優れた翻訳はビジネスの成長を促進します。
それは製品の販売促進、顧客サービスの提供、アプリへのアクセスなど、無限の可能性を秘めたものなのです。
しかし翻訳がうまくいかないと海外での発売が遅れたり、高額の負担が必要になる欠陥が発生したり、顧客を混乱させたり不快にさせたり、誤った情報を与えたりする危険性が高まります。
では翻訳によって混乱ではなくつながりを生み出すにはどうしたらよいのでしょうか。まず必要になるのは翻訳サービスです。
本コラムでは、翻訳会社とうまく連携して、新しい言語でのコンテンツ制作を成功させる方法を紹介します。
※本コラムはlokarise社のコラムを元にお届けしています。
目次
翻訳サービスとは何か、なぜ必要なのか?
言語サービスプロバイダー(Language service providers、LSP)である翻訳会社は、
- 翻訳
- ローカリゼーション
- トランスクリエーション
- コピーライティング
- オーディオビジュアルサービス
- コンサルティングソリューション
など、さまざまなサービスを提供しています。
翻訳サービスを必要とする企業がグローバル企業だけだったのは、それほど昔のことではありません。
マイクロソフトのような多国籍企業はさまざまな国や地域に展開しており、なるほど多言語のコンテンツが必要なことは間違いありません。
しかし翻訳サービスを必要とするもはやそのような企業だけに止まりません。
急速な技術開発とグローバル化の加速により、大小さまざまな企業で翻訳に対する大きなニーズが生まれました。
新しい市場にいち早く適応し、異なる国に住み、異なる言語を話す顧客向けに製品やサービスを効率的に翻訳する方法を見付ける必要があるのです。
そして機械翻訳(自動翻訳)では対応できない多くのコンテンツがあるため、翻訳サービスの需要が高まっているのです。
翻訳サービスはどのように使われるのか?
翻訳サービスは、
- マーケティング
- セールス
- サポート
- 製品
など、さまざまな種類のコンテンツを翻訳するために利用されています。
多くのコンテンツは、他の言語を話すユーザーや他の国に住むユーザーのために翻訳する必要があります。
たとえば
- ソフトウェア製品
- ウェブアプリ
- モバイルアプリ
- ゲーム
- マーケティング文書
- 顧客サービス
などです。
国際的な成長を真剣に目指す企業には、翻訳以上に「ローカライゼーション」が必要ですが、両者の根本的な違いは、翻訳が「メッセージ」を適合させることであり、ローカライゼーションが「体験」を適合させることであることです。
どのような翻訳サービスが必要かは、製品や必要な適応度によって異なりますが、ここでは三つのコアサービスについて見てみましょう。
注目すべき三つのコアサービス
- プロフェッショナルな翻訳
- その実力のほどを良く知り、頻繁にコミュニケーションが取れる、ネイティブの翻訳者が対応する必要があります
- トランスクリエーション
- 翻訳とは異なり、トランスクリエーションはメッセージの根底にあるアイデアにフォーカスします
- 母国語でコンテンツを作成するのと同じように、クリエーティブ・ブリーフ(広告表現制作の指針となる事柄を、単純かつ短い言葉でまとめた書類)に基づき、目的の言語でコンテンツを作ります
- ポストエディット
- ポストエディットとは、人間とAIの翻訳をミックスしたものです
- テキストはまず機械にかけられて最初の翻訳を行い、その後翻訳が文脈に沿った正確なものかを確認するために人間(翻訳者)によって編集(校正)されます
- このプロセスにより、高品質の翻訳を迅速にかつ、低コストで行うことができます
翻訳サービスを利用するプロセスは完璧か?
