グローバルなビジネス競争が激化し、ますます多くの企業が自社の製品やメッセージを、より早く世界中に伝えるために翻訳することを求めるようになるにつれ、そのコストが常に最重要課題となっています。
果たしてその最終的な目標は何でしょうか?
それは企業ブランドのグローバリゼーションと国際化を、最も低い翻訳コストで実現することです。
この場合「払った額に応じて得られるものが変わる」という表現が適切かもしれません。
なぜなら安価な翻訳サービスに頼ることは低品質の翻訳に直結することとなり、満足のいく翻訳のためにすべき努力、投資など、全体的なコストが軽視されるからです。
※本コラムはAD VERBUM社のコラムを元にお届けしています。
機械翻訳(自動翻訳)の不正確さ
近年機械翻訳が進化し、短納期の実現が可能な、予算に見合った翻訳ソリューションとして広く浸透してきました。
しかし特に
- 正確性
- 文脈
- フォーマットの柔軟性
- 主題に関する専門知識
- 創造性
など、翻訳の主要なパラメータを考慮すると、そこに落とし穴があることは否めません。
無料の機械翻訳(自動翻訳)ソリューションに頼ることはしても、ウェブサイトなど人の目の付き易いところに機械翻訳(自動翻訳)されたコンテンツを使用すると、ブランドや製品の信頼性に影響を与えるだけでなく、翻訳を正しく修正するためにさらにコストが掛かることになります。
一例として、2020年に立候補した政党が、スペイン語の宣伝用ウェブサイトにGoogle翻訳を使用したところ、その一部があまりにもひどい翻訳でほとんど意味をなさず、大きな論争を引き起こしたとInsider.comに紹介されています。
機械翻訳(自動翻訳)よりも高い品質を求めるなら、機械翻訳(自動翻訳)した後にプロ翻訳者がその内容を修正する「機械翻訳ポストエディティング(MTPE、Machine Translation Post-Editing)」を利用したほうが良いでしょう。
さらに機械翻訳エンジンのトレーニングも必要です。
文化の不一致
翻訳費用を惜しむことは、お客様の厳しい要求や期待に応えるために必要な専門知識を持たない未熟な翻訳者を使うことを意味し、高品質の翻訳を確保するという目的にとってはデメリットになります。
文化的なニュアンスは顧客および、ターゲットとする市場との間に確固たるつながりを築くので、企業ブランドに関するコンテンツの翻訳が不十分だと、それが混乱や文化的、政治的な不正確さにつながり、海外ビジネスのパフォーマンスや収益に大きく悪影響する可能性があります。
ISO(International Organization for Standardization、国際標準化機構)の規制や標準化されたプロセスにまったく従わない安直な直訳が多国籍企業の収益低下を招く典型的な例として、イギリスの多国籍銀行HSBCが挙げられます。
同社は昔「Assume Nothing(思い込みをしない)」というスローガンを「Do Nothing(何もしない)」と誤って翻訳し、各国で顧客の信頼と信用に与えた損害を回復するために、1000万ドル(約14億円)のキャンペーンを再び展開しなければならなくなったことがあります。
費用の掛かる後始末
上記のHSBCの例から、安価な翻訳を選択して高品質なプロ翻訳を使わなかった場合の三つめのリスクが浮かび上がってきます。
今日のウェブサイトの小さな誤訳や低品質の翻訳は、明日の顧客離れを意味します。品質を見極める目を持った、真の消費者から逃れることはできないのです。
低コストの翻訳戦略が裏目に出て最後には、外国語にしたウェブサイトが期待通りのコンバージョンにつながらないこと、海外顧客が徐々に購入しなくなること、ウェブサイトが自然検索結果にランキングされないこと、ユーザーの直帰率が上昇し続けることにすぐに気付くことになるでしょう。
低品質の翻訳によって評判が一度落ちると、それに伴なって収益も低下するのは当然で、ほんのわずかな投資を惜しんだがために大きなリスクを負うことになるのです。

リスクとなる法律上の影響
文化的なニュアンスだけでなく、
- 法的拘束力のある契約書
- テンプレート化された法律文書
- 医学的説明
- 製品特性や仕様の概要
など、正確性が求められる、品質要求レベルの高い文書に、安価で質の悪い翻訳を使うことによって生じるリスクは、あらゆるビジネスのライフサイクルに深刻かつ、持続的な悪影響を与える可能性があります。
これら文書の誤訳やあからさまな不正確さは、
- 臨床試験での慣例からの逸脱
- 医療過誤による法的問題
- 企業イメージや施設の信頼性の回復不能
- サービス継続の妨げとなる売上高の悲惨な低下
など、生死に関わる重大な悪影響を与える可能性もあります。
経験不足や医療ミスによる悲劇的で有名な例として、Willie Ramirez(ウィリー・ラミレス)というキューバの若い野球選手が昏睡状態で南フロリダの病院に運ばれてきたときのことがあります。
経験不足で低価の医療翻訳者と通訳者が患者の状態を翻訳するために呼ばれた際、キューバスペイン語の「intxicado(泥酔)」という言葉に不慣れだったために「薬物の過剰摂取」と誤解されてしまったのです。
その結果脳内出血と診断できずに患者の命を奪ってしまったのです。
翻訳のクラウドソーシングはフラウド(詐欺)ソーシング?
