【日本が絶対に】グローバル化しなければならない理由

翻訳外注ノウハウ

日本の有名大企業は国際的な成功を収めていますが、その多くは最も重要な市場に於いて世界のライバルに遅れをとっています。なぜ中国では、ゼネラルモーターズやフォルクスワーゲンがホンダやトヨタよりも成功しているのでしょうか?なぜインドでは、LGやサムスンがパナソニックやソニーよりも大きいのでしょうか?なぜ日本では、IBMが富士通よりも大きいのでしょうか?

これらの疑問は単に学問的な興味からのものではありません。自国市場の成長が鈍化または、停滞することを示している人口動態や経済動向を考えると、海外での収益と利益を大きく伸ばせるかどうかが多くの日本企業の生き残りを左右する可能性があります。グローバルに事業を展開する日本企業でさえ競争激化に直面し、海外でのビジネスモデルを刷新する必要があるのです。

※本コラムはMcKinsey & Companyのコラムを元にお届けします。

はじめに

グローバル企業を構築するためには、多くの日本人経営者が組織、マーケティング、戦略について新しく、馴染みのない方法で考える必要があります。過去に成功したアプローチ、たとえば日本市場の慣行を海外事業で再現することはもはや有用ではなくなっているのです。

ただし日本という眠れる巨人が目覚めつつあるのは良いニュースです。国際的なM&Aが増え、役員会での議論に新たな緊張感が生まれ、先進的な企業では英語をグローバルな企業言語として使用し、有能な外国人役員を採用するという大胆な動きも見られるようになりました。しかしこのような目覚めの多くはそのペースが遅く、戦略的というよりは場当たり的で混乱したアプローチであることも多いように思われます。

日本企業は、他国の企業に比べてグローバル性が低い。

生き残るための課題

日本の大企業は過去10年間、相対的に市場シェアを落としてきました。Fortune Global 500(フォーチュン・グローバル500)社の総売上高に占める日本企業の割合は、1995年から2009年の間に35%から13%まで低下しています。たとえば日本の経済産業省によれば、日本の長年の強みのひとつである電子機器は、世界の電子機器の輸出額に占める割合が1990年の30%から現在は15%未満まで低下しています。つまり多くの日本企業が成長を続けるためには、グローバル化以外の選択肢はないのです。

消費者層の縮小と生産性の低下

過去40年間、日本企業は自国市場を支配することで世界的なリーダーシップを獲得してきましたが、もはやそれは期待できません。日本の人口は現在の1億2700万人から、2040年から2050年にかけて1億人を切ると予想されています。人口が減少すれば個人消費の絶対水準はほぼ間違いなく低下し、税収もそしてGDP全体も減少する可能性があります。2008年末の日本の個人消費は220兆円で、GDPの59%を占めていました。2040年には293兆円に達すると(楽観的に)予測されていますが、これは一人当たりGDPが50%以上増加することを前提にしており現在のデフレ環境では想像もつかないことです。

もうひとつの経済問題は、国内に於ける生産性が世界に遅れをとっていることです。日本には世界をリードする産業や企業があるにもかかわらず、労働生産性は主要先進国の中で最低レベルです。そのため日本企業は一般的に競争力が低く、国内では外国からの攻撃に対しても脆弱です。日本の労働者は世界でも最も勤勉な部類に入りますが、集団としても個人としても非効率であり、特に工場で働かない労働者はそうです。本社の人員が過剰であること、社員が仕事の成果よりも努力を重視していること、日本企業がアウトソーシングやオフショア化を一部のIT関連業務に限定することで効率化を阻害していること、を日本の経営者は痛感しているようです。

海外進出状況

一方、日本の消費者のEC(電子商取引)への熱意と外国製品への開放性を利用して、かつては島国であった日本市場に外国企業が参入してきました。さまざまな点で長きに渡りユニークと言われてきた日本の消費者は、ヨーロッパやアメリカの消費者と同じようにふるまうようになってきていますが、彼らが求めているのは「価値」です。尚、日本に於ける「価値」とは、見た目は魅力的でスタイリッシュでありながら、従来の商品よりも大幅に価格が安い商品のことを指します。