「翻訳について、最大の課題は何ですか?」とお客様によくお聞きしますが、そこでよく出てくる課題は次のようなものです。
- 外注先とのコミュニケーション方法の構築
- 多言語を一括で翻訳しながらも、納品スピードを確保すること
- 時間、コスト、品質の三つの要因のコントロール
しかしこれらのことは、翻訳会社を利用している会社に話を聞けばその原因がすぐにわかります。
多くの企業は翻訳を「やらなければならないこと」だと考えています。
その結果、翻訳が後回しにされることが多く、翻訳を戦略的な投資として捉えたり、そのハンドリングを一元化したりすることもほとんどありません。
そのため翻訳は、海外展開戦略の中核となるべきものであるにもかかわらず、その実施には時代遅れの技術が使われ、一貫したシステムやプロセスを活用できていないことがよく問題となります。
SpotifyのローカリゼーションシニアプロジェクトマネージャーであるWilliam Spalding(ウィリアム・スポルディング)氏は、これらの問題がどのように連鎖していくかを、次のように見事に言い表しています。
- 翻訳の依頼主はその品質に対する理解、監督、管理を欠き
- 翻訳会社は依頼主が手を抜きすぎるために品質の期待に応えるのに苦労し
- 翻訳者は必要なサポートやフィードバックを得られない
その結果、依頼主のビジネス上の目標と翻訳会社の間に深い断絶が生じるのです。
翻訳サービスとの関係はどのように進化しているのか?
お客様と翻訳会社の間に生じるギャップは数十年来の課題ですが、新しい解決策があります。
翻訳・イノベーションコンサルタントのAnouk Perquin(アヌーク・パーキン)氏が、現代の翻訳事情についての考えを次のように語っています。
「現在のエコシステムでは、翻訳がコンテンツ自体の制作と切り離されて扱われることが多く、それが翻訳業界に於けるイノベーションの欠如を招いています。それにより市場投入までの時間が遅くなり、多くの品質問題を引き起こし、適切なROI(Return On Investment、投資利益率)を保証するには割高過ぎるのです。」
また、翻訳会社Moving Words社のMartina Russo(マルティーナ・ルッソー)氏は、現状では現代のグローバル企業の特殊なニーズに対応できないとし、その主な問題点と、企業や翻訳会社がより良い翻訳を行うための方法を次のように述べています。
「関係者間のコミュニケーションを犠牲にして、いまだにファイルでやりとりをしているような従来型のLSP(Language service providers、翻訳会社)は、2021年の進化するビジネスニーズにはそぐわない。企業とLSPが一体となり、マニュアル作業の排除、プロセスの自動化、関係者間の協力環境の醸成により、シームレスなローカライズを目指す。」
では、どうすればコミュニケーションを改善し、コラボレーションを成功させるためにプロセスを微調整できるのでしょうか。
その答えは、「テクノロジー」です。具体的には、テクノロジーを正しい方法で活用することです。
下図は、現在のエコシステムと新しい働き方を比較したものです。
現在の方法 vs 新しい方法
現在の方法 | 新しい方法 |
翻訳が後回しにされている | 初期段階からのLSPの関与 |
よく知らない翻訳者 | クライアント側チームと翻訳者側チームの繋がり |
翻訳者とユーザー(コンテンツ、製品、)との間に断絶 | 翻訳者への完璧な可視性と文脈の共有+直接アクセスの実現 |
コンテンツの種類によって異なる翻訳会社 | コンテンツの種類によって異なるワークフロー |
サイロ化された(自己中心的な)チームとプロセス | すべての関係者間の協調的なワークフロー |
オフラインでの翻訳 | クラウド環境での翻訳 |
メールによるコミュニケーション | Slackまたは、翻訳管理システム(Translation Management System (TMS))内蔵チャットを介したコミュニケーション |

より良いコラボレーションをするために
グローバルな成長を目指す企業が、LSP(Language service providers、言語サービスプロバイダー、翻訳会社)と効果的にコラボレーションするために必要な6つのポイントは以下のとおりです。
主体性を持つ
LSPは翻訳作業の舵取りをしてくれますが、グローバルコンテンツの構築には全社的な取り組みが必要です。
もしあなたの会社が小さな組織なら、戦略的にアプローチするために翻訳を位置付けることが必要です。
あなたの組織の成長を保証するためのポイントは、翻訳を中心に置くことです。それも可能な限り大規模かつ、効率的に実現することです。
では、どうすればいいのか?それには次の二つが必要です。
- 関係者すべての理解を一致させるための大局的な計画
- あなたの組織内に於ける、適切な翻訳のための部署
パートナーシップマインドの醸成
LSP(Language service providers、言語サービスプロバイダー、翻訳会社)はローカライゼーションの旅を手助けしてくれる真のパートナーであるべきです。
LSPと強固なパートナーシップを築くには、期待することを事前に詳しく説明する必要があります。
プロセスの初期段階からLSPに参加してもらい、積極性、革新性、明確に定義されたチャネルを介した、定期的なコミュニケーションを求めることを明確にしておきます。
オープンな対話によって、翻訳者はお客様のビジネス、顧客、ソリューションを理解するために必要な質問をすることができます。
そうすることで翻訳者は、プロジェクトとの一体感を高め、エンドユーザーの心に響くコンテンツを作ることができます。
ビジネスの目的を一致させる
長期的なパートナーシップの二つの柱は、「透明性」と「整合性」です。
これらを達成するための道筋をつけるために、次の三つの質問を自分に投げかけてみてください。
- 何をもって「良い品質」とするか、明確に定義できているか?
