すべてのビジネスが求めるものはただひとつ、それは「成長」です。そしてその成長を実現するために、企業は国境を越えようとし始めています。
翻訳会社は言語や文化の壁を越えたコミュニケーションを可能にする、この目標のための主要なパートナーですが、その利用により具体的にどのような効果があるのでしょうか。
この記事では、翻訳を翻訳会社に委託すべき5つの理由と、翻訳サービスのアウトソーシングの仕組みについて説明します。さらに、アウトソーシングできる5種類の翻訳タスクも紹介し、その可能性の全体像をお伝えします。
※本コラムはTime Doctor社のコラムを元にお届けしています。
なぜ、翻訳会社へアウトソーシングするのか?
現代のビジネス環境を生き抜くために、企業はより機敏になり、自社が提供する商品、サービスで最大の成果を導き出すことに重点を置くようになっています。
言語の問題は本来そのようなカテゴリーに属するものではありませんが、グローバルで成長することを目指す企業にとって言語は無視できないのは間違いありません。
大手市場調査会社Common Sense Advisory(コモンセンス・アドバイザリー)の調査によると、消費者の65%が自国語のコンテンツを持つブランドとの取引を好み、40%がそうでないブランドからの購買を拒否しています。
このことからもビジネスのグローバルな成長にとって言語が重要な要素であることは明らかであり、企業は拡大戦略においては言語を考慮に入れておくことが望ましいと言えます。
しかし、言語の問題を自社で解決するには費用と時間がかかり、マンパワーも消耗してしまうため、翻訳をアウトソーシングすることになるのです。
翻訳をアウトソーシングすることで企業に於ける言語の管理がし易くなることは一般的かつ、最も明白なメリットです。
さらに、アウトソーシングがもたらすメリットはこれだけではありま せん。アウトソーシングには単にリソースの負担を減らすだけでなく、企業の成長を助けるという付加価値があるのです。具体的には次のとおりです。
自分でチームを作る必要がない
一般的には翻訳が必要な言語のペア(日本語と英語、日本語と中国語など)毎に翻訳者が必要ですが、翻訳者のチームを作るのは大変な作業です。
たとえばアメリカの会社がヨーロッパに進出する場合、英語からフランス語への翻訳者が必要となりますが、英語からドイツ語、英語からスペイン語などその地域によって言語毎の翻訳者が必要になります。
翻訳者は主に母国語と、長い時間をかけて習得したもうひとつの言語を使いこなすバイリンガルですが、なかには3か国語を使いこなすこともあります。
それ以上の数の言語ができるプロフェッショナルはめったにいませんが、いたとしても依頼料はかなり高額になるでしょう。
各言語のペア毎に最低ひとり、プロジェクトの規模によってはそれ以上の翻訳者が必要となりますが、実務に於いてはひとつの言語ペアに最低でも2人の翻訳者が必要であり、翻訳の品質を保証するために互いの仕事をチェックし合っています(ひとりの翻訳者が翻訳したものを別の翻訳者がチェックするといったかたち)。
もし自社で翻訳チームを作ろうとすると、このような翻訳者を一人ひとり探し出し、採用活動を行なう必要があります。
しかし、給与や福利厚生がよほど充実していない限り、多くの翻訳者は一社に縛られることなくフリーランスや翻訳会社との取引を希望するため、採用には長い時間が掛かることになります。
また、翻訳者を雇用すると各翻訳者が安定的に稼働する分の仕事量を確保する必要があります。翻訳者に仕事がなければ翻訳者を雇う意味がないもかかわらず、雇用していることで他のスタッフ同様に報酬を支払う必要があるからです。
しかし、翻訳をアウトソーシングすればそのような心配は無用です。翻訳会社はすでに様々な言語のプロの翻訳者と契約しており、お客様のプロジェクトに適した翻訳者を探し出すことができます。
また、長期的に見れば、翻訳のアウトソーシングはより大きな節約になります。
自社で翻訳チームを維持するにはコストが掛かりますが、アウトソーシングすればプロジェクト単位の支出となり、コストを節約することができるからです。
プロジェクト管理が容易になる