「海外ビジネスを展開する多くの企業が、無数の言語の組み合わせに対応して、即座にマーケットに参入する機会を求めている」。
そんなグローバルな状況を考えると、翻訳の鉄則を無視して企業がより安価な翻訳に走るのも不思議ではありません。実際、クラウドソーシング翻訳サービスが勢いを増しています。
翻訳クラウドソーシングとは、機械と人間翻訳を組み合わせ、複数の人が翻訳を行うことですが、典型的な例としてはユーザーと翻訳ボランティアによって翻訳された「Google in your own language(GIYL)」、「Ubuntu(オープンソース翻訳プロジェクト)」、そして世界中のエンドユーザーが共同で作成した翻訳メモリ(翻訳データベース)を展示するオープンソースの共同翻訳プラットフォーム「Worldwide Lexicon(ワールドワイド・レキシオン)」などが挙げられます。
オープンソースの翻訳プラットフォームは、翻訳の最新かつ、未来志向のソリューションのように聞こえますし、料金もとても安いので見逃せませんが、ほとんどの場合その貢献者は専門家ではないためリスクは高くなります。
彼らが誰なのか、どのようなバックグラウンドを持っているのか、どのようにコミュニケーションをとれば最大の翻訳成果が得られるのか全く分からないのです。
そのためこの安価な翻訳ソリューションは、品質保証のないロシアンルーレットのようなもので、結果として素人臭くプロらしくない翻訳、不正確な翻訳メッセージ、不正確な用語によりその編集や校正に後で高いコストが掛かることとなり、このソリューションを採用した企業の投資収益率(ROI、Return On Investment)とブランドイメージに最終的な悪影響を与えているのです。
結論
安価な翻訳ソリューションによって生じるリスクを見ないふりをしてでも抱こうとする「翻訳プロセスをスピードアップできる」という幻想は、不正確な翻訳や誤訳を招くだけでなく、翻訳プロセス全体に投資する時間と労力も倍増し、関係する企業すべての納期に悪影響を与えることになります。
翻訳の品質が適切であり、文化的背景やビジネス・アイデンティティの中核となるべき仕組みを反映したものであるとみなされるために、満たさなければならないその他多くの困難なベンチマークがあることは確かです。
だからといって自分のニーズに合った最も有益な翻訳ソリューションを見つけることをすぐにあきらめ、安価な翻訳ソリューションに飛び付くのは決して良いことではありません。
翻訳会社は、翻訳というサービスを軽視することなく、お客様の満足度を高めるために、言語プロセスの一つひとつのステップに時間と手間を惜しまず投資しています。
その最高品質の翻訳サービスは優れた専門知識によって保証されており、それによってお客様のビジネスが直面する可能性のある言語の課題を克服する新たな方法を見出し、リスクを軽減し、グローバルで適切なコミュニケーションへの自信を高めることができるのです。
まとめ
以上、「【格安翻訳】がもたらす5つの重大なリスク」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。