翻訳の品質を議論するときはいつも、こんな疑問がすぐに頭に浮かびます。

「ある言語のものを別の言語で伝えることがどれほど難しいというのか?それはただの等価交換ではないか。」と。

しかし事実はその真逆です。

翻訳というのは、二つの岸に橋を架けるとか、二つの点を結ぶというような簡単なことのように思えるかもしれませんが、実際には翻訳、特に質の高い翻訳を実現することはとても難しいことなのです。

以下では、翻訳品質に関する一般的な課題をいくつか挙げています。

※本コラムはAD VERBUM社のコラムを元にお届けします。

「大したことのない作業」として翻訳を見下した

The ATA Chronicle(アメリカの通翻訳者団体ATA(American Translators Association)の機関誌)」2017年版に掲載された、受賞歴のある文学愛好家Ros Schwartz(ロス・シュワルツ)氏の引用では、翻訳を「別の言語で入力する」という言葉で表現していますが、これは「翻訳というものがそれほど複雑で多大な労力や投資を必要とするものではない」ということを示唆しています。

少なくとも翻訳サービスを利用する可能性のある、ほとんどの人たちにとってはそうなのでしょう。

しかし興行成績と同様に、文化や言語の境界を打ち破り、世界的に傑出した存在感を示しているMarvel Entertainment(マーベル・エンターテイメント)社のようなコングロマリット(複合企業)のケースを考えてみてください。

映画「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」の韓国語版は、翻訳の質が低いだけでなく、観客の怒りを買い、翻訳者の解雇を求める嘆願が出され、韓国での売り上げに大打撃を与えたのです。

これはつまり、「翻訳品質を軽視してただで済むと思っているのか」という話なのです。

翻訳リソースへの出費をケチった

同じように、翻訳コストを「ケチる」ことはクライアントの厳しい要求や期待に応えるために必要な経験や専門知識が十分でない、未熟なリソースを使うことを意味し、高品質の翻訳を確保する上で不利になります。

そしてそれは自社ブランドやビジネスのイメージに泥を塗るような、魅力のない翻訳ができてしまうことに直結するのです。

質の悪い原文への対応を怠っている

翻訳の品質を左右する認知バイアスや人的要因に加え、翻訳が対象読者にとって如何に効果的で適切なものであるか、という点で言語的な側面も同様に決定的な意味を持ちます。

原文(翻訳の元となる文章)の準備不足から生じるリスクを吸収してまで翻訳プロセスのスピードアップを図る、という幻想は不正確な翻訳や誤訳を誘発するだけでなく、翻訳プロセス全体に費やされる時間や労力が倍増して、関係会社の納期に影響を与えることになります。

原文の間違いや不正確さは、翻訳した文章の間違いや不正確さをさらに増やすことになるのです。

取扱説明書などの場合は翻訳する前に十分に内容を確認し、すべてが正しく表現されているかどうかを確認してください。

特に原文が翻訳に使われるだけでなく、同じ言葉を使う国向けの製品に同梱される(つまり原文が原文のまま読まれる)ことを考えればなおさらです。

【翻訳の品質に悪影響を与える要因】トップ5

第三者によるレビューと言語品質評価をしていない

文章に求められる品質を実現するためには、翻訳、編集、校正、そして継続的な改善という、綱渡りのような作業が必要となります。

そこで言語の品質を保証できる第三者の鋭い目と反射神経が、国際標準や業界標準、認定用語データベース、スタイルガイドなどに基づいてコンテンツの言語品質を美しいものにするために、最も重要な役割を果たすのです。

ですので翻訳品質の鍵を握るこの「LQA(language quality assessments、言語品質評価)をしない」という選択肢としてあり得ないのです。

原文に忠実にし過ぎている

Jorge Luis Borges(ホルヘ・ルイス・ボルヘス、アルゼンチン出身の作家、小説家、詩人)は、彼らしい多彩な文学スタイルで、「The original is unfaithful to the translation.(原文は翻訳に対して不誠実である)」という有名な言葉を残しています。

なぜなら、インパクトのある質の高い翻訳とは、無味乾燥で一語一句を平凡に翻訳したものでなく、原文をターゲット言語に合わせて「作り変える」力であるからです。

翻訳の質に大きく悪い影響を与えるのは、「原文に忠実であること」、そして「メッセージを伝えるターゲット言語の文化的背景やニュアンスを把握していないこと」なのです。

最後に

ここまで述べてきたように、文化的背景やビジネスアイデンティティの中核となるような質的な要件を翻訳が満たすには、より多くの困難な基準をクリアしなければなりません。

翻訳というものを軽視せず、言語処理のひとつひとつのステップに時間と手間を惜しまず、丁寧な仕事を心掛ける必要があるのです。

最高品質の翻訳サービスと優秀な専門家により、翻訳はグローバルかつ適切な表現ができるものとなり、お客様のビジネスが抱える言語の問題を克服するための新たな方法を見出すことができるものになるのです。

まとめ

以上、「【翻訳の品質に悪影響する要因】トップ5」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。

高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせボタン