「翻訳とは、ある言語で書かれた文章を別の言語に置き換えることである」と定義されています。人間による翻訳とは何か、なぜそれが重要なのか、疑問に思っている方のためにこのコラムをご紹介します。
人間による翻訳には"通訳(行間を読むこと)"が必要です。なぜでしょうか?
それは原文と訳文を一字一句同じにすることはできないからです。そして仮に直訳してもそれが原文の意味を丸ごと変えてしまうこともあるからです。
文書翻訳で重要なのは、元の文書(原文)に含まれるものと同じメッセージを別の言語で伝えることです。
※本コラムはDay Translations社のコラムを元にお届けします。
人間翻訳とは何か、なぜ重要なのか?
自動翻訳(機械翻訳)もありますが、書籍、法律文書、マニュアル、製品情報、ウェブサイト、個人文書、雑誌、手紙、広告など、あらゆる文書を翻訳するにはやはり人間による翻訳が最適と言えるでしょう。
なぜなら、人間が翻訳することで「文章の翻訳に必要なすべてのプロセス」を網羅することができるからです。
自動翻訳(機械翻訳)はひとつの言語から別のものにテキストを翻訳するだけです。
しかし、人間の翻訳者は文法、慣用句、慣習、そして何よりも元の文章の文脈を考慮しながら別の言語に翻訳し、元の言語にできるだけ近い意味を保持することができるのです。
翻訳プロセスを理解する
翻訳は、科学的な計算や知能を持った機械にプログラムできるような数式ではなく、人間にしかできない複雑な作業であり、その作業はプロの言語学者(リンギスト)や翻訳者(通常はネイティブスピーカーまたは対象言語を広く学んだ人)にしかできません。
彼らは元の文章に「精神や意味」が含まれると捉え、翻訳対象の読者に適した語調と文体で翻訳します。
翻訳後のチェック作業は、翻訳した翻訳者とは別のプロのチェッカー(翻訳者)が担当しますが、チェッカーは翻訳者の訳文を専門的な表現に合うように修正し、洗練させ、完成させます。
句読点や文法など、対象言語特有の表現が適切に含まれているかどうかも確認します。
翻訳者による翻訳、チェッカーによるチェック後は、プロジェクトマネージャーが最終確認し、正しいフォーマットでお客様に納品できるようにしますが、これら三つのステップを経て、元の文章に忠実なメッセージ、スタイル、トーン、そして翻訳後の言語での描写が実現されるのです。
人の言葉の複雑さ
人の言葉は、数学の方程式とは似て非なるものです。人の言葉には表現がつきものです。 そして翻訳では、その表現を文脈や意味を考慮した上で別の言語にする必要があります。
ほとんどの言葉は「意味合いや様々な感覚のようなもの」を含んでいます。翻訳する際は、それらを考慮した上で効果的にスタイル(文体)や言葉を選択しなければなりません。
同じ「赤色」を指す英語でも、スカーレット(やや黄味の赤)とクリムゾン(濃く明るい赤色)は違いますし、グレーは単に白と黒を混ぜただけではありません。
言葉の選択肢と複雑さはすべての言語で同じです。翻訳者はメッセージを効果的に伝えるために最適な言葉を選ばなければなりません。
つまり、翻訳者には創造性と幅広い経験の両方が求められるのです。また、ドキュメントの翻訳形式もはひとつだけではありません。
翻訳の正確性を確保するためにどのような判断をするかは翻訳者次第ですが、専門家による検討とレビューといった品質管理も求められます。
これらのことから、人間の翻訳の正確さと質は自動翻訳(機械翻訳)では実現不可能なのです。
翻訳は体系的なプロセスの産物であり、正しい選択肢を選ぶことができる人間の翻訳者の専門的かつ、特殊なスキルの応用を以てようやく成立するのです。

人間翻訳の需要
「翻訳は、機械的な単純作業である」という誤解を解く必要があることを理解してください。現時点ではまだ、機械が人間の翻訳者の仕事を引き継ぐことは不可能なのです。
いくら世の中に翻訳のニーズが多いといえでも、自動翻訳(機械翻訳)を使うという選択肢は本来あってはならないものなのです。
翻訳の誤り(誤訳)は、企業の評判に深刻な影響を与える可能性があります。実際に多額の金銭的損失を被るケースさえあるのです。
世界中のほとんどの産業で翻訳のニーズはあります。
医療分野に於いていくつかの医療メモや記録の翻訳を必要とすること同様に、法律機関でも翻訳されたステートメントを必要とするでしょうし、裁判手続き、裁判記録、請願書、宣誓証言は、法律分野の人々によって翻訳が必要とされます。
また、メディア、保険会社、金融会社、ウェブサイト運営会社などでは、何らかのかたちで翻訳業務が頻繁に必要となります。
そして、母国語が通じない国に移住する人は、パスポート、出生証明書、結婚証明書、離婚届、その他の個人的な文書の翻訳が必要です。
人間翻訳の重要性についてのまとめ
自動翻訳(機械翻訳)と人間翻訳の違いはとてもわかりやすいものです。そして、人間翻訳がいかに重要であるかの理由もおわかりいただけると思います。
自動翻訳(機械翻訳)は人間翻訳より低料金です。しかし、自動翻訳(機械翻訳)では「元の文書の本当の意味」を把握することはできません。
また、元の文書に含まれる感覚的な部分やそこに染み付いた文化を別の文化に適合させるための複雑な仕組みも、自動翻訳(機械翻訳)では伝えることはできません。
翻訳とは多くの変数に依存するものです。
言語や文法だけでなく、タブー、伝統、習慣、信念など、プロの専門家である人間の翻訳者でなければ理解、対応できないことが含まれるのが翻訳なのです。
最後に
AI技術の進歩に伴なう精度向上により、自動翻訳(機械翻訳)の進化には目を見張るものがあります。低コスト、短納期、そして何よりも便利で手軽という点で自動翻訳(機械翻訳)の貢献度の大きさは否めません。
しかしそれが果たしているのは現時点ではまだ「転換、置換」という作業であり、「表現、成果」という翻訳に本来求められるところまでは到達していないことは、業界関係者だけでなくユーザーであれば誰もが認めるところです。
翻訳は単なる言語転換ではなく、コピーライティングと同じような創造性が求められるものです。
元の文章に含まれる趣旨やその文脈を理解、そこを十分に汲み取った上で、置き換える言葉が存在しないこともある別の言語に変える必要があるのが翻訳です。
よって翻訳にもし文章としての成果や求めるのであれば、人間翻訳をお使いになることを当社は強くお勧めします。
ただし、繰り返しお伝えしているように、翻訳の目的(翻訳したものに求める成果)によっては、人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)を賢く使い分けることが肝要です。
まとめ
以上、「【なぜ翻訳は人間がすべきなのか?】それがなぜ重要なのか?」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。