「国際的な境界を越えたモノ、サービス、資本、人、アイデアの流れの増加」と定義できるグローバリゼーションは、その結果としてさまざまな変化をもたらしてきました。

グローバリゼーションは社会にプラスにもマイナスにも影響を与えますが、環境への影響は主にマイナスです。

ここではグローバリゼーションが社会や環境に与える影響と、その影響を軽減するためにビジネスリーダーができることについて説明します。

※本コラムはHarvard Business School Onlineのコラムを元にお届けしています。

グローバリゼーションは社会にどのような影響を与えるのか?

技術進歩や経済統合の増加により、世界はかつてないほどそのつながりを強めています。国内ビジネスが国際的なものに変化し、さらに世界的な技術の普及に貢献することで先進的な経済が形成されます。

グローバリゼーションには国際貿易や国際協力の増加国際的な侵略の減少などいくつかのメリットがあり、国家間でアイデアや情報を共有する「社会のグローバル化」は、医療、技術、環境保全の各分野にイノベーションをもたらしました。

さらに、グローバリゼーションはいくつかの新興国の生活の質を向上させました。たとえば、効率的な交通システムの導入や、教育や医療などのサービスへのアクセスの確保などがそうです。

しかしグローバリゼーションは、富裕層向けの製品を生産している新興国における所得格差の拡大や標準以下の労働条件など、社会にマイナスの影響を与えることもあります。

所得格差は先進国と新興国の格差をさらに拡大させるため、グローバリゼーションと直接的に関係し、その結果として社会的暴力のリスクも増大します。

グローバリゼーションは社会的な影響だけでなく環境にも永続的な影響を及ぼしますが、それは一般的に好ましいものではありません。

グローバリゼーションが環境に与える影響とは?

モノの輸送の増加

グローバリゼーションの主な成果のひとつは、企業が商品を販売し、労働力、原材料、部品を調達できる新しい市場に門戸を開くことです。

販売と調達。このふたつの事実は、完成した製品が以前よりも遠くまで届くこと、場合によっては地球を半周する可能性さえあることを意味します。

過去、製品は地元または、より地元に近い場所で生産、販売、消費されることが多かったのですが、グローバリゼーションによる商品輸送の増加は、以下のようなかたちで環境に影響を与えます。

  • 排出量の増加
    • 製品の輸送距離が長くなればなるほど、より多くの燃料が消費され、より多くの温室効果ガスが排出されることになります
    • International Transport Forum(国際輸送フォーラム)の報告書によると、輸送によるCO2排出量は2050年までに16%増加するとされています
    • これらの排出は、世界中の汚染、気候変動、海洋酸性化の原因となり、生物多様性に大きな影響を与えることがわかっています
  • 生息地の破壊
    • 交通機関(特に陸上交通)には道路や橋などのインフラが必要です
    • このようなインフラの整備は、生息地の減少や汚染などの問題を引き起こす可能性があります
    • また、船舶の航行が多くなると大規模な油流出事故が発生し、デリケートな海洋環境が損なわれる可能性があります
  • 外来種
    • あらゆる輸送用コンテナや船舶が、植物、動物、菌類などを新しい場所に持ち込む機会があり、自然環境に存在するようなチェックやバランス(均衡)を無視して侵入、成長する可能性があります

経済の専門化

グローバリゼーションの往々にして見逃されがちな効果として、「国や地域が自国の経済力に集中できるようになり、自国では生産していない商品も貿易相手国に頼ることができるようになった」という点がありますが、このような経済の専門化は、しばしば生産性や効率性を高めます。

しかし残念ながら、過剰な専門化は森林の健全性を脅かし、深刻な環境問題を引き起こす可能性があり、それは生息地の喪失、森林破壊、天然資源の過剰使用といったかたちで現れることが多いものです。

いくつかの例を挙げましょう。

  • ブラジルの牧畜業の増加による違法な森林伐採(放牧のための広大な土地を必要とするため)
  • 魚の減少や海洋汚染に大きく影響している東南アジアを含む沿岸地域での乱獲
  • コーヒー、カカオ、各種果物などの換金作物への過度な依存による、特に熱帯地方での生息地の減少への影響

グローバル化により石油、天然ガス、木材など、さまざまなエネルギー商品の生産に特化した国があることも考慮する必要があります。

国家予算の大部分をエネルギー販売に依存している国や「エネルギー安全保障」を重要視する国は、「再生可能エネルギーへの移行を困難にする補助金や法律」というかたちで市場に介入する可能性が高いのです。

これらのエネルギー源の主な副産物は、温室効果ガスの排出というかたちで、地球温暖化や気候変動に大きく影響しています。

【グローバリゼーション】が環境に与える4つの影響

生物多様性の減少

温室効果ガス排出量の増加、海洋酸性化森林破壊(およびその他の生息地の損失や破壊)、気候変動、外来種の侵入などはすべて、地球上の生物多様性を減少させる方向に働いています。

World Wildlife Fund(世界自然保護基金)が最近発表した「Living Planet Report(リビング・プラネット・レポート)」によると、哺乳類、鳥類、魚類、両生類、爬虫類を含むすべての生物の個体数は、1970年から68%減少しているそうです。

中南米とアフリカは世界貿易にとって重要な、急速に発展している地域ですが、特に環境に敏感な魚類、爬虫類、両生類の生物多様性の損失が不均衡なレベルにまで達しています。

このような生物多様性の減少には多くの原因がありますが、上記のような問題が一因であると広く考えられています。

意識の高まり

グローバリゼーションが環境に与える影響はネガティブなものが多いのですが、グローバリゼーションの進展により環境に対する意識は世界的に高まっています。

海外とのつながりが容易になり海外渡航率も高まったことで、森林伐採や生息地の喪失、気候変動が環境に与える影響をこれまで以上に容易に目にすることができるようになったからです。

その結果、環境への悪影響を抑制するための新たな法律や規制、プロセスが生まれたのです。

ビジネスの役割

グローバリゼーションは世界的な協力関係の強化や世界的な紛争リスクの低減、商品や生活必需品の価格低下など、社会に多くの利益をもたらしてきましたが、残念ながら環境に対する深刻な悪影響ももたらしています。

グローバリゼーションを終わらせたり、元に戻したりすることは不可能であるため、国家や統治機関などの組織が悪影響を抑えるための法律や規制を実施せざるを得なくなるまで、状況は悪化する可能性が高いのです。

グローバルに事業を展開する企業や業界には、負の影響の可能性を減らすために、できる限り自主的に行動する姿勢が必要です。

そうすることで組織は自らの取り組みをよりよく管理できるようになるだけでなく、その活動が強力なマーケティングおよび、コミュニケーションツールにもなり得ます。

再生可能エネルギーや梱包材への投資、責任ある土地利用管理の採用、最終消費者に近い場所での商品生産への転換などは、すべて企業が検討できる、そして検討すべき実行可能な選択肢です。

課題は、企業の社会的責任と、利益を上げてビジネスを成功させる必要性とのバランスを取ることにあるのです。

まとめ

以上、「【グローバリゼーションが環境に与える】4つの影響」でしたがいかがでしたでしょうか。

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