声)ですが、日本語の下に記載した英訳と中国語(簡体字)訳は、DeepLで翻訳したものです。

それぞれの言語がおわかりの方は同意いただけると思いますが、すでに「まったく使えない」レベルからは脱しているだけでなく、その翻訳レベルの(意外な)高さに驚くほどの実力があることは、翻訳業界に居るものとしても素直に認めざるを得ません。

自動(機械)翻訳で便利なこと

尚、本コラムを執筆している私、翻訳会社のスタッフ(営業担当)ではありますが翻訳者ではありません。英語に限って「平均的な日本人より少し上」または「英語ができると言われる人の最下層レベル」だと思います。

字幕なしの洋画を観た場合、台詞の理解度はおそらく6割くらいです。読むことと書くことでは読むほうがちょっとマシ、聴くのと話すのでは聴くほうがだいぶマシ、くらいだと思います。アジアで困ることはほぼありませんが、米国でノンネイティブとは問題なくとも、ネイティブとの会話では油断すると置いていかれる。

そんなレベルですので、翻訳や通訳を生業としている翻訳者や通訳者、海外生まれ海外育ちのネイティブ、そして当社の制作部門にいるスタッフと比べると、外国語の習得・運用レベルはその足下にも及びません。

わかり易くいうと「ちょっと英語のできる営業職」というレベルです。そんな私にとって、白紙にいきなり英文を書き(タイプし)始めるのは決してラクではありません。

母国語である日本語の文章を頭に浮かべ、頭のなかで推敲し、今度はそれを頭のなかで英訳し、そこでようやく書き(タイプし)始め、書い(タイプし)た英文を何度も読み返して簡潔明瞭にしていくというプロセスを毎度たどるわけですが、英作文に関わるあいだは脳を酷使して血糖値が下がっていることが自覚できるほどです。

しかしこの一連の作業を、自動(機械)翻訳は一瞬で行なってくれます。私にとってもっとも面倒な、英作文の「土台作り」を一瞬で行なってくれるのです。そして私がすべきことは、自分が得意とする「読む」能力を生かして正誤の判断をし、誤っていると思われる場合は調整するだけです。

これは本当に便利です。そして助かります。さらに「自分だったら絶対こんな訳し方はしないだろうな」という気付きもたくさん与えくれます。それが冒頭のような感想または、感動として現れるわけです。

また、「辞書を引く」労力から解放してくれたのも、私にとっては自動(機械)翻訳の偉大な功績です。

辞書のように単語を調べることで出会うイディオム(慣用句)や熟語、例文といった関連情報が目に入らなくなるという点は残念ですが、「翻訳する」という目的に一直線に向かう上で、最適な単語を当ててすべてを一瞬で翻訳してくれる自動(機械)翻訳は便利この上ないものです。

自動(機械)翻訳で気になるところ

ただ、素晴らしいな、便利だな、助かるな、と思いつつ使いつつ、どうしても次のようなことが気になってしまいます。

  • 翻訳が正確かどうかを、ユーザーはどうやって判断してるんだろう?
  • 正確かどうかは、外国語ができる人にしか判断できないんじゃないか?
  • つまり、もともと外国語ができる人にしか、ちゃんとした使い方ができないんじゃないか?

最近よく耳にする「車の自動運転」に例えてみるとわかり易いかもしれません。仮に自動運転で間違ったところに連れて行かれても、乗っている本人が車を運転することができなければ、自力で目的地にたどり着くことができないのではないか、ということです。

前述のとおり、私の場合は英語であれば何とか読んで正誤の判断ができます。日本語→英語に翻訳したもの、英語→日本語に翻訳したものも「美しい文章かどうか」「表現として適切か」などはさて置き、正確に伝わるかどうかの判断は付きます。

しかし中国語の場合はわかりません。それ以外の(英語を除く)言語についても同様です。ちゃんと翻訳してくれたかどうか、私にはまったくわからないのです。

このようなことが気になるようになったのは、そのクオリティの高さに驚きつつも、残念ながらまだ自動(機械)翻訳した結果(私の場合は英語)にミスが散見されるからです。

ミスと言っても「本当はこんな風に翻訳して欲しかったのに…」といった要求レベルの高いものから、

  • なぜか同じ内容を二度も翻訳している(出力された文章が重複している)
  • 一文節まるごと無視されている(翻訳されていない)
  • 文章が勝手に切られたり繋がったりしている

といったレベルの低いものまでさまざまです。言うまでもなく前者は使用するに値しますが、後者は使うことができません。

使えないものを生成しているという点についてはまだ、「自動(機械)翻訳が発展途上にあること」や「その今後の進歩に期待して」温かい目で見守ることはできますが、使えないものを完璧であるかのように宣伝したり、それを鵜呑みにして使っている(自動(機械)翻訳結果を公に晒している(公開している))のを目の当たりにすると、私が気にしている点、つまり「もともと外国語のできる人でないと、生成した翻訳文が正しいがどうかがわからない」というのが自動(機械)翻訳の最大の弱点であるのではないかと思ったりもしています。

自動(機械)翻訳は万能ではない

つまり自動(機械)翻訳は「言葉の壁をすべて取り払ってくれる魔法のような道具ではない」ということです。

今の自動(機械)翻訳をその精度からできるかぎり正確に表すとそれは「(従来のような単語単位でなく)文章という長文用の辞書」あたりではないでしょうか。

ゆえにその結果に過度の期待を寄せるのではなく、ましてや全幅の信頼を置くのではなく、「万能ではないのだ」とまずは理解することが自動(機械)翻訳を使う上で大事なことだと思います。

