ChatGPTは今、テクノロジーに於ける最もホットな話題です。

このモデルの可能性は非常に大きく広範囲に渡っており、AIが将来的に翻訳やローカライズを含む、ほとんどの産業に影響を与えることは間違いないでしょう。

このツールを試した多くの人がその結果と能力に驚く一方、この新しいテクノロジーが今後数年、数十年の間にもたらすであろう影響について懸念する人も中にはいるようです。

ChatGPTとその業界への影響についてもっと知るために、ChatGPTそのものに聞いてみることにしました。以下はその結果です。

※本コラムはCommit Globalのコラムを元にお届けします

ChatGPTとはなにか?

ChatGPTはOpenAIで学習させた大規模言語モデル(LMM)です。様々な自然言語のテキストを理解し、それに応答することができます。

質問に答えたり、テキストを生成したり、様々な言語で課題に応えることができます。

インターネット上の膨大なテキストデータセットで訓練されているので、幅広いトピックに関する知識を持っています。

翻訳・ローカライゼーション業界に与える影響は?

ひとつの言語モデルとして、ChatGPTは翻訳・ローカライゼーション業界に大きな影響を与える可能性を秘めています。

複数の言語を理解し、テキストを生成する能力を持つことにより、翻訳プロセスを自動化し、より速く、より正確にするために使用される可能性があります

その結果企業は新しい市場に進出し易くなり、個人は異なる言語を話す人とコミュニケーションをとることができるようになります。

さらに、文脈を理解し、人間のようなテキストを生成するChatGPTの能力は、異なる文化や地域向けにローカライズされたコンテンツを作成する際にも役立つでしょう。

ただし翻訳やローカライズに使用するには、慣用的な表現や文化的な言及、微妙なニュアンスなど、ChatGPTのような機械モデルではとらえきれない多くの課題が残されていることに留意しておく必要があります。

翻訳者や翻訳会社の社員が職を失う可能性は?

自動翻訳(機械翻訳)技術の利用拡大により、一部の翻訳者や翻訳会社の社員が職を失う可能性はあるでしょう。

ただしすべてが自動翻訳(機械翻訳)に取って代わられるのではなく、それをサポートツールとして使うという、新しい働き方に適応する必要が生じる可能性もあります。

さらに、自動翻訳(機械翻訳)の普及に伴い、言語技術の分野で新たな仕事の機会が生まれる可能性もあります。

最終的に、翻訳者や翻訳会社の社員の雇用市場に与える影響は、自動翻訳(機械翻訳)がどれだけ広く採用され、さまざまな業界でどのように使われるかによると思われます。

Google翻訳やDeepLなども凌駕するのか?

ChatGPTはリアルタイムで回答を提供することができますが、Google翻訳やDeepLのような自動翻訳(機械翻訳)ツールを置き換えるようには設計されていません

それらツールは自動翻訳(機械翻訳)に特化して設計されていますが、ChatGPTは汎用的な言語モデルであり、自動翻訳(機械翻訳)だけでなく、質問への回答、文章の要約、クリエイティブなコンテンツの執筆など、言語に関する幅広いタスクを実行することができます。

自動翻訳(機械翻訳)ツールとChatGPTのような汎用言語モデルにはそれぞれ長所と短所があり、特定の用途に対して互いに補完し合うことができます。

Google翻訳やDeepLのような自動翻訳(機械翻訳)ツールは、自動翻訳(機械翻訳)のためだけに特別に設計され、最適化され、大量のテキストと複数の言語を処理することができます。

また、膨大な量の並行テキストで学習させることで、ほとんど場合正確な翻訳を行うことができます。

それらのツールは文や短いパラグラフをある言語から別の言語に翻訳するような、簡単で直接的な翻訳によく使われます。

一方ChatGPTのような汎用言語モデルは、自動翻訳(機械翻訳)だけでなく、質問への回答、文章の要約、クリエイティブなコンテンツの執筆など、言語に関連する幅広いタスクに対応するように設計されています。

ChatGPTは膨大な量のデータで訓練されているため、言語を深く理解し、人間のようなテキストを生成することができるのです。

そしてそれは言語生成、言語理解、対話システムなど、より複雑なタスクに使用することができます。

自動翻訳(機械翻訳)ツールも汎用言語モデルもそれぞれに長所と短所があり、特定の用途に於いては互いに補完し合うことができます。

たとえば自動翻訳(機械翻訳)ツールは大量のテキストを素早く翻訳するために使用し、汎用言語モデルはよりクリエイティブでニュアンスのあるコンテンツに対して人間のような翻訳を生成するために使用することができます。

【ChatGPTは翻訳業界に影響を与えるか?】ChatGPTに聞いてみた

大規模言語モデルは自動翻訳(機械翻訳)より有能なのか?