翻訳をアウトソーシングすると、社内で組成した翻訳チーム全体を維持する手間が省けるだけでなく、プロジェクト管理に人手を割く必要がなくなります。
また、社内で翻訳チームを組成するにもチームにはリーダーが必要であり、そのリーダーは適切な経験を積んでいる必要があります。そうでなければチームの能力を十分に発揮することはできないからです。
しかし翻訳会社なら、翻訳プロジェクトの各工程が適切に実施されるようにするためのプロジェクトマネージャーがおり、作業前の資料作成、翻訳作業、品質チェック、最終成果物の納品準備などすべてを行ないます。
翻訳会社では通常、お客様専任の担当責任者が割り当てられ、翻訳者を含む翻訳チームとのコミュニケーションはこの責任者が中心となって行ないます。
この担当責任者がプロジェクト全体を通してお客様の窓口となり、お客様のニーズをすべて把握し、高品質の翻訳をタイムリーにお届けするのです。
お客様は、担当責任者を通じて翻訳チームのマネジメントを行なうか、担当責任者と連絡を取りながら指示を出すだけでよいのです。
翻訳会社のお客様担当責任者は、すべての指示が効果的に伝達され、作業がそれに従って行われるとを保証するのです。
高額な翻訳ツールにお金をかける必要はない
デジタル時代になり翻訳という仕事も大きく進歩した結果、翻訳者には業界の要求ペースに追いつくために、これまで以上に大量の翻訳をより短い納期でこなすことが求められています。
このようなペースに対応するため、翻訳者はさまざまなツールを使って効率的に作業を行なっていますが、これらのツールはコンピュータ支援翻訳(CAT)ツールと呼ばれています。以下はその一例です。
- 翻訳メモリ
- 翻訳メモリは、すでに翻訳された単語、フレーズ、文章を格納したデータベースです。これにより、翻訳者は冗長な作業を避けることができるだけでなく、必要に応じて一貫性を維持することができます。
- 用語集管理ソフトウェア
- 企業特有の用語や、技術・科学用語など、特定の方法で翻訳する必要がある用語を整理するためのソフトウェアです。
- デジタル辞書
- デジタル辞書や類語辞典も、翻訳者が仕事をする上ですぐに参照できるようにするためのものです。
翻訳会社は当然、これらのツールに投資しています。また、翻訳者がより効率的に作業できるように最新のバージョンを使用するよう心掛けています。
自社内に翻訳チームを作る場合もこれらのツールに費用を掛ける必要がありますが、これらのツールは安いものではありません。よってこの点も翻訳をアウトソーシングすることの隠れたメリットと言えるでしょう。
翻訳者を直接雇用する場合は、それがフリーランサーであれ自社チームの一員としてであれ、高度なソフトウェアツールがなければ翻訳会社の翻訳者のような迅速な作業はできないでしょう。
翻訳をアウトソーシングすることで、その費用を負担することなく、これらのツールを利用した効率的な作業が可能になります。
プロフェッショナルな翻訳による、より高い品質の提供
信頼できる翻訳会社では、常に最高の言語プロフェッショナルである翻訳者をアサインして翻訳を行ないます。言うまでもなくそれは「評判」がすべてだからです。
企業がサービスを提供するとき、彼らはその屋号(社名やブランド)を以て行ないますが、競争の激しい業界では特に「評判」が同業他社の圧倒に役立ちます。
言語は非常に競争の激しい業界です。同じサービスを提供しようとする大小さまざまな企業が存在し、質の高いサービスを求める潜在的な顧客にそれぞれが良い印象を与えなければならないのです。
- 最適な翻訳会社の見つけ方
- 翻訳の品質に関して言えば、翻訳会社の規模がすべてではありません。
- たとえば業界最大手の翻訳会社は大量かつ、高価値のプロジェクトを数多く手掛ける傾向があるため、あなたの会社のプロジェクトには十分な注意を払っていないかもしれません。
- 品質と一貫性という点を強みとする翻訳会社は他にも多く、サービス提供に熱心なところも多いのでぜひ目を向けてみてください。
- 翻訳サービスの品質を確認したい場合は、Clutch、Trustpilot、Goodfirms などの認定レビューサイトで評価を確認することができます。Facebookも、企業のレビューを見つけるのに良い場所です。
