国際的な事業展開はかつて、大企業だけが取り組むべきプロジェクトでした。しかし今はそうではありません。
オンラインの世界では、自国以外のユーザーから初めて支払いを受けた時点であなたのビジネスは「国際的」なものとなります。
しかし国際的であることとグローバルファーストの企業であること、はまったく同じではありません。
たとえばHubSpotは外から見ると非常にグローバルな企業です。90か国以上に顧客がおり、そのソフトウェアは6つの言語で提供されています。
国外にはダブリン、シンガポール、シドニー、東京、そして今年末にはベルリンにオフィスを構えます。
このような国際的な存在感を誇りに思い、さらにそれを拡大することに興奮していますが、お客様を増やし、言語を増やし、海外に拠点を置くだけではグローバル企業にはなれません。
グローバル企業になるには、ビジネスのあらゆる側面をグローバル化する必要があります。これは社内のあらゆる機能、そしてその機能における人、プロセス、テクノロジーを意味します。
※本コラムはThinkGrowth.orgのコラムを元にお届けしています。
目次
グローバル化の5つのポジティブなフェーズ
一般的な企業は、以下のような段階を経て「グローバル化の成熟度」を迎えます。

最終段階では企業全体が 「グローバルファースト」の考え方になります。これは企業や従業員のすべての行動に、グローバルな考え方が浸透していることを意味します。
それでは、そのポジティブなフェーズを順に見ていきましょう。
フェーズ1:REACTIVE(リアクティブ、暫定的な対応)
- 人材
- 「グローバル」または「インターナショナル」が職務内容にある人はほとんどおらず、インターナショナルは暫定的に、主に個人の献身的な行為によって行われる
- プロセス
- 暫定的な対応で、国際化のための正式なプロセスはない
- 国際化は計画的にではなく、その需要が生じた後から行われる
- テクノロジー
- 使用するテクノロジーは自国向け、母国語向けのみで、海外対応は後回し
フェーズ2:REPEATABLE(リピータブル、繰り返しと発見)
- 人材
- 「グローバル」「インターナショナル」を含む職務が出現し、職務分掌規程に頻繁に含まれるようになる
- プロセス
- プロセスの上流に国際的なものが含まれ始めるが、国際的なニーズによって推進されるわけではない
- テクノロジー
- 技術に国際的な要求が含まれるようになる(ただし、国際的な要求に左右されたからではない)
フェーズ3:MANAGED(マネージド、正式なやりくり)
- 人材
- 国際的な役割分担とDRI(推定平均必要量)がより正式化され、頻繁に行われるようになる
- プロセス
- プロセスはよりグローバルな感覚を持ち始め、グローバルを意識した設計が多くなっている
- テクノロジー
- 母国向け、母国語向けだけでなく、グローバルに通用する技術の導入が始まる
フェーズ4:OPTIMIZED(オプティマイズド、ROIと自動化により最適化)
- 人材
- グローバル・ファーストの精神で活動する人が増えている
- プロセス
- グローバルなステークホルダーをサポートするために、プロセスを最適化している
- テクノロジー
- 自動化されたプロセスには、ビジネスでサポートされているすべての地域と言語が含まれている
フェーズ5:TRANSPARENT(トランスペアレント、グローバルファーストな透明性)
- 人材
- 「グローバル」が皆の考え方を左右する
- プロセス
- 最初からグローバルを意識したプロセス開発
- テクノロジー
- 使用するテクノロジーはグローバル市場を視野に入れたものを選択し、ビジネスで必要とされるすべての言語を使用する
グローバル化には時間がかかる
企業のグローバル化は時間がかかるものですが、その時間は大企業であればあるほどより長くなる可能性があります。
HubSpotでは2013年以来、国際的なビジネスを拡大するための努力を重ねてきましたが、全機能と全オフィスのグローバル化についてはまだかなり新しい取り組みです。
2015年に海外オフィスからグローバルな役割が見え始めましたが、2016年に初めて機能横断的な国際運営グループを作り、同年、主要ターゲット市場で使われている他の言語にも「深く」踏み込むことを決めたばかりです。