「変な翻訳」「笑える翻訳」などと題してSNSでもよく見かける自動(機械)翻訳を使った結果ですが、変だとか笑えるとか言ってホッコリしていられるのは、それらの多くが人命に関わることもなく、ビジネスの成否を決めるわけでもない、取るに足らない内容についてだからです。

しかし行政から在留外国人へ向けたメッセージに誤りがあっては、彼ら彼女たちに多大な不利益が発生するでしょうし、外交に関する資料であれば無用な摩擦を生むかもしれません。

また、自社製品・サービスを宣伝したり大きな案件の契約のためであれば、ビジネスの成果につながらないだけでなく、かえって足を引っ張ることになるかもしれません。

いずれにせよ自動(機械)翻訳は、薬のように「正しい使い方」をすることが何よりも大切です。

薬局に入って棚に並んだ薬品のひとつを適当に服用して、効き目がないだけならまだ良いですが、場合によっては最悪の事態に陥る可能性があることをわかった上で使う必要があるということです。

自動(機械)翻訳の便利な使い方

このように気になる点がまだあったり、決して万能ではない自動(機械)翻訳ですが、その存在意義は決して小さくありません。

AI技術の進歩に伴ないその精度を増した自動(機械)翻訳は現代のインターネット社会に必要不可欠なものとなり、携帯通訳機やホームぺージの自動多言語化ツールなどあらゆるシーンで活躍しています。

また、従来はすべて人が行なっていた翻訳でも、前述の私の使い方同様、「作文(翻訳)の土台作り(一次翻訳または、粗訳)に使う」という新たな翻訳手法が生まれました(※自動(機械)翻訳したものを翻訳者が手直しする、ポストエディット(MTPE)と呼ばれる手法)

つまり、繰り返しますが自動(機械)翻訳は「使いよう」なのです。自動(機械)翻訳は上手く使えば、低コスト、短時間、最低限の労力で、翻訳する目的やそれに期待する成果を生み出してくれるのです。

そして自動(機械)翻訳を上手く使うには次のような方法が有効です。

翻訳文を修正するのではなく、原文を修正する

自動(機械)翻訳した結果に違和感がある場合は、翻訳結果ではなくその元とのなった文章(日本語→英語翻訳の場合は日本語)に修正を加えると改善されることが多いです。

たとえば日本語と英語では、文法だけでなくコンテクスト(文脈)などその性質が大きく異なるため、翻訳がおかしい原因はその元となった文章にあることが多いものです。

よって翻訳結果よりも元の文章を修正したほうが、期待した翻訳結果になる可能性が高まります。

原文に主語を入れる、一人称、二人称を入れる

普段あまり意識することがありませんが、日本語の文章には「主語」がない場合が多いものです。一方、英語ではほとんどの場合、「主語」を明確に文章に含めます。

この違いから、元の文章が日本語の場合はそこに「主語」を加えることで、期待した翻訳結果になる可能性が高まります(述語を加えることも同様です)。また、一人称や二人称、三人称を文章に加えることも、「主語」を加えることと同様に有効です。

長文を複数の短文に変える

「読点(、)」が多用された長い文章は、その作成にも文章(作成)力が問われるものであり、自動(機械)翻訳をミスリードする原因となります。

公文書や保険の約款を思い出すとわかると思いますが、長文では主語と述語が曖昧になり「何が書いてあるのかわかりづらい」といったことになりがちです。

ゆえに、長文の場合はいくつかの短い文章に切って分けることで、期待した翻訳結果になる可能性が高まります。

ひらがなではなく漢字を使う(日本語の場合)

複数の漢字に該当するような文言をひらがなで入力すると、自動(機械)翻訳は判断に迷い、誤訳につながります。同音異義語を思い浮かべてください。

自動(機械)翻訳の弱点は、コンテクスト(文脈)を反映することが難しい、つまり「文章の前後関係からこの漢字に当てはまることを述べている」といったことが判断できないことです。

ゆえに、漢字があるものはできるかぎり漢字で入力することで、期待した翻訳結果になる可能性が高まります。

これら以外にも「慣用的な表現を避ける」「オノマトペや擬音語は使わない」「時制を明確にする」などいくつかのコツがありますので、「機械翻訳_コツ」といったキーワードで検索してみてください。

まとめ

以上、「【機械翻訳】の正しい使い方」でしたがいかがだったでしょうか。

自動(機械)翻訳の進化は素晴らしく、それを使った新たなサービス、翻訳手法が次々に誕生しています。

数十年後、十数年後、いや数年後にはさらに進化を遂げ、もしかしたら国民的漫画に登場する未来の秘密道具「コンニャク」に近いものができるかもしれません(AI研究者によるとそれは無理であるという記事をどこかで読んだ記憶はありますが)

いずれにせよ科学の発展は素晴らしいことだと思います。ただし、科学の力は使い方を誤ると大きな痛手となって人類に襲い掛かるものであることは歴史が証明しています。

「たかが翻訳」と思われるかもしれませんが、世の中のあらゆることはコミュニケーションから生まれるといっても過言ではなく、言語の異なる国のあいだで適切にコミュニケーションを図るには翻訳は欠かせない存在です。

科学も翻訳も自動(機械)翻訳も、その元となるものや使い方、使い道によって結果が大きく変わることを念頭に、そしてそれは(今はまだ)決して万能ではないことを忘れず、正しく使うようにしてください。

最後に、もし自動(機械)翻訳の正しい使い方について不明な点があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせボタン