翻訳を自社内で行う(内製する)べきかアウトソーシングするべきか、という問いはいつの時代も存在し、担当者は常に「正しい」答えを考え続けています。

他の多くの産業同様、翻訳の需要は「不況により翻訳専門スタッフの雇用予算が限られる年」と「収益が上がって雇用を拡大できる年」のあいだで変動していますが、実際のところ「正しい」答えというものは存在しません。

すべてはそのときに翻訳を必要とする会社、その会社の能力、ニーズ次第なのです。

※本コラムはMadCap Software社のコラムを元にお届けしています。

アウトソーシングが適切なケース

多くの会社が翻訳のアウトソーシングを選択する理由は、翻訳が「断続的」に必要とされるからであり、年に数か月しか仕事がないのに翻訳者を社内に抱えてもコストに見合わないからです。

翻訳サービス市場は企業のプロジェクトをサポートするように作られており、サプライチェーンの合理化につながっているので、費用対効果や時間効率に優れています。

あなたの会社がビジネスを行っている場所やターゲット市場に於けるリストの変動、製品や販売される場所によって、サポートすべき言語が増えたり減ったりすることがあります。

よって柔軟な対応が可能な翻訳の仕組みを構築することは重要であり、これは翻訳を内製することを選択した場合の課題と同じです。

しかし、翻訳には「翻訳者の雇用」が必要と誰が決めたのでしょうか?ほとんどの翻訳会社は個人翻訳者と契約しているのです。御社も同じことができると思いませんか?もしそうお考えなら検討していただきたいことがあります。

  1. 自社ではどのような翻訳プロセスが必要なのか?
    • 一名の翻訳者だけで対応可能なのか?
    • もしくは翻訳者をサポートする編集者が必要なのか?
    • 異なるタイプのコンテンツに対応するための、複数名の翻訳者によるチームが必要かどうか?
  2. 何か国語に対応する必要があるか?
    • 小規模、単発プロジェクトのためにひとりの翻訳者を探すのは難しくありませんが、10名の翻訳者と10名の編集者が必要な大規模なプロジェクトになると、探すのはかなり大変です
  3. 翻訳に必要なインフラはなにか?
    • プロジェクトに複数の翻訳者が必要な場合、どのように連携し、一貫性のある、信頼できる翻訳を実現できるか?
  4. 翻訳の品質管理や翻訳工程のパフォーマンス測定はどのように行うのか?
    • 翻訳言語に精通していない場合、翻訳の品質をどうやって判断するのか?
  5. 翻訳完了後は、翻訳文書をどのように管理するのか?
  6. 翻訳にどれくらいの費用がかかるのかをどうやって知るのか?
  7. これらすべてを行う時間があるか?
    • 翻訳専門のプロジェクト・マネージャーを雇う必要があるか?

これらを考えることで、翻訳会社が提供する価値が見えてきます。翻訳会社は上記のすべてを行いますが、より良い翻訳会社はさらに次のようなことを行います。

  • お客様が属す分野に於いて豊富な経験を持つ、優秀な翻訳者を確保します
  • 信頼性の高い翻訳プロセス、ツール、管理インフラを提供します
  • プロジェクトに関する詳細な記録を保持し、更新にも容易に対応できるようにします
  • プロジェクト開始前に正確な価格と納期を提示します
【翻訳】を内製すべきかアウトソーシングすべきか

内製が適切なケース

前述のメリットにかかわらず、翻訳を内製するほうが合理的な場合がありますが、その理由トップ5は次のとおりです。

  1. 製品またはプロセスが複雑な場合
  2. ニーズが持続的に生じる場合
  3. 翻訳以外にも社内に言語スキルを必要とする幅広いニーズがある場合
  4. 対象言語が限定されている場合
  5. コンテンツの独自性が高い場合

それぞれについて以下にご説明します。

製品またはプロセスが複雑な場合

自社専用のツールを使用している場合は、プロセスが複雑になる可能性があります。

よってソフトウェア製品を作っている会社であれば、言語スペシャリストやプログラマーがいたほうが開発工程が効率的になるかもしれません。

ソフトウェアも種類によっては非常に専門的で複雑であるため、ユーザーインターフェースを翻訳する翻訳者が開発者のすぐ隣にいて、リアルタイムで質問や変更しながら翻訳を進めるほうがはるかに簡単な場合もあります。

ニーズが持続的に生じる場合

内製とアウトソーシングのどちらにするかを判断する上で、最も重要な要素は「翻訳の必要性の度合い」です。

年に数回しか翻訳する必要がないのであれば、翻訳者を雇用する意味はほとんどありませんし、自社で翻訳チームを編成した場合も、その管理コストは年に数回程度の案件では割高になります。

ただし、継続的に翻訳が必要なコンテンツが作成され、都度対応する必要があれば、翻訳者を雇用することが合理的かもしれません。

判断の目安は、1言語あたりの翻訳コストが、翻訳者を雇用した場合の給与、福利厚生を上回るかどうかです。

たとえば年収75,000ドル(約1千万円)の翻訳者の場合、1時間あたりのコストは約40ドル(約5,500円)ですが、これほど費用の掛かる翻訳会社はほとんどありません。

また、翻訳者を雇用すると設備、家具、消耗品など、他のスタッフと同様のコストが掛かりますが、翻訳者の場合は翻訳メモリツールや、辞書や機械翻訳エンジンなどのオンラインリソースの購読など、より専門的なソフトウェアが必要になることもあります。

翻訳者を雇用した場合はこのようなコストが必要であることを考慮に入れておく必要がありますが、フリーランスの翻訳者や翻訳会社に外注すれば、これらのコストは簡単に回避することができます。

翻訳以外にも社内に言語スキルを必要とする幅広いニーズがある場合

多言語対応が可能なスタッフがいると、翻訳以外の面でもメリットがあります(注:多言語対応可能な人がかならずしも有能な翻訳者というわけではありません)

多言語対応が可能なスタッフは、マーケティング、製品開発、国際的なカスタマーサポートなど、さまざまな活動で役立ちます。

社内に翻訳以外の言語ニーズがある場合は、言語スペシャリストやレビュアーを雇用しても十分割に合うでしょう。

対象言語が限定されている場合

もし、あなたの会社が特定の地域や言語だけでビジネスを行っており、継続的ニーズが見込めるのであれば、翻訳の内製は有効です。

しかしサポートする言語が市場の状況によって変わる可能性がある場合は、多言語に対応可能な翻訳会社(MLV、Multi Language Vendor)にアウトソーシングする方がより合理的です。

MLVは多言語対応のエキスパートであり、言語の変更にも対応できます。また、大規模なプロジェクトにも小規模なプロジェクトにも対応できる拡張性を備えています。

翻訳会社を利用する最大のメリットは、プロジェクト管理をすべて任せられることです。

大規模な多言語プロジェクトを管理したことがない人は、それに必要な労力を過小評価しがちなので注意が必要です。

コンテンツの独自性が高い場合

防衛産業や機密性の高い知的財産を扱う企業では、社内に翻訳スタッフを置くことが唯一の選択肢となる場合があります。

たとえば防衛関連企業の場合、政府のために働くすべての人はその国の国民であることが条件となる場合があります。

そのような場合に適切な言語および、技術的スキルを備えた人材を見つけるのは簡単ではなく、翻訳会社を利用するのはさらに困難が伴なうため、翻訳者を雇用したほうが成功につながる可能性が高まります。

フリーランス翻訳者ひとりで対応できるかどうかも判断基準に

翻訳者の雇用を完全に回避するために、一名ないし特定の翻訳者と契約することも、費用対効果の点では有効な方法と言えます。ただし、その場合も次のことを考慮に入れてください。

  • 翻訳者ひとりですべての作業をこなせるか?
  • その翻訳者は、公表に値する翻訳品質を担保できるだけのスキルを持っているか?
  • シングルパス翻訳(編集・校正を伴わない翻訳)に必要な品質が確保できる力があるか?
  • 翻訳プロセスの複雑化につながらないか?
  • フリーランス翻訳者に管理にどれほどの負荷が必要となるか?
  • メンテナンスはどのように行われるのか?

ご説明してきたとおり、翻訳の内製とアウトソーシングは企業幹部による判断を必要とする複雑な経営マターであるため、コストとメリットを徹底的に分析することが必要となります。

自社内での判断が難しい場合はお気軽にご相談ください。

まとめ

以上、「翻訳は【内製すべきかアウトソーシングすべきか】」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。

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