- ランキングだけでなく、他のクライアントがどのようなことを言っているのかを確認することも重要です。
- 高い評価を得ている企業はたくさんあり、その中から選ぶのは難しいかもしれません。そんなときに決め手となるのが「お客様の声」ですが、それが多い会社は、良い意味で期待を裏切らないことが多いものです。
- とても満足している顧客は、そのサービスのどこが良かったのか、詳しく体験談を残していることが多いのです。これは様々な翻訳サービスを選択する上で貴重な情報となるでしょう。
- また、否定的なレビューにも注意を払う価値があるかもしれません。それらからは、その会社の潜在的な弱点を知ることができます。
- また、否定的なレビューに対して会社がどのように対応しているかも確認する必要があります。定型文、一般的な応答かどうか、手を差し伸べ、間違いを正すための真のステップを踏んでいるのか、といった点です。
- 後者は物事を正しく行なうことに関心があるということを意味するので、その翻訳会社のほうがより良いアウトプットを生み出す可能性が高いです。
- また、あなたが翻訳サービスに求めるものが明確な場合は、異なるレビューサイト間でクロスチェック(相互確認)することをお勧めします。
- つまるところ結果はさまざまですが、レビューサイトの評価やお客様の声を確認することで、翻訳会社に翻訳を依頼している人たちの、より広い範囲の声を知ることができるでしょう。
翻訳会社からの、より広い専門性の提供
翻訳者は単なる言語の専門家ではありません。翻訳者は言語の専門家であるだけでなく、他の分野についても深い知識がないと務まらないことがよくあります。
現代の翻訳者は法律文書、金融文書、科学論文などを扱うかもしれませんし、高度に技術的な翻訳やより創造的なセンスを必要とする翻訳をしなければならないかもしれません。
このようなスキルは翻訳者ごとに異なるものですが、優秀な翻訳者は専門分野を選んでそれを磨いてきたか、あるいは翻訳者になる前にすでにその分野での経験があった人が多いものです。
いずれにせよ翻訳者には、異なる分野を専門とする翻訳者にはできない、自分に最も適した役割があるのです。
ほかにもウェブサイトやアプリ、動画の字幕、広告など、言語が登場するさまざまなメディアに合わせて翻訳することも現代の翻訳者には求められており、メディアに最適な文章を書くことにもさまざまなノウハウが必要です。
このような専門性の高さが翻訳会社の大きな強みですが、翻訳会社はそれぞれの得意分野を持つ多様な翻訳者を抱え、お客様のプロジェクトに最適なプロフェッショナルを迅速にマッチングさせることができるのです。
お客様が自分自身の業務に集中できる
結局のところ、これが翻訳をアウトソーシングすべき最大の理由です。
アウトソーシングすることで余計な心配事を排除し、自社の製品やサービス、業務に集中することができるのです。自分自身の業務以外のことは二の次とすべきなのです。
ただし、企業が成長し続けるために言語の対応は欠かせません。自分自身の業務以外で二の次とするからといって不要になるわけではありません。
たとえばグローバルにビジネスを展開するためには言語と文化を考慮する必要があります。なぜなら、どんなに優れた商品やサービスを提供しても潜在的な顧客に伝わらなければ意味がないからです。
繰り返しますが言語の対応はもはや避けられないものなのです。それはあなたが必ず行なうべき投資であり、唯一の問題はどこに投資するかということです。
自社内で翻訳チームを組成するために投資するのか、それともすでに存在し必要なときにいつでもアクセスできる翻訳会社の専門知識を得るほうに投資するのか、ということです。
ビジネスの成長を考えるのであれば、重要なほうに投資したいはずです。
アウトソーシングは自社で翻訳チームを組成することに比べ短期的な投資としては高くつくように思えますが、今ビジネスにとって重要なことに集中することで、より早く大きなレベルの成長を実現することができるため、翻訳のアウトソーシングに投資しても、想像以上に早く回収することができるようになるのです。

アウトソーシングできるのはどのような翻訳タスクか?