一部の例外を除き日本企業ではそのような「価値」の提供が遅れており、海外の競合他社、特に製品の流通を大きく左右する企業に参入のチャンスを与えています。コストコ、H&M、IKEA、ZARAなど、価値とエキサイティングなショッピング体験、あるいはアマゾン、アップルなど、シンプルで直感的なユーザー体験の組み合わせによって企業は世界中の消費者を惹きつけてきたのです。また、ウォルマートのような企業はそのグローバルな影響力を利用して日本の多層的な流通システムを回避し、日本の競合他社よりも大幅に低い価格で製品を販売しています。海外勢のシェアはまだ小さいですが、その成長率は日本の大手競合他社を大きく上回ることが多いのです。

疲弊したイノベーション・モデル

かつて日本企業は、先進国市場の消費者に魅力的で革新的な製品を提供するリーダー的存在でした。しかし急成長する新興国市場の消費者は昔とは異なるニーズを持っています。また、新興国の消費者ニーズはさまざまであり、それを自国の研究開発拠点で把握することは困難です。この問題は新興国に限ったことではなく、日本企業はどこの国でも顧客との距離を縮めなければなりません。現在のメイド・イン・ジャパンのモデルでは十分ではないのです。

実際、新しい企業革新モデルは、製品のアイデア、顧客の洞察力、資金、人材があらゆるところから集まってきて、グローバルにコラボレーションしているものです。たとえばプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、イノベーションの取り組みの50%以上が外部の人間とのコラボレーションであると報告しています。また、資生堂の幹部は美容商品と販売チャネルの両方に於いて、同社のイノベーションのすべてが日本から生まれるとは想定できないと述べています。だから2010年に米国のBare Escentuals(ベアエッセンシャル)社を17億ドルで買収したのです。日本の伝統的な研究開発体制は、なぜ有効でなくなったのでしょうか。それは中国、韓国、台湾との競争の激化、部品調達、そして市場投入のスピードが原因です。

研究開発への投資はしばしばイノベーション(革新)の指標とされますが、日本がGDPの3.8%を研究開発に費やしていることは事実です。しかしこの見方は重要なポイントを見逃しています。かつて日本が独占していた多くの分野のイノベーションが今や日本以外の国からもたらされている、ということです。米国に本拠を置くNational Association of Manufacturers(全米製造業者協会)が2010年に発表した報告書では、シンガポールと韓国が日本を大きく引き離し、8位の米国をも凌ぐイノベーション大国として挙げられています。

【日本が絶対に】グローバル化しなければならない理由

グローバル化へ向けて

多くの日本企業は、その製造力、技術力、そして全体的な規模やスケールからもグローバルリーダーであるべきですが残念ながらそうではありません。我々は日本企業のグローバル・プロファイルをより良く理解するために、16の産業別に十大企業を分析しました。その結果、自動車を除く15業種の上位10社は、海外売上高比率、海外資産比率、海外株式保有比率のいずれに於いても海外の同業他社に比べグローバル性が低いことがわかりました。これらの指標から、日本企業は2006年から2009年にかけてグローバル化に向けて前進していないことがわかります(図表)。

日本企業は、他国の企業に比べてグローバル性が低い。

平均値がすべてではなく、日本企業の中にもこの基準から見てかなりグローバルな企業もあります。しかしほとんどの企業にとってグローバル化はまだ進行中です。マッキンゼー日本では、日本企業がグローバル化を成功させるために組織、マーケティング、戦略にわたって取るべき5つのステップを以下のとおり示しています。

グローバリゼーションを実現するために

多くの日本企業は、グローバル化のメリットを理解しています。しかし経営陣は、従業員にとって説得力のある「グローバル化ストーリー」、すなわちグローバルな目標、願望、価値提案に欠けているのではないでしょうか。大きな方向転換に伴なう不安を払拭し、組織を活性化させるようなかたちで、それらが広く理解され、適切に伝えられているでしょうか。このようなメッセージの作成に時間と労力を費やすことは些細なことに思えるかもしれませんが、従業員が納得しない限りグローバル化の取り組みはうまくいきません。

