プロの翻訳者だけに頼るのは大きな間違いです。

「低品質な自動翻訳機は使っていません」とアピールしている翻訳会社がこのように述べると、奇妙な表現に感じるかもしれません。

お伝えしたいのは、プロの翻訳者がその力だけに頼るのはなく、プロの翻訳者が翻訳メモリを使用することでいくつかのメリットがあるということです。

翻訳メモリの主なメリットはコスト削減と納期短縮ですが、詳しく説明していきましょう。

※本コラムはAccelingo社のコラムを元にお届けしています。

翻訳メモリは単語やフレーズの翻訳で一貫性を高める

翻訳メモリのメリットについて説明する前に、そもそも翻訳メモリとは何かを確認しておきます。

翻訳メモリとは、(過去に)既に翻訳したテキストを基に、翻訳の候補を提案するものです。

翻訳したテキストは見出し、用語、単語など、まとまった言語単位のセグメントで保存されますが、言うまでもなく、より多くの翻訳が行われるほど、データベースはより充実してきます。

翻訳メモリには、単語などの翻訳の一貫性を高めるなど、さまざまなメリットがあります。

プロフェッショナルな翻訳サービスには一貫性が必要であり、同じ単語であるにもかかわらず異なる翻訳がなされていては困ります。しかし翻訳メモリを使用すればこのようなことは起こりません。

普通のプロの翻訳者でも、数か月前にある特定の用語をどのように翻訳したかを思い出すのは苦労するものです。

過去のファイルをひとつずつ開いて確認し、その用語が以前どのように翻訳したかを検索することは可能でしょうが、それでは時間が掛かり過ぎます。

そのような場合に翻訳メモリを使用することで、一貫性を維持しつつ、時間を節約することができるのです。

翻訳メモリは翻訳の納期短縮につながる

時間の節約に関して言うと、納期短縮を喜ばないお客様はいないと思います。実際、短い納期は困る、と仰るお客様を見たことがありません。

翻訳メモリのメリットのひとつは、翻訳プロセス全体をスピードアップできることです。保存された単語セグメントのデータが増えれば増えるほど、翻訳者が行うべき冗長な作業が少なくなるからです。

翻訳メモリシステムによって、翻訳者は作業中の原文と一緒にお勧めの変換候補を見ることができます過去の翻訳を参照しながら翻訳できるため、新たな翻訳に費やす時間が大幅に短縮されるのです。

その結果、完成した翻訳をより早くより多く、お客様にお届けすることができるのです。

日本の立教大学で行われた最近の研究「The effect of translation memory databases on productivity」では、翻訳メモリデータベースが生産性の向上にいかに効果的であるかが正確に示されています。

翻訳メモリは読み飛ばす可能性を減らす

たとえプロでも、何時間も何行も文章を見ていれば、その中の一行を読み飛ばしてしまうことはあり得ることです。結局、プロの翻訳者も人間だということです。

しかし、翻訳者が翻訳メモリシステムと連携すれば、翻訳を完璧なものにすることができるのです。

翻訳メモリにはさまざまな種類がありますが、どのプログラムも一行一行、欠落がないように翻訳してくれます。それによりヒューマンエラーを減らすことができます。

翻訳メモリを使うことで、一行だけ翻訳し忘れるといった失敗の可能性を大幅に減らすことができます。例えばWord文書で行われる翻訳と比較すると特にその差は歴然です。

【翻訳メモリ】の5つのメリット

翻訳メモリは翻訳コストの削減につながる

多くの企業が翻訳メモリシステムを利用する主な理由のひとつは長期的で大きなコスト削減ですが、翻訳メモリという技術のおかげで、翻訳をすればするほどコストが削減できるようになりました。

翻訳メモリには過去に翻訳した内容がすべて保存されています。

新しい翻訳プロジェクトが発生すると、原文(翻訳が必要なテキスト)はセグメントに分割され、過去に翻訳した内容と比較され、マッチするデータがないか検索されます。

マッチする度合いによって、過去のデータを適用できるテキストの翻訳については料金が割引されます。

尚、翻訳メモリシステムでは、過去のデータと単語単位で一致するものを「完全一致」50~99%の類似度で一致するものを「ファジーマッチ」と呼びます。

このような「完全一致(繰り返し)」や「ファジーマッチ」といった過去の資産を利用することで、翻訳に必要な予算を有効に活用することができるのです。

ファジーマッチについて詳しくは、ぜひWikipediaを参照ください。

また、現時点ではとりあえず「ファジーマッチするテキストの翻訳は、完全に新規に翻訳するよりも低コストで済む」ことを知っていただければと思います。

翻訳メモリは経験の浅い翻訳者でも十分活用できる

長年経験を積んだ、どんなに優秀な翻訳者でも、難しい仕事を請けるためにはトレーニングし続けることが必要です。

しかし翻訳メモリがあれば、金融、法律、ITといった特定の分野の、初めての翻訳でも、十分に使える翻訳に仕上げることができます。これも翻訳メモリのメリットのひとつです。

新しい医療機器の取扱説明書を翻訳するときに、過去の翻訳を参照し、好みの用語を使うことができればどれだけ翻訳がラクになるか、想像してみてください。

これは翻訳メモリを使うことで、その分野特有の専門用語に精通するための時間を大幅に短縮することができるからこそ、なのです。

たとえば「Content Management System(コンテンツ マネージメント システム)」というフレーズがすでに翻訳メモリに登録されていれば、翻訳者は適切な訳語を簡単に、翻訳文に差し込むことができるようになります。

単語単位でなくもちろん、長文の文書を翻訳する際にも翻訳者は翻訳メモリを活用することができるのです。

翻訳メモリはこれからも進化し続けます。さらなるコスト削減、納期短縮、正確な翻訳を可能にする、エキサイティングな技術革新も進行しています。

たとえばCommon Sense Advisoryの記事で紹介されている「Augmented translation(オーグメンテッド・トランスレーション、拡張翻訳」については大きな期待が寄せられています。

まとめ

以上、「【翻訳メモリ】5つのメリット」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。

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