Google翻訳を使って面白い翻訳を目にした人はきっと多いと思います。「lost in translation(翻訳することで失われる)」というフレーズをお聞きになったことはありますか?
それはよくあることで、多くは笑いを誘う程度で済むものですが、重要な情報の一部が誤って翻訳されたために間違いが起こり、ブランドに損害を与えたり、最悪の場合訴えられたりしたらもはや笑い事では済みません。
技術の進化に伴ない多くの無料翻訳アプリが市場にあふれています。これら翻訳アプリで書籍、マニュアル、商品説明、ウェブサイト、手紙、広告などどんなものでも素早く無料で翻訳することができるのに、どうしてビジネスに人間の翻訳が必要なのでしょうか?
※本コラムはLEXIGOのコラムを元にお届けしています。
人間翻訳とは何か?なぜ重要なのか?
翻訳とは、ある言語で書かれた文章を別の言語に置き換えることですが、人間がする翻訳には解釈することが含まれます。なぜなら翻訳前の文章の一語一句を正確に翻訳することは不可能だからです。
また、仮に直訳した場合でも文章全体の意味が変わってしまうことがあるため、人間による翻訳の登場となるわけです。人間による翻訳なら、元の文章に含まれるものと同じメッセージを別の言語にして伝えることができます。
人間の言葉の複雑さを理解できるのは人間だけです。この部分は絶対に機械にはできないのです。
翻訳の需要は常にあります。たとえば法律分野では裁判手続き、記録、宣誓証言、請願書などの翻訳が必要になります。法を執行する機関には声明、インタビュー、その他翻訳を必要とするさまざまな文書があります。
医療分野では記録やメモの翻訳が必要でしょう。2020年の一例として、COVID-19の情報により医療業界で翻訳需要が49%増加したことが挙げられています。
また、ある調査によると、翻訳に投資した企業は1.5倍以上収益が増加する可能性があるとのことで、保険、金融、その他の業界のブランドや組織が、ウェブサイト、マーケティング用電子メール、医療文書などを翻訳するきっかけとなっています。
翻訳プロセスを理解する
機械翻訳を使えば、テキストをコピー&ペーストするか、ボタンをクリックするだけで翻訳作業を開始することができます。しかし包括的な翻訳は、人間にしかできない複雑なプロセスなのです。
翻訳プロセスには、翻訳した後の言語のネイティブスピーカーまたは、その言語を広く学んだプロの翻訳者または言語学者(リンギスト)が含まれます。
翻訳者は、翻訳する前の文章に含まれる意味、スタイル、語調をそのままに、異なる言語に翻訳します。人間の翻訳者は類似する言葉でも十把一絡げにしません。人間の翻訳者は適切な感情を伝えるために、最適な言葉を選ぶのです。
人間の言葉は複雑なため、その内容を理解し、コミュニケーションで使われる表現に意味を持たせるためには、人間の翻訳者が必要なのです。

人間による翻訳が重要な5つの理由
人間なら文脈を理解できる
機械や翻訳アプリはある言語から別の言語への翻訳を正確に行なうことができ、それはそれで便利です。しかし段落や文書全体を翻訳する必要がある場合に問題が発生します。
機械は人間の言語の複雑さを処理することはできません。単語を別の言語に翻訳したり外国語の要点を伝えたりすることはできますが、人間とは違いメッセージのコンセプトや文脈を把握することはできないのです。
人間の翻訳者は文章をその文脈に沿って翻訳するよう努力します。人間の翻訳者は感情を理解し、文化、タブー、伝統を尊重します。人間の翻訳者がこれらを考慮することで、流暢な翻訳が実現するのです。
人間なら比喩やスラングも翻訳できる
言語にはスラング(俗語)、専門用語、比喩、ニュアンスなど、翻訳できない、あるいは翻訳しにくいものがたくさんあります。
たとえば"This is a hot commodity." 。機械はその意味を理解できずに単に「熱い物」と直訳をする可能性が高いですが、人間の翻訳者ならそれが「価値や需要の高い人や物」を指すことを知っているのでそのように翻訳します。
人間なら正確に翻訳できる
いくつかの文書なら機械で十分翻訳できるでしょう。しかし重要なビジネス文書を翻訳する場合は人間の翻訳者が最適です。
人間の翻訳者は正確で、要求されたものを的確に伝えることができます。また、翻訳者自身が内容を理解し、的確な言葉で表現してくれるので、あとでチェックする必要がありません。
また、人間の翻訳者ならマーケティングキャンペーン用のブログなども、より面白く、アピール力のある、人間味あふれる文章に仕上げることができます。
人間なら低コストで翻訳できる
Google翻訳をはじめとするあらゆる翻訳アプリがあればもう、わざわざお金を払ってまで人間に翻訳させる必要はないと思われがちです。
たしかに、無料で使えるものがあるのになぜお金を払ってまで人間に翻訳させるのでしょうか?それは次のような理由からです。
機密性の高い文書を社内で、機械やアプリを使って翻訳すれば外部に情報が洩れにくくなり信頼性が増すでしょう。しかしそこで機械やアプリが言葉の選択を誤ると、会社の評判に深刻な影響を与える可能性があります。
機械やアプリによる翻訳は無料ですが、不確かな翻訳になった場合、会社は混乱を収拾するためにさらにお金を使わなければならなくなる可能性があります。
人間ならビジネスの側面を理解できる
マーケティングキャンペーンに関する文書その他の翻訳は、人間による翻訳が最も得意とするところです。
企業はブランドの確立に多くの労力を費やし、何百万ドル(何兆円)も費やしていますが、機械翻訳ではブランド促進に適切なメッセージを伝えることはできても、それが効果的で強力な文章になることはほとんどありません。
ブランドの一貫性を維持するに必要な、創造的思考を持つのはマーケティングのバックグラウンドを持つ人間の翻訳者だけなのです。
最後に
翻訳は機械的に行なうものではありません。機械翻訳によって人間翻訳に近い精度と品質を得ることは可能です。また、他の面でも機械翻訳に優れた点があるのは事実です。
機密性のない文書ならビジネスで機械翻訳を使ってもよいでしょうし、また、それは会社の外国語対応力を新たに高めるため、賢く使えば立派な資産になる場合もあります。
しかし、機密文書を扱う場合は人間による翻訳のほうがはるかに効果的です。翻訳の世界ではミスは高くつきます。特にビジネス全体やその評価が翻訳に係る場合は、文書が「lost in translation(翻訳することで失われる)」ことは許されないのです。
まとめ
以上、「【人間による翻訳が重要】な5つの理由」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行ないます。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。