ビデオ会議暗号通貨バーチャル・リアリティソーシャルメディアライブストリーミング、電子メール、ゲームなどのデジタル技術を融合させたメタバースは、私たちの生活や仕事のあり方をすぐにでも変えてしまいそうですが、メタバースにおける多言語主義や言語の面ではどんなことが期待できるでしょうか。

メタバースとその拡張現実を機能させるために必要な技術の多くはまだ開発されていませんが、そこが多言語で、国際的で、仮想現実の次元の世界となることはすでに示唆されています。

また、複数の言語が混在する場合は常に翻訳と通訳が必要になります。今回はこの、メタバースという新しい3Dの仮想空間を探検してみましょう。

※本コラムはDay Translation社のコラムを元にお届けしています。

メタバースにおける言語の翻訳と通訳

2021年年末、ビル・ゲイツは自身のブログで、「ほとんどのバーチャルミーティング(オンライン会議)は数年以内に2Dカメラグリッド(二次元のカメラ映像のもの)からメタバースの仮想空間に移行する」と予言しました。

また、「メタバースの仮想環境は、他者と同じ部屋にいる感覚を再現するデジタル世界として機能する」と彼は説明しています。

ビル・ゲイツはメタバースの世界で参加者の表情や身振り手振り、声質を正確に捉えるためには、VRヘッドセットモーションキャプチャーグローブなどの技術デバイスが不可欠になることも認めています。

しかしながら多くの人がまだこれらメタバース技術を体験するに必要なツールを持っていないため、メタバースの普及はまだしばらく先のことになるでしょう。

メタバースとは?

メタバースはまだ実際に存在していないので説明するのは簡単ではありませんが、ただひとつの組織で提供できるレベルの製品ではないことはわかっています。

それはゲームでもなく、言わば3D(三次元)のグローバルなウェブ空間のようなものです。そしてこのウェブは、ビジネス、情報、コミュニケーションツールを結び付けるものです。

メタバースの最も重要なステークホルダーと言えるMeta(旧Facebook)社は、もっと簡単な言葉でこう説明しています。

メタバースとは、あなたと同じ物理的空間に居ない他の人々と創造、探索することができる一連の仮想空間です」。

メタバースプラットフォームの中では、VR技術の助けを借りて、仕事をしたり遊んだりすることができるようになります。

Microsoft TeamsやFacebookでアバターを作成すれば、そのアバターを使って勤務時間中に仮想会議に参加し、メタバースのアプリと対話することができます。また、仕事が終わった後はバーチャルイベントに参加することもできます。

さらに現実世界でオンラインで何かを購入するのと同じように、暗号通貨を使ってアバター用のクールなギア(道具、装飾品など)をオンラインで購入することもできます。

メタバースは誰が開発しているのか?

マーク・ザッカーバーグのMeta(旧Facebook)社は最大の投資家ですが、Metaverseの開発に参加している大企業はそこだけではありません。

Nvidia社(エヌビディアコーポレーション、ゲームメーカー)のOmniverse(オムニバース)プラットフォームは、メタバース技術のためのフレームワークのいくつかを作成し、それを動かすことを目指しています。

ほかにも、Unity Software社(ユニティ・ソフトウェア、米ビデオゲームソフトウェア開発会社)やRoblox Corp.社(ロブロックス、ビデオゲーム開発会社)、Epic Games Inc.社(エピックゲームズ、米コンピュータゲーム、ソフトウェアの開発及び、販売企業)や、Microsoft Corp.社(マイクロソフト)などのビデオゲーム開発企業も参加し、メタバース・プラットフォームを作るための技術を開発しています。

また、TikTok(ティックトック)のByteDance Ltd.社(バイトダンス、中華人民共和国のテクノロジー企業)はPico Technology社(中華人民共和国のVRヘッドセットメーカー)に投資して、メタバースにも参入しています。

私たちが今使っているモバイルアプリのように、近い将来、様々なメタバースアプリが登場することが予想され、また、企業のメタバースへの参入を支援する専門コンサルタントも増えてきています。

そしてもちろん国境を越えた仮想通貨取引を促進する必要があるため、さまざまな決済プロバイダーや暗号通貨も関わってくるでしょう。

コンセプトはどこから来たのか?

