翻訳を外注するか社内で済ますかを比較するのは、初めての人にとっては難しい判断です。
外注は安価で便利に見えますが、コスト管理からプロジェクト管理まで相応の課題も伴なうものです。
一方、社内で済ますことができれば、コストを抑え、品質の一貫性を保つことができます。
どちらを選ぶかはその背景や理由、翻訳することによって得たい成果や目標、組織として利用可能なリソースの有無に依存します。
本コラムでは、翻訳を外注するべきか社内で済ますかを判断するための、7つの要素についてご説明します。
組織によっては外注と社内の両方で翻訳を行っているところもありますが、これも条件次第でありどちらが正しいかどうかではありません。
重要なのはビジネスの目標を念頭に、最適なソリューションを選択することです。
※本コラムはQabiria社のコラムを元にお届けしています。
コスト
翻訳ニーズが発生することは稀であり、また、その場合も翻訳するテキストの量が少量である場合は、外注のほうに価値があります。
翻訳の外注にはコストが掛かるので、社内で済ませたほうが安いと最初は思うかもしれません。
しかし社内で済ますために翻訳専門の部署を設置するにあたっては、以下の要素を考慮する必要があります。
- 自社で年間どれくらいのコンテンツを作っているのか?
- それを何か国語に翻訳する必要があるのか?
- 社内に翻訳専門部署がない場合、雇用する翻訳者の選定にどれくらいの費用が掛かるか?
- 翻訳者が社内のコンテンツを専門としない場合、そのトレーニングにどれくらいの費用が掛かるか?
- 翻訳の管理は誰が行うのか?プロジェクトマネージャーが行うのか翻訳者自身が行うのか?
- 翻訳に必要はソフトウェア(CATツール、品質管理ツールなど)の導入に必要な費用は年間いくら掛かるのか?
まずは少量のプロジェクトから始め、社内で翻訳を行うことに意味があるかどうか、コストを測ってみるとよいでしょう。
もしすでに翻訳専門の部署や担当者がいる場合は、おそらく社内で翻訳するほうが理にかなっていると思います。
言語の数
もうひとつの重要な要素は、必要とする言語です。
日常的にひとつの言語のみを翻訳する企業にとっては、1~2名の翻訳者を雇用して翻訳ニーズをカバーするのが便利でしょう。
しかし複数の言語への翻訳が必要であり、かつそれらが並行して進まない場合、つまり、すべてのコンテンツがすべての言語に翻訳されるわけではない場合、単純に翻訳者を増やすことは組織にとって負担が大きくなり過ぎる可能性があります。
単純に翻訳者を増やすと、翻訳者のあいだで常に忙しい人とそうでない人が生まれてしまうというリスクもあります。
とはいえ翻訳することを避けることはできませんので、このような場合はプロジェクト管理に掛かる費用まで基本料金に含まれてる翻訳会社に頼むほうが良いのです。
専門性
もし社内に翻訳専門の部署や担当者がいたとしても、それら社内の翻訳リソースがあらゆる種類のテキストを翻訳するスキルを備えているかどうかは常に考慮しなければなりません。
たとえば自社が製薬会社で大量の医学翻訳が必要な場合、よく知る分野につき社内のリソースを使うことは理にかなっていますが、契約書や重要な法律文書の翻訳が必要になった場合はまず、社内の翻訳者にその対応が可能かどうかを検討する必要があります。
品質管理
品質に関しては、ほとんどの翻訳会社は一貫した品質を確保するための、品質基準や評価指標を持っています。
一方、翻訳を社内で行う場合は、翻訳の品質を評価したり問題があった場合に必要な変更を行うための標準的な手順が確立されていない可能性があります。
品質管理プロセスの構築にはコストが掛かり、また一定のスキルも必要です。
新しい手順書を作成するなど業務負担を掛けたくない場合は、翻訳会社に外注するほうが得策です。
技術スキル
小規模の会社なら、語学に堪能なスタッフが翻訳に対応できるかもしれませんが、翻訳するファイルの形式がすべて同じとは限らないことも考慮する必要があります。
マーケティング資料を作成する場合、WordPressやJoomlaなどのCMS(Contents Management System、コンテンツ・マネジメント・システム)で開発されたウェブサイトの翻訳はもちろん、Adobe InDesignのファイルやMicrosoft PowerPointのプレゼンテーションも翻訳対象となる可能性があります。
このようなコンテンツを翻訳するには言語スキルだけでは不十分で、画像やコードからテキストコンテンツを分離して抽出する能力も必要です。
また、Adobe InDesignで作成したパンフレットやMicrosoft PowerPointで作成したプレゼンテーションなど、印刷用やオンライン用のファイルでは言語による長さの違いにより、レイアウトの修正が必要になりますが、社内のスタッフが必ずしもこれらの取り扱い方を知っているとは限りません。
よってこのような場合も、あらゆる種類のファイルを翻訳し、レイアウトするための技術的な知識とツールを備えている翻訳会社に外注したほうが便利でしょう。
スケーラビリティ(拡張性)
翻訳を外注するか社内で行うかを検討する際は、翻訳ニーズが長期的に一定なのか、それとも変動があるのかを考慮する必要があります。
翻訳の量が年間を通じて一定である場合や、翻訳と他の仕事(事務や顧客サービスなど)を並行して行える場合は、固定給を支払う専属の翻訳者を雇用することは理にかなっています。
しかし翻訳が必要な月があったりなかったりの場合はどうでしょうか。あるいは翻訳する文書が多過ぎて社内の翻訳者では追い付かない場合はどうでしょう?
これらの問題も、翻訳会社に外注すれば固定費が発生することもなく、依頼した分だけ料金を支払うことで解決します。
大量の文書を翻訳する必要がある場合は、経験豊富なフリーランス翻訳者を雇用し翻訳会社にも外注することで、組織のニーズに応じて規模を拡大または、縮小することができます。
このような方法をとることで、長期的に翻訳者を雇用をすることなく、ビジネス環境の変化に柔軟に対応することができます。
翻訳の一貫性
翻訳を外注する上での最大の課題のひとつは、翻訳の一貫性を管理することです。
社内で翻訳を行い、管理する場合は翻訳の一貫性を完全に管理することができますが、企業ブランドにとって一貫性が重要な場合は大きなメリットとなります。
また、常に同じ翻訳会社に依頼し、その翻訳会社が顧客別の用語集やデータベースを作成、使用していれば、外注しても翻訳の品質レベルを保つことができます。
ただし、翻訳会社をよく変えてしまうとこうはいかず、結果的に翻訳に一貫性がなくなることは避けられません。
最後に
翻訳を外注するか社内で行うかを決めるのは簡単ではありません。
外注は大量の文書を翻訳する必要がある場合など、キャパシティの拡大に役立ちますが、コスト管理やプロジェクト管理など独自の課題も伴ないます。
一方、社内で翻訳を行えばコストを管理し、一貫性も保つことができます。
このふたつの方法のどちらを選択するかは、翻訳することによって得たい成果や目標、組織として利用可能なリソースの有無に依存するのです。
まとめ
以上、「【翻訳は翻訳会社に外注すべき】7つの理由」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
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