- LSPを社内チームの延長と考えることができているか?
- コスト、時間、品質の三つの条件を、パートナーとともにどう処理するつもりか?
LSPを外部パートナーとして正しく評価するために、ミスに対する許容範囲を明確にし、必要と思われる質問をできるだけ多くしてください。
曖昧な回答や、責任や所有権の分配方法に関する不明確な情報といった赤信号にも注意しましょう。
コラボレーションワークフローを可能にする技術の活用
あなたの会社のチームと翻訳会社のチームが一元的にコラボレーションできる翻訳管理システム(Translation Management System (TMS))技術を活用することで、全員が同じ情報をもとに作業し、同じ優先順位に集中することができます。
たとえばLokaliseとLSPの統合により、Withings社は11か国語でローカライズされた製品を継続的にリリースし、Notion社のコードベース、マーケティング資料、ヘルプドキュメントを一元化し、251,000語の翻訳を迅速に行えました。
Withings社のプロジェクトマネージャーであるRomain Dahan氏は、新しいワークフローによってデザイナー、開発者、製品担当者、翻訳者、マーケティングチームなど、50人以上がコンテンツの文脈と一貫性を保ちながらコラボレーションできるようになったと述べています。
翻訳管理システム(Translation Management System (TMS))を使用していない場合は、適切なツールを推奨してくれるLSPや、自社内でツールを使用しているLSPと協力するようにしましょう。
プロセスの自動化
コストが価値を上回る作業は排除しましょう。
翻訳管理システム(Translation Management System (TMS))によって減らすことができる手作業は次のとおりです。
- 翻訳者が異なるファイルを使用して視覚的な文脈を参照したり、電子メールで質問を送ったりする際に、どのテキスト要素がどの画面を参照しているかを特定し、受信したすべての回答を記録する
- コピーライター、テクニカルライター、コンテンツチームは、視覚的なコンテキストがほとんどないスプレッドシートを使用したり、異なるバージョンのファイルをローカルに保存したりして、苦労して翻訳プロセス開始時の更新/バージョン管理している
- プロジェクトマネージャーは、数字を計算し、手作業でスプレッドシートにレポートをまとめ、翻訳プロジェクトに関する質問などチームメイトとのコミュニケーションのために、異なる、分断された環境を使用している
ワークフローを自動化し合理化するために、LSPは既存の技術エコシステムと連携し、汎用的なアプローチではなく、お客様のニーズに合わせたソリューションを提供できることが必要です。
柔軟性のあるLSPとの連携
ベンダーはクライアントのニーズに適応します。
つまりパートナーであるLSPは、ローカライズされた製品を正確かつ、迅速に提供するために、仕事のやり方を柔軟に調整する必要があるのです。
LSPは、現在の技術の積み重ねとシームレスに統合できる翻訳管理システム(Translation Management System (TMS))または、既にお持ちの翻訳管理システム(Translation Management System (TMS))での作業についてアドバイスできるはずです。
柔軟なワークフローを提供するLSPと一緒に働きましょう。
翻訳サービスとの積極的な連携により、新たな言語での成長を目指す
お客様のビジネスも翻訳会社も、「多言語による楽しいカスタマーエクスペリエンスを創造する」という点は同じです。
効果的なコラボレーションは、より実践的なアプローチで、最初から翻訳に適したシステムを計画することから始まります。
新しいプロセスを構築することは短期的には難しく、チームは変化を嫌がるかもしれませんが、その結果、あなたとあなたのチーム、顧客そして、あなたのビジネスに長期的で大きな変化をもたらすことができるのです。
まとめ
以上、「【翻訳サービスを効果的に利用するための】6つのヒント」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。