そのようななか、資生堂はいくつか成功するケースの特性を示しています。たとえば経営幹部はグローバル化のストーリーを社員にとって有意義なものにするために説明しなければなりませんが、資生堂の前田新造氏(現相談役)は2005年に最高経営責任者に就任するとグローバル化を最優先課題に掲げました。前田氏は「日本をオリジンとし、アジアを代表するグローバルプレイヤーになる」という会社のビジョンを常に社員に言い聞かせたのです。このポジショニングは、大規模な買収やグローバル・ローテーション・プログラムの確立によって強化された同社の全体戦略を、自国市場の重要性を低下させることなく明確にするものでした。

経営者は自社の強み、能力を明確に把握し、それをグローバル戦略の一部として組み込むことが必要です。資生堂の場合、それは研修と技術です。同社は毎年数千人規模でビューティーコンサルタントを教育しており、中国、ロシア、米国でも同様のアプローチを実施しています。資生堂の商品の多くは海外でコーポレートブランドを付けられていませんが、日本の研究、技術の結晶として販売されています。

その裏付けとなるのが経営幹部による力強い行動であり、時にはあまり評判の良くない行動でもあります。前田氏は就任早々、古くから持つ中小ブランドを切り捨て、国内外のカテゴリーリーダーにふさわしいグローバルメガブランドを倍増させましたが、ローカルブランドの余地も残しました。また、資生堂の売上の40%以上を占める海外事業の責任者として、経験豊富な外国人Carsten Fischer(カーステン・フィッシャー)氏を採用しました。フィッシャー氏は日本人の仲間入りをしたいという思いから、社長室を避け社員と同じ部屋での勤務を選びました。

社内公用語に英語を採用する

英語を会社の主要言語にすることには賛否両論あり、実行するのは難しいかもしれません。しかし、特にモノカルチャー(単一文化)である日本企業にとって、グローバル化の取り組みに於けるその重要性はいくら強調してもし過ぎることはないでしょう。私たちの経験では、フランスのDanone(ダノン)社やイスラエルのTeva Pharmaceutical(テバ製薬)社といった多国籍企業のグローバル化に於いて、ビジネスや社内交流のほとんどを英語で行なうという決定が重要な成功要因であったことが示唆されています。

英語への移行は、人材の世界を広げるという意味でも非常に重要です。グローバリゼーションを進める上で、より質の高い従業員へのアクセスは他のすべてにつながります。共通言語がなければ、部門や地域を越えて有能な人材を豊かに交流させることは困難です。他の言語を話す文化圏の人々にとっては苛立たしいことかもしれませんが、10億人近くが第一言語または、第二言語として英語を使用しているため、その流れは止めることができません。また、世界を目指す有能なアジア人は、日本語やロシア語ではなく、英語を学ぶ傾向にあります。

では日本企業はどのように英語を取り入れるのしょうか?これは大きな課題でもあります。2009年、米国への留学を希望する留学生に実施されるTOEFL(Test of English as a Foreign Language、外国語としての英語のテスト)で、日本は国際通貨基金(IMF)に加盟する先進国中、最も低いスコアでした。それでも楽天やユニクロは2012年までに社内公用語を英語にすると発表していますし、日産や武田薬品は多くの会議を英語で行なっています。東京大学などの名門校や日本の大手企業数社が、入学や入社の条件に英語で高得点を採ることを必須とすれば、全体の英語力が急上昇することが予想されます。

