マーケティング文書の翻訳は、技術翻訳、法務翻訳、医療翻訳など他の文書の翻訳とどのように違うのでしょうか?

グローバルキャンペーンのマーケティング文書を翻訳する際のリスクと課題を、どのように特定し、克服すればよいのでしょうか?

マーケティング資料の多くは一般的な文書と一緒にされ、大量に処理されるため非常に粗悪な翻訳になっていますが、それは重要な販促資料やパンフレットを、最もベーシックな白黒プリンターやコピー機で印刷してクライアントに送るようなものです。

マーケティング文書の不適切な翻訳は、白黒コピーした資料のような悪いプレゼンテーション同様、必ずブランドに対してネガティブな印象を残します。

どのような翻訳分野にも落とし穴がありますが、マーケティング文書を複数の文化圏に適合させることは特に困難です。

なぜなら、マーケティング文書の翻訳にはブランドの特徴が他の言語や文化でどのように伝わり、ターゲットとなる消費者にどのように受け止められるかを深く理解する必要があるからです。

よく研究されたマーケティング翻訳は、各市場での独自性を保ちつつ世界規模でブランドのアイデンティティを強化することができます。

一方、マーケティング文書の直訳はほぼ間違いなくブランドにダメージを与えます。

マーケティング文書は、広告や商品説明、セールスレターだけではありません。

今日、ブランドにとって利用可能なコミュニケーションチャネルが飛躍的に増加したおかげで、「コンテンツがすべて」になっています。

つまり、価値ある優れたコンテンツはこれまで以上に国際的な評価を確立し、収益を上げるための重要な原動力となるのです。

そのような背景から、マーケティング文書ひとつひとつが、グローバルビジネスの成功に欠かせない役割を担っているのです。

※本コラムはCreative Translation社のコラムを元にお届けしています。

なぜマーケティング文書の翻訳は違うのか?

まずは「マーケティング文書の目的」を理解することが最も重要です。

  • ブランドやその特徴を紹介するためなのか?
  • それともそのメリットを説明するためなのか?
  • USP(Unique Selling Proposition、自社サービス、商品が持つ独自の強み)を伝えるためなのか?
  • 消費者がブランドを信じる理由を定義するためなのか?

どのような目的であれ、文書の目的を理解することは重要です。そうして初めて、適切なプロセスを用いて望ましい結果を得ることができるのです。

マーケティング文書を翻訳するためには、メッセージをクリエイティブに適合させ、効果的に伝え、ブランドを維持するという、通常より一段階上の対応が必要です。

元のメッセージを力強く、文化的に受け入れられる方法で、世界のどこでどのように表示されても伝えること、それがすべてのマーケティング翻訳の究極の目標であるべきです。

つまり高品質の翻訳を提供するためには、対象読者を深く、包括的に理解することが必要なのです。

強力なライティングスキルもとても重要ですが創作力も重要ですので、翻訳者に創造的な自由を与えることがマーケティング文書の翻案を成功させるカギとなります。

優れた技術翻訳者には、極めて正確で、原文にできるだけ忠実であることが求められますが、マーケティング翻訳者は実際の言葉ではなく、意味、ブランド価値、声のトーンにフォーカスする必要があるのです。

技術翻訳に用いられる直訳(ちょくやく)は正しくもあり間違いでもあり、言語学的にも正しくありながらも同時にまったく意味のないことでもあるのです。

【マーケティング文書の翻訳】で大切な4つのポイント

マーケティング文書の翻訳4つの落とし穴

ちょっとした手違いが、成功と失敗を分けることもあります。

ここでは、グローバルなマーケティングキャンペーンを展開する際に常に念頭に置いておくべき、最も厄介な要素を簡単にリストアップしてみました。

ユーモア

One man’s LOL is another man’s WTF?(ある男性の"LOL"は別の男性の"WTF"?、「人によって面白いことは違う」の意)」

この言葉はGoogleで5400万件近くヒットします(ちなみに女性にも適用されます!)が、これは英語で何が面白いか、何が面白くないかを議論している人たちです。

この例でぜひ、「面白い」を外国語や異なる文化に適応させる難しさについて考えてみてください。

比喩、駄洒落、慣用句

コピーライターは一般的に、見出しやキャッチコピー、広告コピーを書く際に洒落や繰り返し、叙述を頻繁に使いますが、これらの言語的な工夫は通常、広告を魅力的で印象的なものにするためのものです。

