Google 翻訳は、テキスト、ドキュメント、ウェブサイトをある言語から別の言語に翻訳するために設計された多言語ニューラル機械翻訳サービスとして2006 年にデビューしました。
現在では世界中の5億人以上の人々が、日常会話に於ける外国語のコミュニケーションや解読のためにこのサービスを利用しています。
企業はカスタマーサポートの提供や、ウェブサイトやデジタルマーケティング資料の翻訳のためにGoogle翻訳を利用することもあります。
しかしあなたのビジネスが顧客体験を重視するものであるなら、一般的な機械翻訳(自動翻訳)だけでは十分ではありません。
※本コラムはUnbabel Inc.社のコラムを元にお届けしています。
目次
Google翻訳は正確なのか?
Googleの翻訳のビジネス利用を評価する際に企業がまず知りたいこと、それは「Google翻訳は正確なのか?」だと思います。
汎用的なソリューションとしてGoogle翻訳は使いやすく、外国人同士の橋渡しに役立ちます。
多少はコミュニケーションと理解を促進することができるものです(繰り返しますが、「多少は」です)。
Google翻訳の問題は、翻訳の品質が必ずしも正確ではないことです。
Google翻訳を使ったことがある人なら誰でも、教科書的で一字一句違わない翻訳が実は、その言葉の裏にある本質を真に捉えていないことに気付くはずです。
慣用句については論外です。
世の中には、ある国に存在し、他の国には存在しないイディオム(熟語、慣用句、成句)は数え切れないほどあるのです。
「Let's play it by ear.」というフレーズをGoogleで英語からスペイン語に翻訳してみたことがありますか?
私たちは試しましたが、お客様の聴覚を(物理的に)弄る予定がない限り、このような直訳は無意味です。
また、同じ国であっても地域や海岸線が違えば使う言葉も違ってきます。
たとえば日本語を母国語とする人が、英語を母国語とする人に向けてメッセージを翻訳する場合、英語を話す人が住んでいる場所やその地域に於ける言語バリエーションを正確に把握しなければ、100%の精度で翻訳するのは難しいでしょう。
アメリカでは弁護士を「attorney(アトーニー)」と言いますが、イギリスでは「solicitor(ソリシター、事務弁護士)」と呼ぶのです。
フランスのフランス語話者は、ケベック(カナダ)のフランス語話者と同じ言葉を使うかもしれませんし、ブラジルのポルトガル語と同じように、単語やフレーズは全く違う意味を持つかもしれません。
つまり、Google翻訳では企業のローカリゼーション(現地最適化)ニーズに対応できないのです。
コンテキストが重要、パーソナライゼーションは最重要
地理的な違いよりももっと、言葉はビジネスや産業にとって「ローカル」であり得ます。
ファッション産業であれば財布の種類を表すことに使うでしょうし、自動車産業であれば車の部品を指すことに言葉を用います。
つまり言葉にとってはそのコンテキスト(文脈、前後関係、事情、背景、状況)が最も重要であるにもかかわらず、Googleはもっぱら広範なデータを元に、検索エンジンでインデックス化されたインターネットデータの無限の量に依存して、広範囲の翻訳クエリ(キーワード)に答えているだけなのです。
世界No.1のピザ窯メーカーであるOoni Pizza Ovens社は、ピザパイ、ペパロニ、ピザの皮、薪焼きピザといった言葉をイタリア語に翻訳しようとしたときに、コンテキストの問題に直面しました。
また、「薪窯ピッツァ味」については「ガンになりそう」というお客様の声もあり、翻訳(というより誤訳)が上手くいかず、不快感を与えることもありました。
Ooni Pizza Ovens社のビジネスに最適な用語集でもあれば、こんなことにはならなかったかもしれません(その後改善されたのですが)。
このように、不正確な表現はブランドに取り返しのつかないダメージを与える可能性があるため、企業はGoogle翻訳に頼らないほうがよいでしょう。
顧客にダイレクトに通じる多言語体験を企業が提供しない場合、57%の消費者がそれを「偏見である」とみなしていることも私たちは発見しています。
些細なものとして扱われるデータ・プライバシー
Google翻訳を使用するということは多くのデータプライバシー権を放棄しているということ、に多くのユーザーが気付いていないかもしれません。
Googleは、翻訳されたテキストから情報を収穫し、独自のアルゴリズムを改善するためにそれを使用することができるのです。
これは、機密性の高い連絡先、支払い、または医療データを翻訳するためにGoogle翻訳を信頼して使っている企業にとって何を意味するのでしょうか?