積極的な能力管理戦略の立案

典型的な日本人管理職は海外勤務を経験したことがなく、会社や事業部の外で仕事をしたこともありません。また、ほぼすべての上級管理職は日本人です。このような人たちは国内ビジネスのマネジメントには長けていても、変化の激しい競争市場でグローバル企業を経営する能力に欠けています。日本企業はこのハンディキャップを痛感しており、2010年に政府が263人の経営幹部を対象に行なった調査では、グローバル化の最大の障壁は「日本での人材確保、育成」であることが明らかになりました。

一般的に日本企業の人事モデルは、国内ビジネスには適していますが国際ビジネスには適していません。日本の人材マネジメントの特徴は終身雇用、平等な報酬、終身雇用です。人事部門はほぼ全面的に、偏差値ベースの採用活動と終身雇用制の昇進制度を維持することに注力しています。

また、海外経験が昇進に不可欠でないばかりか、逆にしばしばマイナスとみなされたりもします。日本の組織は単一文化、単一言語であることが多く、外国人が成功するのは難しいのです。また、女性の昇進も同様に難しいものです。The World Economic Forum(世界経済フォーラム)が発表した「Gender Gap Index 2010(ジェンダー・ギャップ指数2010)」では、日本は134か国中94位でした。高所得国の中でこれより低いスコアを記録したのは韓国だけでした。

日本企業の多くは、人事部の役割を見直し、キャリアパス、報酬、業績評価などに新しいアプローチを取り入れた雇用戦略を採用する必要があります。コマツや資生堂のように前進している企業もありますが、それ以外のところでは進展が遅れています。最良の能力管理プログラムは、すべてのレベルで能力主義を適用し、多様性を重視しています。また、単にポジションを埋めるだけでなく、戦略的に人材を管理し、優秀な人材を集め、その居場所を確保します。以下は日本企業が能力管理を向上させるために取るべき基本的なステップです。

  • 多様性を受け入れ、女性、外国人、他社・他業界の日本人管理職に対して意欲的な目標を設定する。ノルマ制を推奨しているわけではないが、目標がなければ人事組織を指導することも進捗を確認することもできない。
  • トップ100〜200の管理職を対象に、海外勤務を可能にするグローバル・ローテーション・プログラムを作る。このプログラムでは元のポジションを保証し、参加することと昇進を結び付けるべきである。グローバリゼーションと同様の戦略的プロジェクトは、このグループの能力と経験を向上させるのに役立つ。
  • 人事部には、社内の人材配置や採用だけでなく、人材戦略や人材育成の責任を持たせる。この責任には幅広いリーダーシップ開発プログラムの確立や、管理職に対するコーチングのサポートが含まれる。

たとえばコマツには独自のマネジメント研修制度があります。また、コマツの社員は海外経験を積めば昇進できることを知っています。実際、日本にいるコマツの役員の3分の2以上には、海外で有意義な仕事をした経験があります。資生堂は日産やソニーに続き、海外事業を統括するトップとして外国人を採用し、日本初の「アップ・オア・アウト制度(規定年数以内で昇進できなければ退社を余儀なくされる制度)」を導入しました。

グローバルマーケティング機能の構築

近年、日本の消費財メーカーはその技術力や製造力をブランドエクイティ(資産価値)や海外の消費者に合わせた製品に反映させることに苦労しています。実際、消費者を理解しようとする時間が少な過ぎであり、シェアを拡大したい市場とは切り離されている場合が多いのです。日本の大手消費者関連企業の経営者の多くは、アップル、P&G、サムスン、ユニリーバなどのように、研究開発室中心の製品開発ではなく、消費者重視の製品開発を徹底する取り組みで遅れをとっていると内心では認めています。

日本の有名企業の中には、製品開発グループと販売チーム、そして日本の大手広告会社との契約だけで十分だと考え、適切なマーケティング機能を持たない企業があります。しかしこのようなアプローチには限界があります。製品開発のスピードがますます速くなり、製品、価格、チャネルが均質化しているため、マーケティングとブランディングがかつてないほど重要になっているのです。たとえば韓国のサムスンは、アップルがiPadを発売してからわずか6か月後の2010年11月にGalaxy Tabを発表しました。

