「Got Milk?(ミルク買った?)」California Milk Processor Board(カリフォルニア州牛乳加工業者協会によるこの有名なスローガンをご存知ですか?牛乳を飲むことを促進するために考えられたものです。
このマーケティングキャンペーンを南米市場に展開する際、同協会は大きな失敗をしそうになったのです。
なぜならこのスローガンは、スペイン語に直訳すると「Are you lactating?(授乳中ですか?) 」になるからです。気まずいことこの上ないですね。
この問題に早くから気づいていた協会は、賢明にも「Got Milk?」のラテン語版のスローガンに手を加えることを決めました。
ラテン系の人々が重視する伝統や家族の価値を盛り込み、よりふさわしい「Familia, Amor y Leche」(家族、愛、そしてミルク)にスローガンを変更したのです。
マーケティングや販売を行う際は、消費者が理解できる言葉でキャンペーンをする必要があるため、マーケティング資料が対象国で使われていない言語で書かれている場合はマーケティング翻訳が必要となります。
そして協会が身を以て知ったように、マーケティングに関する文書は文化的に適切な方法で翻訳される必要があるのです。
マーケティング翻訳はその潜在的な複雑さゆえに、適切な翻訳の重要性を見過ごしがちです。
しかし異なる言語を話す消費者をターゲットにしている場合、特にグローバル市場などでは、マーケティング翻訳はあなたのビジネス、評判、そして新しい消費者の獲得に大きな影響を与える可能性があるため、この重要なプロセスをスキップしてはならないのです。
マーケティング翻訳とは何か、なぜそれが重要なのか、そしてあなたのビジネスにマーケティング翻訳を導入するために知っておくべきことすべてをお伝えします。
※本コラムはWeglot社のコラムを元にお届けしています。
目次
マーケティング翻訳とは?なぜすべきなのか
マーケティング翻訳とは、マーケティングキャンペーンや販促物を、異なる言語(または複数の言語)に翻訳するプロセスです。代表的なものは次のとおりです。
- ウェブサイトのマーケティングコンテンツ
- ソーシャルメディアへの投稿
- プレゼンテーション資料
- プレスリリース
- 製品パッケージ
- 製品説明
- ポスター
- パンフレット
- その他、マーケティングに関連するあらゆる資料
異なる国の新しい市場に参入するために企業がマーケティング翻訳を行うことがよくありますが、それだけではありません。
マーケティングに関する文書を別の言語に翻訳している限り、それもマーケティング翻訳と言えます。たとえ新しく翻訳したものが、これまでと同じ地域の読者を対象としていたとしてもです。
マーケティング翻訳のメリットは、次のとおりたくさんあります。
- より多くの人々にリーチするのに役立つ
- マーケティング文書を多言語で作成すれば、より多くの人がそれを理解できるようになります
- それによってより多くの潜在顧客とつながることができます(特に、多言語話者やあなたと異なる言語を話す顧客の場合)
- ブランドの認知度を高める
- より多くの人があなたのマーケティング文書に、自分の好きな言語で接することで、あなたのビジネスや商品についてより深く知ることができます
- その過程で彼らがあなたのブランドをどのように認識するかを理解し、より大きなファンを育むことができます
- 顧客サポートに掛かるコストを削減できる
- マーケティング資料をターゲット市場が理解できる言語に翻訳することで、誤解が生じる機会を最小限に抑えることができます
- その結果、製品に関する問題や誤解が少なくなり、サポートにかかるコストも削減できます
- 顧客満足度を高める
- マーケティング資料で伝えようとしていることが理解できれば、顧客はより簡単に、あなたのビジネスに関与できるようになります
- また、購入時に発生する問題も少なくなり、それが素晴らしい顧客体験につながります
- 現地での検索結果の順位が上がる
- 検索エンジン最適化(SEO)の観点から、ウェブページを特定の言語に翻訳することで、同じ言語で回答を求めるユーザーが行う検索で上位に表示されるようになります。
マーケティング翻訳導入時の5つのポイント
マーケティング翻訳する範囲を決める
マーケティング翻訳には時間とリソースが必要です。したがって作業を始める前に、どこまでするのかを明確にしておく必要があります。次のようなことを自問してみてください。
- なぜマーケティング翻訳を導入するのか?
- たとえば、既存の顧客に対してより多くの言語で製品を提供するためか?
- それとも海外に照準を合わせて新しい市場に参入したいからか?など。
- マーケティング翻訳プロジェクトに割けるリソースは?
- マーケティング翻訳にどれだけの予算が確保できるか検討してください
- また、マーケティング翻訳には1か月、3か月あるいは、それ以上など必要な翻訳の規模に応じて妥当な時間枠を設定することをお勧めします
- 最後に、この作業を管理するために割り当てることのできるマンパワーについても考えてみてください
- マーケティング文書をどのように翻訳するか?
- 翻訳者や翻訳会社、コピーライターに翻訳を手伝ってもらうのか?
- または手頃なコストで高品質の翻訳を提供できる自動翻訳(機械翻訳)ツールに投資してもよいかもしれません。
- 取り組みが成功したかどうかをどうやって知るか?
- マーケティング翻訳プロジェクトの効果を評価するのに役立つ、測定可能な目標を設定しましょう
- たとえば翻訳した資料を公開した後の新しいターゲット市場での売上をモニターすることもできます
- また、翻訳したマーケティングキャンペーンについて、顧客にフィードバックを求めることもできます
マーケティング翻訳には多面的に取り組む
マーケティング翻訳とは、単語から単語にただ翻訳することではありません。それには次のようなことも含まれます。
- トランスクリエーション
- 全く新しいマーケティングコンテンツを別の言語で作成し翻訳すること
- ローカライゼーション
- 翻訳したマーケティングコンテンツを現地の事情に合わせること
従って、最適な翻訳に到達するまでマーケティング翻訳は何度も繰り返す覚悟が必要ですが、このような反復作業を行うにはまず、現地の翻訳者と協力して、オリジナルのマーケティング資料の、どの部分を翻訳する必要があるのかを特定します。
翻訳者を探す際には、次のような点を考慮して候補者を絞り込むとよいでしょう。
- ポートフォリオ
- あなたのプロジェクトと似たようなプロジェクトに携わった経験があることが望まれます
- 専門知識
- 法律、医療、技術など、その分野の専門的な知識が必要な翻訳を依頼する場合は特にです
- 料金
- 予算内に収まるかどうか
- 参考文献
- 過去の依頼者はどのように評価しているのか。一緒に仕事をするのが楽しいか、それとも頭痛の種になるかを判断する材料になります
その後、現地の文化に精通した翻訳者に依頼し、ターゲット読者に適したものなるよう翻訳を行います。
翻訳されたマーケティング資料は企業ブランドとシームレスにフィットする必要がある
マーケティング翻訳は個別に機能するのではなく、あなたの提供するものへの消費者の関心を喚起しながら、企業ブランドを形成しています。
従って、ブランドにマッチした翻訳をするように注意してください。たとえばブランドの特徴が「生意気」であれば、それがマーケティング翻訳でも明らかにすべきです。
さらに、ナレーション、字幕、キャッチコピー、広告コピーほか、次のようなものを含むマーケティング資料の翻訳には特に注意が必要です。
- 専門用語
- ユーモア
- 熟語、慣用句
- 例
母国語のビジネス用語は、外国語に直接翻訳されるとまったく異なる意味や含みを持つことがあります(冒頭の牛乳キャンペーンスローガンの例を思い出してください)。
現地の消費者が納得する翻訳を選びつつも自社ブランドに忠実であること、そのバランスを取る必要があるのです。
また、マーケティング翻訳がブランドと調和しているかどうかだけでなく、物理的な見栄えもチェックしましょう。
翻訳された商品説明をパッケージに表示する場合、その説明は指定されたスペースに収まるのでしょうか?
また、翻訳されたテキストが原文よりも大幅に横方向に長い場合、パッケージのデザインを変更しなければならないでしょうか?
さらに、テキストを右から左へ記述する言語に翻訳する場合、読みやすさを維持するためにウェブサイトのテーマを修正する必要もあるかもしれません。
現地市場の文化的嗜好に対応する
文化が違えば信仰や迷信、方言も異なります。これらを上手くマーケティングに活用することで、あなたのブランドに人間味を与え、顧客の好感度を高めることができます。
しかしもし現地の文化を軽視すると、それが不注意であろうとなかろうと不快感を与え、あなたのビジネスを贔屓にしてくれる人を遠ざける可能性があります。
たとえば次のようなことに注意しましょう。
- 中国
- 中国の文化では、時計を贈ることは時間がなくなる(つまり死が近づく)ことを象徴している可能性があるため、中国人へのプレゼントとして時計を贈ることを勧めるマーケティングは避ける
- インド
- インドでは火曜日に髪を切るのは不吉だと考えられているため、火曜日の散髪を強調するようなマーケティングは避けたほうが良いかもしれません
- ただし、敢えて火曜日の散髪に大幅なディスカウントを実施して多くの売上を獲得しているサロンチェーンもあります
- 中東
- 親指を立てるという動作は一見何の変哲もないように思えますが、西洋の中指を立てる動作と同様、中東の多くの国ではそれが失礼な行為と見なされています
- 中東向けのマーケティング資料で親指を立てることに言及している場合は、そのような内容を削除し、別のものに置き換えることを勧めます
つまり特定の消費者に向けてマーケティングを行う場合は、現地の感覚に合わせるように細心の注意を払う必要があるのです。
市場調査を行いフィードバックを得る
マーケティング翻訳を始める前に、ターゲット市場を徹底的に理解するように努めましょう。前述したように、現地の文化や嗜好、視聴者の好き嫌いなども把握しておく必要があります。
予算が許せばこうした点について、専門的なアドバイスができるコンサルタントを雇いましょう。
彼らは現地の消費者にマーケティングを実施する際に何をすべきで、何をすべきでないかについての知識を豊富に持っています。
さらに、潜在顧客自身からマーケティングに関するフィードバックを得るようにしましょう。
たとえば翻訳を展開する前にターゲットとする顧客層を対象にフォーカスグループを実施すると、マーケティング翻訳に対する彼らの意見や改善すべき点を知ることができます。
また、大規模な導入に踏み切る前に小規模な翻訳をリリースして、最初の世間の反応をテストすることもできます。そしてフィードバックが来たら、それに応じてマーケティング翻訳を調整するのです。
翻訳とは継続的な取り組みであることを忘れないでください。変更はあちこちに微妙な調整を加えるだけになるかもしれませんが、その後マーケティング翻訳がどれほど効果的になったかに驚くことになるかもしれません。
まとめ
以上、「【マーケティング翻訳で知っておくべき】こと」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。