Google翻訳を使用するということは、社内のデータ・プライバシー・プロトコル(手順)や、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996、医療保険の携行性と責任に関する法律)などの政府規制に違反することを意味する場合もあります。
Google翻訳を使うと組織がデータプライバシー侵害や関連する罰金の影響を受ける可能性があることを、多くの社員が理解していないかもしれません。
Googleの以下のスニペット(説明)は、その製品を活用する際にユーザーがGoogleにどのような権利を付与するかを明らかにしています。
権利
このライセンスは、Google に以下のことを許可します。
- お客様のコンテンツをホスト、複製、配布、通信、および使用すること。たとえば、お客様のコンテンツを Google のシステムに保存し、お客様がどこに行ってもアクセスできるようにすること。
- お客様のコンテンツを公開、公的に実行、または公的に表示すること(お客様がコンテンツを他の人に見えるようにした場合)。
- お客様のコンテンツに基づく派生物の修正および作成(再フォーマットまたは翻訳など)。
- これらの権利を以下の者にサブライセンスすること。
- お客様が選択した人と写真を共有できるようにするなど、サービスが設計通りに動作するようにするための他のユーザー
- 以下の「目的」のセクションに記載された限定的な目的のためにのみ、これらの条項と一致する契約を当社と締結した当社の請負業者。
では他にどんなものがあるのか?
Google 翻訳はウェブページ、アプリ、またはGoogle APIを介してアクセス、無料で使用できる簡単なDIY(Do It Yourself、個人で簡単に使える)ソリューションですが、あなたのビジネスのCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理) ソフトウェアに特別に統合するために設計されたものではありません。
カスタム設計されたものではないため、それを使うスタッフはGoogle翻訳とCRMの間を行ったり来たりしてメッセージをカット&ペーストしたり、翻訳してもそれが顧客からの問い合わせを解決するのに十分なものであることを祈る必要があるということです。
このような作業は遅く、非効率的で、スケーラブル(拡張性)とは程遠く、ビジネスを成功させる方法とはとても言えません。
では、ほかにどのような選択肢があるのでしょうか。一般的な翻訳方法には次のようなものがあります。
- DeepL
- 機械翻訳(自動翻訳)のみの汎用ソリューション
- カスタマーサポート専用に設計されていないため、FAQには有効だがメールやチャットには使えない
- Language I/O
- 機械翻訳(自動翻訳)を主体としたソリューション
- 人間によるレビューは有償のアドオンとしてのみ提供
- Lokalise
- 主に機械翻訳(自動翻訳)ソリューション
- 毎月または毎年、文字単位で課金され、有料のアドオンとして人間によるレビューが可能
- Unbabel
- カスタマーサポートに特化したAIを活用した人力翻訳
- FAQ、メール、チャットをサポートし、柔軟な価格設定も可能
- 翻訳会社
- 最高峰のプロ翻訳者による人間翻訳に特化した翻訳サービスを提供
- あらゆる翻訳方法のなかで最高の品質が保証される
お客様に合わせて特別に設計されたMT(Machine Translation、機械翻訳)
機械翻訳(自動翻訳)を基盤としつつも、人間の編集者と機械学習で強化されたAIを搭載することで、翻訳結果が常に改善され、時間の経過とともにより正確な翻訳を提供できるようになる機械翻訳(自動翻訳)ソリューションもあります。
言語は科学というより芸術です。
翻訳会社の多くは、翻訳されたメッセージが現地の文化に合うように、単語やフレーズを調整するローカライズ(現地最適化)をグローバルな人間の編集者で行っています。
カスタマーサポートの文言が教科書的なものではなく、その地域の人々が実際に話しているように聞こえるように、彼らはバックグラウンドで熱心に働いています。
Salesforce Service Cloud、Zendesk、Intercom、Freshdesk などの一般的な CRM と簡単に統合できる機械翻訳(自動翻訳)ソリューションもあります。
カスタマーサービスやマーケティングのワークフローにシームレスに組み込まれるため、スタッフは最小限の労力とトレーニングで使い始めることができます。
なかには翻訳されたメッセージを受け取ったお客様が、それが機械翻訳(自動翻訳)ソリューションに基づくものとは気付かない場合もあります。
AIが適切な言葉を出力し、完璧なコミュニケーションを実現するのです。
また、機械翻訳(自動翻訳)ソリューションに用語集やスタイルガイドを追加することで、特定のビジネスや業種に合わせて翻訳結果をカスタマイズすることができるものもあります。
たとえばゲーム会社の場合、ゲーム内のキャラクター、武器、通貨など、ゲームに特有な単語を含めることができるのです。
さらにデータ保護を第一に考えて構築され、GDPR(General Data Protection Regulation、一般データ保護規則)とCCPA(California Consumer Privacy Act of 2018、カリフォルニア州 消費者プライバシー法)に完全準拠し、堅牢なデータ暗号化と匿名化により、企業とその顧客の両方のプライバシーを確保できる機械翻訳(自動翻訳)ソリューションもあります。
まとめ
以上、「あなたのビジネス【Google翻訳で大丈夫?】」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。