すなわちイノベーション(革新)と製品開発プロセスに於いてグローバル・マーケティングが重要な役割を果たし、一貫した顧客体験を提供し、他の産業や市場からの洞察を吸収し、消費者ニーズをより良く理解するために最先端の技術を使用している必要があるということです。任天堂やトヨタ自動車など一部の日本企業は、強力なグローバルブランドと充実したマーケティング能力を併せ持ちますがこれらは例外です。

ブランドは、戦略的に選択された顧客層に効果的に伝達される独自の価値提案を持っていれば、その所有者にとって計り知れない利益をもたらすものです。しかし日本の消費財メーカーにとって、ブランドマネジメントという概念は馴染みが薄いものです。また、各ビジネスユニットや地域毎にブランドを管理する傾向があり、その結果ブランドのアイデンティティや体験に一貫性がなくなってしまうことがあるのです。2010年、WPP BrandZ Top 100にランクインした日本企業はわずか5社でした。このランキングに掲載された企業のブランド資産のうち、日本企業の占める割合は5%未満だったのです。

それなりのブランド資産を築いているグローバル企業の大部分では、最も重要なマーケティングの意思決定は最高経営責任者または、それに相当する事業部門の長あるいは、最高マーケティング責任者(CMO)など組織の最高意思決定者直属の人物が行なっています。このような企業では、グローバルとローカルのマーケティングのバランス、市場投入チャネルのトレードオフ、新しい広告メディアへの投資額などについて、最終的な判断を下すのはCMOです。しかし売上高10億ドル(1327億円)以上の日本企業でCMOがいるのは1%未満であるのに対し、同規模の米国企業では10%以上となっています。たとえば日本の飲料メーカー上位12社のうち、CEO直属の、独立したマーケティング組織を持つ企業は1社しか見付かりませんでした。

ではグローバルに活躍する日本企業が、真のブランド志向になるにはどうしたらいいのでしょうか?

  • CMOはどのような権限を持ち、組織構造のどこに位置付けけられるべきかを決定する。少なくともグローバルなブランド資産思考が身につくまでは、CMOはすべての重要な意思決定の場で不釣り合いなほどの発言力を持たなければならない。
  • ブランド価値の目標にふさわしいマーケティング人材を採用する。重要なポジションには、日本文化と同様にグローバルなマーケティングの洞察に精通した人材を配置する必要がある。別の考え方を取り入れるために、他の業界や地域からマーケティング人材を採用することも必要。
  • グローバルビジネスユニットやブランドのオーナーに権限を委譲する。マトリックス構造(カントリーマネジャーとグローバルブランドおよび、ビジネスユニットのオーナーの両方が権力を共有する組織の特徴)には課題がある。しかしすべての意思決定を特定の地域に委任することは、グローバルビジネスの成功にはつながらない。マーケティング担当者は、国境を越えて消費者が属する「部族」を特定する傾向がますます強まっている。それぞれのアーキタイプには、類似した製品やブランドが含まる一方、インターネットの普及により企業はグローバルなマーケティング・メッセージの調整を余儀なくされている。日本企業にとって世界をリードするグローバルな消費者企業のアプローチに近いモデルにシフトすることは、それを採用することに伴なう短期的な痛みに値し、おそらくグローバルなブランド資産を高めることになる。

戦略的な事業展開の実現に向けて

本格的なグローバル化の試みは、必然的にM&Aやジョイントベンチャー、アライアンス(提携)の増加、その他の拡大モデルの活用につながります。日本企業がこの分野で積極的に行動しなければならないのは明らかです。なぜなら多くの市場に於いて自然と成長することは、重要でありながらも競争力に必要な規模を得ることにはつながらないからです。

日本企業は海外との取引に決して消極的ではありません。実際、円高や国内市場が縮小しているという認識もあって最近はM&Aが増えており、個々の案件には成功したものもあります。しかし日本企業で連続買収に挑戦し、シスコシステムズやP&Gのように成功した企業はごくわずかです。楽天は12か月間で中国、フランス、インドネシア、米国で買収を完了させた、日本の大手オンラインショッピングサイトのひとつです。

