近年、機械翻訳(自動翻訳)システムは急速に進歩し、大規模な校正を行わなくても優れた翻訳結果を得ることができる高度な技術となっています。

しかし、文脈によってはまだ、可能な限り高い品質の翻訳を行うために人間の手による編集や校正が不可欠となります。

この記事ではこの問題を詳しく見ながら、両方のタイプの翻訳の長所と短所、そしてそれらがどのようにお互いを補完し合っているかを見付けます。

※本コラムはPangeanicのコラムを元にお届けしています。

機械翻訳(自動翻訳)VS 人間翻訳

機械翻訳(自動翻訳、MT=Machine Translation)は、機械が文書を開くと自動的に翻訳を開始し、止まることなく翻訳を続けます。

24時間365日、学習し、分析した内容に基づいて、非常に効率的な方法でこれを行い、高い精度と超高速で単語を翻訳します。

人間が1日に翻訳する単語数は2,000~2,500程度ですが、人間翻訳(HT=Human Translation)レベルではとても達成できないスピードと量です。

しかし熟語や表現については人間にしか付加価値を与えることはできません。話し方や完全な文章の組み立て方、といったことなどです。

翻訳者は、文章の段落毎に個性的なタッチ(趣、表現)をもたらします。さらに、翻訳者はその言語の意味や専門用語に精通しています。

わたしたちは翻訳エンジンの専門家であるからこそ、機械が並列データを使って迅速にその精度を高めるのに対し、人間は文脈というものを提供できることがその違いであると理解しています。

元の文章と同じか、それ以上の翻訳をするためには、原稿や音声の文脈を十分に理解する必要があり、そこでは人間の翻訳が非常に重要な役割を果たします。

このことから、後述しますが翻訳者の役割は、大量の機械翻訳(自動翻訳)の「品質確認者」へと変容しつつあると言えるかもしれません。

人間の翻訳者はどんな時に必要なのか?

技術の進歩に伴ない、ニューラル機械翻訳システムの言語処理能力は向上しています。

機械学習(マシーンラーニング、ML=Machine Learning)や深層学習(ディープラーニング、DL=Deep Learning)などのツールに基づき、機械は明示的にプログラムされることなく、並列データから学習する能力を備えており、学習するにつれて翻訳能力だけでなく、表現能力も向上していきます。

たしかに、データを管理、選別し、優先順位を付けるのはプログラマーや人工知能の専門家であり、アルゴリズムが文章の特定の部分をどう見るか、どの語彙を考慮するかを指示するのは専門家の手によるものです。

しかし翻訳者は言語の専門家として、状況に応じた知識を提供し、多義性や文脈を解決する役割を担っています。よって翻訳者が必要とされるのは、次のようなケースです。

  • 翻訳の間違いを避けたい、あるいはなくしたいと思っている場合
  • 文脈が翻訳に影響を与えることを理解している場合
  • 専門的な分野の翻訳である場合
  • 文章は出版されるものであり、翻訳の正確さが重要である場合

専門家によると、最後の二点は機械翻訳(自動翻訳)に於いても、翻訳エンジンに保存された専門分野のデータ量に依存するそうです。

つまり、医療、農業、法律といった分野の並列データがあればあるほど、翻訳エンジンは関連する事例を見て、それらに特化した翻訳を行うことも可能ということです。

一方プロの翻訳者は、翻訳の誤りや多義性に関する誤りを避け、同時に原稿内のこれら誤りについても修正します。さらに翻訳者は、文章が属す分野独自のスタイルに適した翻訳文を提供します。

企業のデジタル化が進み、コンテンツの翻訳需要が高まる中、翻訳コンテンツにはますます専門性を高めながら、読む人にインパクトを与えるような多様な内容が求められています。

そのため、より一般的な部分のみを機械翻訳(自動翻訳)し、より個人的な部分や特殊な部分は人間に任せる、と翻訳を使い分ける企業が増えています。

【翻訳を考え直すタイミング】と人間翻訳の重要性

機械翻訳ポストエディット(MTPE)のメリット

また、翻訳にはポストエディット(後編集)と呼ばれるハイブリッド型の方法もあります。これは人間と機械の両方が役割を果たすというものであり、ポストエディター(後編集者)と呼ばれる人間が、機械翻訳(自動翻訳)の品質を向上させるのです。

ほとんどの場合に於いて、ポストエディットは優れた翻訳方法のオプションです。

ポストエディターは機械翻訳(自動翻訳)が翻訳を生成するスピードと可用性を活用して、翻訳文のレビューとポストエディットに専念するのです。

専門的な文章であればあるほど、人間の翻訳者が文書を精査する必要性が高まりますが、人間が行うポストエディットの重要性は、機械翻訳(自動翻訳)の品質とその出力に左右されることもあります。

翻訳者がポストエディットを行う必要性は多かれ少なかれあり、時には機械翻訳(自動翻訳)の品質の低さから、一からすべての翻訳をやり直さなければならないこともあります。

尚、ポストエディットという翻訳方法には、次のようなメリットがあります。

  • 翻訳されたテキストにそれほど困難なく理解できる正確さがあれば、費用対効果が非常に高く、些細なことであれば再度翻訳する必要もない
  • 全体的な統一感を増し、機械翻訳(自動翻訳)による誤りを正し、直訳を最適なものに修正し、機械翻訳(自動翻訳)による翻訳が正確かどうか検証できる
  • 機械翻訳(自動翻訳)とポストエディターによる修正という両技術は互いに補完し合い、効率と翻訳品質のバランスを保ち、ほとんどの場合人間が一から翻訳するよりはるかに速い

多くのプロ翻訳者は、一からすべて自分で翻訳するよりもエディターとして作業した方が早い場合が多いでしょう。

このようにして人間の翻訳者の作業時間を節約しながら同等の翻訳結果を得るための、最も速く費用対効果の高い方法のひとつがポストエディットなのです。

まとめ

以上、「【翻訳を考え直すタイミング】と人間翻訳の重要性」でしたがいかがでしたでしょうか。

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