今日の世界においては、国境を越えてビジネスを展開することがかつてないほど容易になりました。
テクノロジーによって世界中のクライアント、顧客、同僚と簡単につながることができ、スマートフォンによって人々は常に連絡を取り合うことができるのです。
しかし世界市場に参入するには、どのように進出するか、自社の商品をどのように管理するか、国際ビジネスにどれだけのリソースを投入するかなど、企業は前もっていくつかの決断をしなければなりません。
※本コラムはbiz fluentのコラムを元にお届けしています
目次
世界規模のビジネス展開
世界規模のビジネスであればどれも同じではありません。企業はいくつかの異なる方法から選択の上、事業を展開することができます。
もちろん世界規模のビジネスを表すさまざまな呼び方には重複する部分もあり、今日のビジネス界ではどれも同じように使われることもあります。
しかし以下に示す「世界規模のビジネスに関する標準的な定義」は企業の国際戦略を差別化するのに役立ちます。
国際企業の定義
国際企業(インターナショナル・カンパニー)とは、他国への商品・サービスの輸出や販売に携わっているが、輸出(および/または原材料の購入などの輸入)以外には他国への投資を一切行っていない企業を指します。
国際企業の事業機能や本社はすべて本国にあり、貿易相手国には支社がありません。
これにより企業は意思決定プロセスを合理化でき、世界中に拠点を設けるコストや手間を省くことができますが、特定のグローバル市場に対する理解不足に悩まされることもあります。
国際企業の例
国際企業には以下のようなものがあります。
- パソコン、タブレット端末、携帯電話などの家電製品を製造する企業、アップル社。アップルは世界中で製品を販売していますが、本社とすべての製品開発はアメリカ国内にあります。
- ナイキは現時点ではグローバル企業と言えるかもしれませんが、国際企業としてスタートしました。ナイキブランドの意思決定はすべて米国内で行われ、ナイキの製品は他の国々に輸出されています。
- 地元の小さな企業でも他の国から材料を購入したり、製品を販売したりすることがあれば、厳密には国際企業と言えます。
グローバル企業と国際企業
グローバル企業とは、多国籍企業のように自らが選択した国に投資し、事業を展開している企業のことです。グローバル企業は通常多くの国に子会社を持っており、世界中に何十もの拠点があることになります。
ただしグローバル企業は、ビジネスを推進するための意思決定を中央の本社が行い、地域の文化や嗜好に関係なく、どの国でも同じ製品を提供する企業でもあります。
グローバル企業の各支店は販売促進のために製品のマーケティングをカスタマイズすることができますが、製品カタログ(ラインナップ)はどこも同じ内容です。
これにより企業は海外売上を管理し、効率化を目的とする統一した企業文化と商品の維持が可能になりますが、逆にこれは現地市場に合わせた(テーラーメイドの)製品を提供する機会を失うことになります。
グローバル企業には以下のようなものがあります。
- マクドナルドのレストランは世界中にあり、どの店舗でも同じメニューが提供されています。もちろん場所によってメニューはカスタマイズされ、その点では多国籍企業に分類されますが、高次元ではグローバルビジネスのように振る舞っています。
- ハイアットやヒルトンのホテルはどの国のホテルであっても、客室が同じであることが顧客にとっての魅力です。
多国籍企業の定義
多国籍企業(マルチナショナル・カンパニー)は、販売だけでなく、事業を展開する国々に事業所を持ち、その国での販売や輸入を管理します。
多国籍企業は通常、グローバル企業よりも対象国が少なくなっていますが、これは主に現地での製品提供の管理方法によるものです。
多国籍企業には本社がありますが、各国の支社がその文化に合わせて製品やマーケティングを多少ローカライズ(現地化)する役割を担っています。
多国籍企業では、本社はそのままで、各国の支社がその国の文化に合った製品やマーケティングを担当するため、異なる国である程度カスタマイズされた製品を提供できるというメリットがある一方、異なる製品を製造・管理しなければならない分だけ複雑さも増します。
多国籍企業には以下のようなものがあります。
- スターバックスでは、ほとんどのメニューが同じですが、地域の嗜好に合わせて提供するものを変えています。また、スターバックスは地域の文化に合わせて店舗をカスタマイズし、地域のお客様がより快適に過ごせるように異なる座席や設えを提供しています。
- ホンダは、本社は日本にありますが世界中に支店を展開しています。たとえばホンダのトラックはアメリカ市場向けに開発されるなど、商品ラインナップは国によって異なります。
越境企業の定義
越境企業(トランスナショナル・カンパニー)とは、新しい用語で、複数の国で大規模な事業を展開する企業を指します。
越境企業(トランスナショナル・カンパニー)のビジネスは、各支店が独自の意思決定権、独自の市場、独自の製品選択を持つため、非常に複雑になります。
このような世界規模の事業は最も柔軟で多様性に富んでいますが、その反面、合理的な管理と製品カタログ(の統一性)を犠牲にすることになります。
越境企業には以下のようなものがあります。
- ネスレは本社を置いていますが、運営や製品提供については海外支店が独自に決定します。
- ゼネラル・エレクトリック社は世界中に支社を持ち、その多くが独自の方針とビジネスの方向性を決定しています。
タイプの異なる企業の融合
今日のマーケットでは、多くの企業がこれまでに述べたさまざまな企業タイプの組み合わせで事業を展開していますが、これにより企業のグローバル戦略が従業員や顧客に不明瞭になることがあります。
ビジネスにおいては、提供する製品、実際にどの程度のカスタマイズが可能か、どの程度のリソースが利用可能か、会社のビジネス全体の方向性は何か、などを踏まえて戦略を決定する必要があるのです。
最近では、グローバル企業として成功するためにはある程度のローカライゼーション(現地化)がほぼ必須となっていますが、その程度はビジネスによって異なります。
地域経済への影響
こうしたグローバル化したビジネスは、地域経済に対してプラスにもマイナスにも作用します。
外国に事業を展開することで、その国に雇用が生まれ、地域経済の活性化につながったり、これまでアクセスできなかった地域に新しい製品を導入することで、製品によっては生活水準を向上させることができるのです。
また、グローバルビジネスは通常、規模の経済に基づいて運営される大規模なビジネスであり、それは製品がより手頃な価格で提供されることを意味します。
消費者にとっても、国際的なビジネスには多くの利点があるのです。
ローカルビジネスの定義
しかし多国籍企業が経済に影響を与える国際的なビジネスは、ローカル企業にとっては決してプラスにはなりません。
多くのローカル企業は価格帯のみならず、製品力や従業員の確保という点でも、グローバル企業には太刀打ちできないことに気付いていますが、これらローカル企業が閉鎖せざるを得なくなれば、地域経済にも悪影響を及ぼしかねません。
つまりビジネスのグローバル化がもたらす影響は、国際ビジネスを立ち上げる国や地域経済の状況により多少異なるということです。企業は投資する前に地域経済を理解する必要があるということです。
現代の企業にとっての世界市場進出は、新しい消費者に製品を提供し、自社の新しい収入源を確保するという点で成功のきっかけに思えるかもしれません。
しかしどの企業にとっても、世界レベルでどのようにビジネスを展開するかは課題であり、成功するためにはグローバルビジネスの方法を理解する必要があるのです。
まとめ
以上、「【国際企業 vs グローバル企業】定義と違い」でしたがいかがでしたでしょうか。
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