結論を言うと、翻訳をアウトソーシングすることには多くのメリットがあります。
翻訳をアウトソーシングすることで人員や予算などのリソースを節約できるだけでなく、他の方法ではアクセスすることが困難なより深い価値を提供することができるからです。
グローバル化が進む中、ビジネス拡大のチャンスはますます広がっており、その重要性はますます高まっています。
翻訳のアウトソーシングは、単にコスト削減やメリットだけではありません。より大きな成長のチャンスをつかむためのパートナーシップでもあるのです。
抽象的な話になってしまいましたが、ここでもう一度、実務的な話をします。
翻訳のアウトソーシングがなぜ有益なのか、どのように企業の成長に寄与するのかを説明してきましたが、翻訳サービスにはどのような可能性があるのでしょうか。
翻訳者は具体的にどのようなことができるのか、お客様はどのような翻訳をアウトソーシングできるのでしょうかは以下のとおりです。
ドキュメント(文書)の翻訳
ほとんどの人がよくご存知の種類の、代表的な翻訳対象ですが、翻訳者は毎日あらゆる種類の文書に取り組んでいます。
前述したように、翻訳者が扱う文書の種類は非常に多様で専門的であり、法律文書、金融文書、証明書が必要な政府の公式文書などを担当する翻訳者がいます。
また、科学雑誌やニュース出版物の翻訳をしたり、医療分野の文書に携わったりする人もいれば、ビジネス分野では自動車、ファッション、製造、アウトソーシングなど、幅広い業界の文書を翻訳する人も多くいます。
それぞれの文書にはその分野の深い知識が必要とされるため、翻訳者は専門分野に特化することが多いのですが、翻訳会社を利用すれば適任者を容易に見つけることができます。
ウェブサイト
ウェブサイトの翻訳は皆さんが思うほど簡単ではありません。
その理由のひとつは、翻訳されたテキストがウェブサイトのレイアウトの範囲内で動作する必要があるため、グラフィックデザインやUXデザインを考慮した作業が必要になることです。
二つ目として、ウェブサイトのコードから翻訳が必要なテキストをすべて抽出することもありますが、翻訳会社の多くにはこのような作業を行なえる専門担当者もいるため、翻訳者は翻訳に専念することができるのです(ちなみに、翻訳だけでなくウェブサイト全体の制作作業のアウトソーシングに対応可能な翻訳会社もあります)。
三つ目は最も重要なもののひとつである検索エンジン最適化(SEO)です。SEOとはウェブサイトを検索エンジンで上位に表示させるためのものですが、検索に重要な単語やフレーズに細心の注意を払う必要があり非常に難しい作業です。
SEOの精度を高めるために、翻訳者は細心の注意を払いながら仕事をする必要がありますが、多くの場合、SEOを専門とするプロフェッショナルの協力を得ながら仕事をするか、SEOのための文章を書く専門知識を自ら持っていることが多いようです。
アプリ・ソフトウェア
アプリやソフトウェアの翻訳にはウェブサイトの翻訳と共通する部分が多くあります。
UX(ユーザーエクスペリエンス)に非常に重きを置いており、コードからテキストも抽出する必要があるため、翻訳者は技術専門家と一緒になって仕事を進めていきます。
また、アプリやソフトウェアの翻訳ではコードドキュメント(プログラムコードを含むテキスト)という形で、より技術的な翻訳に携わることもあります。
コードドキュメントを翻訳することで、特に世界中の大規模なチームが参加するプロジェクトに於いて、異なる言語を話すプログラマーがより良いコラボレーションを行なうことができるようになります。
エンターテインメント・メディア
グローバリゼーションが進むにつれ、人々の世界に対する意識が高まり、多言語エンターテインメントの需要も非常に高まっています。
映画、テレビ番組、音楽など、他国のコンテンツは非常に人気があり、その需要は増え続けています。
メディアコンテンツ、特に映像をより多くの世界中の視聴者に届けるための最もコスト効率の良い方法のひとつが字幕です。
音声吹き替えも、異なる言語のコンテンツをより利用しやすくする言語サービスですが、ストリーミングサービスの台頭により近年、両者の需要は大きく伸びています。
マーケティング
マーケティング資料の翻訳は、翻訳のプロにとって最も困難な仕事のひとつです。なぜなら、クリエイティブな思考力と異なる言語で聴衆の想像力をかき立てる表現力が問われるからです。
ウェブサイトやアプリ・ソフトウェアの翻訳では、言語のプロが技術者とともにプロジェクトを遂行しますがそれとは大きく異なります。
マーケティング資料の翻訳では、翻訳者はマーケターでもある必要があるのです。
マーケティングは今日、もっとも大きな翻訳プロジェクトのひとつです。グローバルにビジネスを展開しようとする企業にとって、マーケティングは重要な要素であり、言語の効果的な使用は成功への鍵となるものです。
重要なポイント
翻訳会社は成長を目指す企業にとって重要なパートナーです。翻訳のアウトソーシングはリソースを解放する一方で、より幅広い可能性を開くという点で多くのメリットがあります。
このようなメリットを最大限に生かすためには、最高の品質とサービスを提供できる信頼できる翻訳会社と提携することが重要です。
まとめ
以上、「【グローバルビジネスの成長を支える翻訳会社へのアウトソーシング】6つの理由と5つのタスク」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行ないます。
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