M&A以外にも、多くの企業が商社との提携、少数合弁事業、アライアンスなどを試みてきましたが、一般的にこれらのアプローチは期待外れでした。その理由のひとつは企業が能力を構築したりベストプラクティスを共有したりすることができないためであり、結果はせいぜい国際的な収入源や新しい市場への初歩的なアクセスを提供する程度でした。実際、日本の多国籍企業の多くは真のグローバル企業としてよりも、海外子会社の持ち株会社として活動しています。日本の多国籍企業は企業を買収する際、収益の統合以外はほとんど行わず、コスト削減の機会、買収した企業の有能な従業員の参加、最高の製品を特定しそれをグローバルに展開する機会をも無視します。場合によっては、日本の買収者は競合する企業の少数株主持分を取得したにもかかわらず、対象企業がどのように成長するかについては無関心なままであることもあるのです。

このような非効率的なポストマージャー・マネジメント(M&A成立後の統合管理)は、言語や文化の違いに起因することが多く、日本の上級管理職から不満の声が聞かれます。私たちが知る限り、海外で買収を行ない、買収先の本社にチームを送ったものの、コミュニケーションの問題やベストプラクティスの共有方法が明確でないために、ほとんど成果を上げることなく帰国した日本企業が複数あります。

日本企業の中には、本業とは全く異なるビジネスモデルでグローバリゼーションを試みる企業があります。本社の制約から解放され、全社的な実験と自国市場へのバイアスを排除した意思決定が可能なケースです。日本本社で行なっている既存のビジネスはそのままに、経営者は海外で学んだことを本社と共有することができます。国内市場と海外市場の区別をなくすための組織変更、海外事業の買収と試験的な利用、事業部門の海外移転など、経営者はさまざまな方法でセカンドホームを作ることができるのです。

この方向で動いているのがパナソニックです。2010年末、同社の大坪文雄氏(現特別顧問)は、消費者向け製品のマーケティング業務に於いて、国内市場とグローバル市場の区別を撤廃することを発表しました。日本限定の「ナショナル」ブランドを廃止し、新興国向けの手頃な価格の製品開発に力を注いでから2年後の決断です。また、キャタピラーに次ぐ世界第2位の建設機械メーカーであるコマツは、事業部の事業計画の見直しを東京本社ではなく、主要8市場のそれぞれで毎年行ない、その重要性をアピールしています。

日本企業が国際的に成長するためのもうひとつの方法は、国内の競合企業とのジョイントベンチャーです。コスト高、規模不足、海外市場での経験不足などの理由から海外プロジェクトで競争できない場合が多いため、協業を検討することができます。日立製作所と三菱重工業が海外向け鉄道システムで協業することを合意するなど、このような例は増えています。

最後に

グローバリゼーションは目的を達成するための手段です。その目的とは、利益成長と価値創造、より豊かな資産と人材プールへのアクセス、従業員と投資家へのより魅力的な価値提案という自己強化サイクルを生み出し、維持することです。そこに到達するのは難しく、多くの日本企業は大きな変化を遂げなければなりませんが、その多くは規模、自国市場での相対的な強さ、圧倒的な品質基準とサービス、高齢化とデジタル化の進んだ人口を相手にした経験など、かなりの優位性を持ってこの道を歩み始めることになります。このコラム執筆時点では、日本企業は国際取引を行なうための強力な通貨も持っています。

とはいえ、日本の多くの経営幹部にとって海外は前途多難でしょう。このような状況下では、「変えなければならない」という結論に達しても、どのようにすれば組織を新しい方向へ向かわせることができるのか、想像も付かないかもしれません。このような場合、今後数年間はグローバル化の加速を最優先課題とし、「ボートを潮流に乗せる」ことが最も効果的な方法であると私たちは考えます。

まとめ

以上、「【日本が絶対に】グローバル化しなければならない理由」でしたがいかがでしたでしょうか。

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