つまり、全社的な正式なアプローチとは対照的に、その場しのぎでグローバル化を進めていたのです。
その結果として、「グローバル・ファースト」の考え方に優れた部署もあれば、「国際化は最後に」という考え方にとどまっている部署もありました。
これはグローバル化の過程でよく見られる成長痛です。大企業では部署によってグローバル化のレベルがバラバラであることが非常に多いのです。
企業やそのグローバル化の様々なレベルの例として、以下にいくつか挙げてみましょう。
- A社
- この会社が本格的にグローバル化を進めたのは2007年
- 設立から4年後だったので、現在ではグローバルな取り組みを始めてからもう10年になる
- しかし国際的なプロダクト・マネジメントを担当する人材はまだ一人もいない
- グローバルな製品戦略がなくとも、完全に国際化された製品を持つことは可能だとのこと
- B社
- この会社のグローバルな決済オプションと支払システムはとてもよくできている
- しかし国際的なマーケティング戦略は非常に弱く、カスタマーエクスペリエンス機能もグローバルなくスケールで組織化されているとは言い難い
- C社
- この会社はローカライゼーションをどのように実行してはいけないかを、はじめはクラウドソーシングで翻訳を行おうとし、その後にまったく逆の、社内でフルタイムの翻訳者を雇って翻訳するという経験を通じ苦労して学んだ
- しかし興味深いことに、特にここ数年、現地の顧客が何を必要としているかを真に理解し、それに製品を適合させようとしているため、グローバルに於ける彼らの製品機能は強力になってきた
- D社
- この会社は多くの市場で目覚ましい成長を遂げてきたが、常に即効性のある成功を収めてきたわけではない
- 実際、法的な面では新規参入した市場の多くで、常に法廷闘争に苦慮している
- また、グローバルな製品分野でもかなり失敗している
- しかし新規市場参入のための手順は洗練されており、時間をかけて新規市場参入戦略の改善を重ねてきた
もしこれらの企業を、それぞれの分野でどのような段階を経てきたかによってプロットすると、次のようになります(もちろん外部から見たほんの数部門の限られた情報に基づくものです)。
A社 | 製品の国際化=5 | 国際製品のマネジメント=1 |
B社 | BizOpsのグローバル化=4 | 国際マーケティング=1 |
C社 | ローカライゼーション(現地化)=3 | 国際製品のマネジメント=4 |
D社 | 国際業務=4 | 国際製品のマネジメント=2 |
このように長年グローバルで活躍している企業でも、必ずしもうまくいっていないのが現状です。これは言い訳ではなく、企業のグローバル化が難しいという事実の反映です。
また、純粋なデジタル製品にフォーカスしていない他の企業では、グローバル化の程度は機能だけでなく、製品ラインによっても大きく異なる場合があります。マイクロソフトやアップルは歴史的にそうでした。

それはマインドセットの転換
HubSpotでは会社全体がグローバルファーストを考えるようにし、「国際化は最後に」といった考えを一掃するようにしています。
これは海外現地のスタッフが行う仕事ではありません(彼らはすでにグローバルファーストの考え方をしています)。
むしろ母国の本社が中心となって行う作業であり、やり方は以下のとおり、いたってシンプルでどんな会社でもできることです。
- 各工程担当に、自分たちがどのフェーズにいるのかを自己申告してもらう
- 今よりも高いフェーズに移行するための目標を設定してもらう
もちろんこのステップはわかりやすいのですが、必ずしも簡単に実行できるわけではありません。ビジネスの進化、新製品の追加、買収などすべてがグローバル化の完成度に大きな影響を与えるのです。
「グローバルファーストの取り組み」というのは高尚に聞こえるかもしれませんし、単に不要に思えるかもしれません。
でも企業は結局、いつかは「グローバル化」するのではないでしょうか?きっとそうでしょう。
その際ここまで述べてきたようなステップを意図的かつ、迅速に進めることで、グローバルな成功への道を阻むくぼみにはまることを少なくすることができるのです。
まとめ
以上、「【グローバルファーストの企業】になるには」でしたがいかがでしたでしょうか。
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