メタバースのコンセプトは、これまでに聞いたことがないようなものではありません。

それは「The Matrix(マトリックス)」や「Ready Player One(レディ・プレイヤー・ワン)」のような映画に基づいており、それらの重要なテーマとされているものです。

ほかには3Dの世界、デジタル経済、職場といったメタバースコンセプトを用いた「Second Life(セカンドライフ)」がありました。Minecraft(マインクラフト)もそうです。

メタバースが目指しているのは、競合するビジネスやクリエイターのあらゆる構成要素をつなげることなのです。

【メタバース】における言語および、翻訳・通訳の予測

メタバースと物理世界に於ける仮想現実の言語への影響について

メタバースのような仮想現実は様々な言語を話す大人を想定して作られていると思われ、言語の壁に対処する方法は同時の翻訳と通訳です。

ただし翻訳や通訳が、仮想空間内に表示されるテキスト、実体のない音声、あるいは人間の言語専門家に代わるアバターのどれが使われるのかはわかりません

ここで問題となるのが、「リアルタイム」翻訳や通訳においてどうしても生じてしまう「遅れ」です。社交の場での会話の翻訳に時間が掛かるかどうかも考慮しなければなりません。

さらに重要なのは、メタバースに入ったときにユーザー各自が自分専用の翻訳者を持つことになるのかどうかです。もしそうなら翻訳者や通訳者には無限の雇用機会が生まれるかもしれません。

AR(拡張現実)におけるの2つの可能性

バーチャルリアリティが言語学習に与える影響は表裏一体であると言えます。

新しい言語を学ぼうとする人にとっては非常に有益なものになるかもしれません。

それを没入型の言語学習体験と見ることもできますし、没入型の学習体験が最も有益であることは誰もが知っていることだからです。

しかしその一方で、すべての言語について、多少遅れはするもののほぼ同時に翻訳が行われるため、新しい言語を学ぶモチベーションが全くなくなってしまう可能性もあるのです。

仮想空間にはどれほどのAI翻訳・通訳が必要か?

機械翻訳が人間による翻訳業界にどのような影響を与えたか、私たちはすでに知っています。

だから人工知能(AI)を搭載した自動翻訳がきっと、メタバースの拡張現実(AR)にも不可欠な役割を果たすだろうと予測しています。

しかし精度の向上にもかかわらず、機密性の高いテーマや利害関係の強い内容に関しては機械翻訳が人間に取って代わることはないでしょう。

数百万ドルの交渉の翻訳を機械に任せることはできないため、言葉の壁を埋めるにはやはり、人間の責任と信頼が常に必要なのです。

言語翻訳の新たな可能性

たしかに、メタバースは翻訳・通訳市場に変化と影響を与えるでしょう。

しかしメタバースにおけるAIと人間の翻訳、通訳はゼロサム(どちらかが残り、どちらかが絶滅する)ではなく、相互補完的なものになるでしょう。

バーチャル遠隔通訳(オンライン通訳、リモート通訳)は、COVID-19のパンデミック発生以来、私たちが慣れ親しんできたトレンドであり、メタバースの世界でもこのトレンドは発展していくでしょう。

オンデマンドの翻訳・通訳サービスは、この仮想現実空間における多言語対応の基盤として機能するでしょうが、いかんせんまだ技術が追いついていないため、今のところは推測するほかありません。

最後に

テクノロジーと言語は本質的に結び付いており、メタバースにまつわる新しい技術が翻訳業界にどのような影響を与えるかは興味深いところです。

メタバースにおける多言語化は、私たちが注視しているトピックでもあります。

メタバースにおける翻訳はこれまでとは違うダイナミックなものになりそうあり、テクノロジーが進化し続けるように、言語ソリューションも進化していくことでしょう。

まとめ

以上、「【メタバースに於ける言語および、翻訳・通訳】の予測」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。

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