しかしこのような洗練されたアプローチは、現地の文化に対して詳細に理解していることが前提ですので、コンセプトを単純に海外に持ち出すと「言葉は翻訳できてもアイデアそのものはそう簡単には伝わらない」かもしれないのです。

しかし元のコピーに含まれた創造性まで犠牲にする必要はありません。

マーケティング文書に慣用句や比喩、言葉遊びなどの要素が含まれている場合、トランスクリエーションが最適なアプローチとなります。

言葉の微妙なニュアンスや元のコピーの特別な文体的特徴を維持するためには、これが最適な方法なのです。

トランスクリエーションのプロセスでは、文化的な配慮や慣用語句を考慮します。

出来上がったコピーは文字通りの意味としてはまったく違うものになるかもしれませんが、読者にとっては同じことを言い、ブランドの特徴や現地の感覚に沿った形で、意図したニュアンスを伝えることができるのです。

イメージ&カラー

適切なイメージは、感情に火を点け、ブランドメッセージを説得力のある、魅力的で繊細な方法で伝えることができます。

だからイメージ、写真のスタイル、色の選択は、ブランド・アイデンティティを定義する上で重要な役割を果たします。

しかしこれらの要素は諸刃の剣でもあります。

言葉が文脈によって異なる意味を持つようにイメージもまた、ある市場では肯定的であっても他の市場や文化では否定的な連想や意味をなさないことがあります

たとえばGerber社(ガーバー社、米:食品会社)はアフリカでベビーフードの販売を開始した際、現地の文化に配慮していませんでした。

アフリカの多くの文化では消費者の多くが読み書きができないので「企業はラベルに中身の写真を掲載する」のですが、そのことを知らずにパッケージに赤ちゃんの画像を使用したのです。

色についても同様で、文化圏によって正反対の意味合いを持つことが多いのですが、最も有名な例は白で、それが西洋文化では純潔と平和の色であるのに対し、東洋では主に喪や災いを連想させるのです(色の問題についてさらに詳しくはこちら)。

文化的な失策とブランド名

文章であれ画像であれ、伝統、宗教、文化的信念に関わることは翻訳を始める前に慎重に検討する必要があります。

また、企業はブランド名にも特別な注意を払う必要があります。

英語名はある文化的背景において適切か?攻撃的な意味合いを含んでいないか?といったことです。

アメリカの人気ティッシュブランドのPuffsは、文化的な面の研究不足で大きな損失を被りました。

それは英語名のまま展開した社名の「パフ」がドイツでは、口語で「娼館」を指す言葉であることがわかったというものです。

似たような言葉で「Pouf」というのがありますが、これもイギリスでは同性愛者を指す不快な言葉なのです(その他の例はこちら)。

最後に

人間翻訳を行うマーケティング文書の翻訳に強い翻訳会社では、このような点を考慮した上でお客様のマーケティング文書を翻訳します

お客様のブランドがどのような業界で事業を展開しているかにかかわらず、マーケティング文書の翻訳を成功させるためには、お客様の業界や分野を専門とするクリエイティブな翻訳者、編集者、コピーライターが必要です。

翻訳やトランスクリエーションに加え、文化的なフィードバックやマーケットに関する知識や経験も提供し、お客様のマーケティング文書がターゲット層に確実に届くようにするのです。

まとめ

以上、「【マーケティング文書の翻訳で大切な】4つのポイント」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。

高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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