マーケティング翻訳では、テキストの翻訳だけでなく、ターゲット消費者の文化的嗜好を考慮した、適切なマーケティングメッセージの伝達も行います。

製品をどのように宣伝すべきかを知っているか、もマーケティング翻訳の要件のひとつなので、マーケティング翻訳者はコピーライターである必要もあります。

さらにマーケティング翻訳者は、さまざまな文体についての知識も持っている必要があります。

翻訳のプロセスに於いては、現地の文化にフィットするよう文体や言語を適合させることが求められますが、つまりこれは、翻訳者がターゲット地域の特定の文化についても知っていなければならないということです。

マーケティング担当者にとって、マーケティング翻訳とは何か、そのプロセスはどのようなものかを知っておくことは極めて重要なことです。

マーケティングメッセージがどの言語でも同じ文脈を持ち、すべてのターゲット消費者の文化に適切であるためには、マーケティング翻訳の豊富な経験を持つプロの翻訳会社に依頼する必要があるのです。

※本コラムはDay Translations社のコラムを元にお届けしています。

はじめに

海外まで事業を展開している企業ならどこでも、異なる言語を話す消費者にダイレクトにアピールするためにマーケティング翻訳が必要です。

その過程では、ソーシャルメディアサイトの投稿から動画の台本、製品の説明文、印刷物や放送教材の広告コピーまで、マーケティングに使うすべてのコンテンツを翻訳する必要があります。

マーケティング翻訳を行う際には考慮すべき要素が増えるため、直接的な翻訳ではなく、よりニュアンスのある翻訳が必要になりますが具体的には次のようなものです。

マーケティング翻訳と直訳(ちょくやく)の違い

マーケティング翻訳を行う場合、翻訳者はただ目的の言語だけにフォーカスするわけではなく、マーケティングメッセージをお客様が必要とする言語で、どのように伝えるかを判断しなければなりません。

マーケティングコンテンツはターゲットにどのように訴求するかを考え、企業ブランドに沿うように具体的に書かれますが、同じものを他の国で使う場合、母国の消費者と同じように響くかどうかはわかりません。

このように翻訳者は、企業ブランドが他の国の消費者に、どのように受け取られるかに注意しなければなりません。

マーケティング戦略とは企業ブランドがあらゆる場所で、できるだけ多くの人の目に触れるようにするものですので、異なる文化を持つ人を不快にさせないことが重要なのです。

たとえば「Barf Detergent」は中東では人気のあるブランドですが、欧米ではこのブランドは流行らないでしょう。

なぜなら英語を話す人にとって「barf」という言葉は「retch(吐き気)」を意味するからです。一方ペルシャ語でbarfは「雪」を意味します。

現地の文化的背景に適応する必要がある

現地の文化を十分に理解することができるので、マーケティング翻訳をする翻訳者はできればターゲットの国に住んでいることが望ましいでしょう。

そこには文化の違いの問題が絡んでおり、単語や慣用表現、イメージの中には考慮が必要なものもあり、なかには他の言語に翻訳するにも直訳(ちょくやく)できる最適な単語がない場合があるからです。

また、ターゲット国が文化的に受け入れられない表現や写真もあるかもしれません。

マーケティング翻訳は現地にアピールするものでなければならないため、翻訳者はマーケティングコンテンツの文化的な意味合いを考慮しなければなりません。

熟語は文化に依存する

前項同様、広告やマーケティングのコピーには比喩や慣用句がよく使われますが、これらは特定の地域や母国の消費者には理解され、受け入れられます。

しかしこういったコンテンツは大抵上手く翻訳されず、他の国では問題になることさえありますが、ユーモアについても同様であり、これこそが、マーケティング翻訳を専門とする翻訳会社と協力することの重要性を示すものです。

プロのマーケティング翻訳者は、マーケティングコンテンツを翻訳する際、文化的嗜好を考慮し、一語一句翻訳するのではなく、ターゲット層に応じて表現を変えることを検討します。

その結果たとえ原稿と翻訳が完全に一致しない部分があっても、メッセージは原稿と同じであるため、説得力のある魅力的なコピーを別の言語で作ることができるのです。

スローガンの翻訳はトリッキーである

スローガンはコピーライターによって入念に練られたものです。

スローガンはその製品の本質を体現するものであり、繰り返し使うことで人々の記憶に残るようにする必要があるものです。

しかしその問題は、すべての市場で使用するのは難しいということです。

ペプシの1960年代のスローガンのひとつ、「Come Alive! You’re in The Pepsi Generation?(甦れ!君はペプシ世代か?」をご存知でしょうか?

昔これを中国人翻訳者が翻訳したところ、「Pepsi brings your ancestors back from the grave.(ペプシはあなたの先祖を墓から蘇らせる)」としてしまったせいで、ペプシの中国市場に於ける売上は激減し、会社の評判も大変なことになりました。

マーケティング翻訳には時間がかかる

マーケティング翻訳ではやっつけ仕事の翻訳は通用せず、翻訳者はコンテンツの曖昧さやニュアンスを考慮するために時間を掛けなければなりません。

なぜならそれらは読者や視聴者がマーケティングコンテンツの他の部分を読む前、最初に目にするものであり、マーケティングにとって非常に重要なものだからです。

多くの読者はキャッチフレーズと見出ししか読まず、見出しに興味を持ったときに初めてメインの広告コピーを読む人もいます。

翻訳者はお客様と腹を割ったコミュニケーションを図り、お互いが相手に何を期待しているのかをクリアにする必要があります。

お客様はその要求を明確にし、翻訳者は細部まで検討し、最終的な翻訳に影響を与える可能性のある文化の違いについて考慮すべき必要があるのです。

【マーケティング翻訳】で知っておくべき10のこと

スペース(余白)の制限を考慮する必要がある

文化的な好みとは別に、コンテンツの翻訳に許容されるスペースを考慮することはマーケティング翻訳者に不可欠です。

言語によっては英語よりも(横方向に)長く翻訳されるため、より多くのスペースが必要になります。広告やパッケージのレイアウトは、翻訳されたテキストに合うように変更する必要があるかもしれません。

世界共通の記号を使用することを考える

これはお客様マターですが、翻訳者にとって良いアイデアでもあります。

世界共通の記号を使えば、翻訳する必要のない箇所が増え、あらゆる国の規制をクリアできると同時に、パッケージデザインや広告レイアウトのスペースも節約できるからです。

トーン&スタイルを確立する

マーケティング翻訳では、プロジェクトの最初にトーンとスタイルを決定します。

翻訳者はターゲット消費者のタイプを把握し、アプローチの仕方をフォーマルなものにすべきかまたは、インフォーマルなものにすべきかを判断する必要があります。

また、コンテンツはあらゆる年齢層の第一および、第二のターゲット消費者にアピールするものでなければなりません。

ブランドの声と価値を維持する必要がある

どの言語に翻訳するかにかかわらず、マーケティング翻訳は「ブランドの声」を維持する必要があり、それはどの市場で使っても、同じようなイメージを消費者に抱かせなくてはなりません

それはたとえ元のコピーと翻訳後のコピーの文言が変わっていたとしてもですが、コピーは現地の文化に合わせなければならないので変化させざるを得ないのは仕方がありません。

ブランドの声もそうですが、ブランドの価値はどの言語でも同じように響かせなくてはならず、翻訳者は依頼された言語で、同じ意味を伝えるために、適切な言葉を選ばなければならないのです。

色やイメージに配慮する必要がある

パッケージや広告のレイアウトを含むマーケティング素材には、ブランドの魅力を高めるために色やイメージが使われることがよくあり、これらはブランドの識別に役立ちます。

しかしこれらの要素は、色が想起させるものが文化的に異なる海外では期待通り機能しないことが多いのです。同じように、海外の消費者に好まれないイメージもあります。

たとえばアフリカでは「商品ラベルの画像がパッケージの中身を表している」と考える人が少なくありませんが、Gerber(ガーバー)社がアフリカでベビーフードの販売を開始した際にもそのようなことがありました。

同じように、多くの文化圏では異なる色を感情や情緒、あるいは良いもの悪いものに関連付けます。たとえば白は西洋では平和の色とされていますが、アジアのいくつかの国では白は不幸や喪を連想させるのです。

これらはマーケティング翻訳の最も重要なポイントです。言語と文化、そしてブランドのアイデンティティとメッセージの微妙なバランスが必要だということです。

マーケティング翻訳は、経験豊富なマーケティング翻訳者のみが行うべきなのです。

そしてマーケティング翻訳者は、対象市場が地域的なものか、世界的なものかを知っておく必要もあります。なぜなら地域によっては、グローバル言語よりも方言の方が受け入れられているからです。

最後に

マーケティング翻訳は入念に検討した上で行う必要があり、翻訳を含むプロジェクトを成功させるためにはその細部にまで注意を払うことが重要です。

翻訳はぜひネイティブスピーカー持つプロのマーケティング翻訳サービス会社に依頼してください。マーケティング翻訳には専門知識が必要だからです。

まとめ

以上、「【マーケティング翻訳で知っておくべき】10のこと」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。

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