自動翻訳(機械翻訳)に比べ、大規模言語モデル(LLM)ツールを使った翻訳には以下のようにいくつかのメリットがあります。

柔軟性

大規模言語モデル(LLM)は機械的に翻訳するだけでなく、質問への回答や文章の要約、クリエイティブなコンテンツの執筆など、言語に関するさまざまなタスクに対応することができます。よって自動翻訳(機械翻訳)に特化した機械翻訳ツールに比べて汎用性が高いと言えます。

カスタマイズが可能

大規模言語モデル(LLM)は特定のデータセットで学習させることで、特定のドメイン、スタイル、または言語に合わせて微調整することができます。これにより翻訳をよりカスタマイズすることができ、特定の業界や用途に有効です。

品質

大規模言語モデル(LLM)は自動翻訳(機械翻訳)ツールで生成された翻訳よりも、より人間に近いニュアンスの翻訳を生成することができるため、洗練された言語を必要とするクリエイティブなコンテンツやニュアンスに富んだコンテンツに有効な場合があります

希少言語や低リソース言語への対応

大規模言語モデル(LLM)には自動翻訳(機械翻訳)ツールの性能を制限する要因であるパラレルテキスト(用例対訳、対訳文書)がないので、データ量が少ない言語にも対応できます。

慣用表現、比喩的表現、文化的言及の扱い

大規模言語モデル(LLM)は自動翻訳(機械翻訳)ツールでは扱いが難しい慣用表現、比喩表現、文化的参照などを考慮し、より文化的に適切な翻訳を生成することも可能です。

以上、大規模言語モデル(LLM)は、より強力になる一方でより多くの計算資源を必要とし、訓練や微調整がより複雑になることも念頭に置く必要があります。

さらに、大規模言語モデル(LLM)が生成する翻訳の品質は、学習データの質と量、微調整のプロセス、使用する特定のモデル・アーキテクチャにも依存する可能性があります。

大規模言語モデルが自動翻訳(機械翻訳)より優れている例は?

自動翻訳(機械翻訳)ツールよりも大規模言語モデル(LLM)の方が良い翻訳結果を得られる可能性が高い文の例は以下の通りです。

「The cat’s out of the bag.」は「秘密を明らかにする」ことを意味する慣用的な表現です。自動翻訳(機械翻訳)ツールではこの文章を(「鞄から猫を出す」と)直訳してしまい、意図した意味が伝わらない翻訳になってしまうかもしれません。

しかし大規模言語モデル(LLM)ならこの表現の慣用的な意味を理解し、ターゲット(翻訳した後の)言語で意図した意味を伝える翻訳を生成することができます。たとえば「The secret is out.」もそうです。

他の例としては比喩的な意味を持つ文があります。 「It's raining cats and dogs.」 は「大雨が降っている」ことを意味する慣用表現です。

自動翻訳(機械翻訳)ツールでは、この文章を(「猫や犬の雨が降っている。」と)直訳してしまい、意図した意味が伝わらない翻訳になってしまうかもしれません。

しかし大規模言語モデル(LLM)ならこの表現の慣用的な意味を理解し、ターゲット(翻訳した後の)言語で意図した意味を伝える、「土砂降りの雨だ」という翻訳を生成することができます。

大規模言語モデル(LLM)がすべてのケースで自動翻訳(機械翻訳)ツールより優れているというわけではありませんが、自動翻訳(機械翻訳)ツールでは扱いが難しい慣用表現、比喩的な表現、文化的な参照などを扱う上で、より強力である可能性があることは留意すべき点です。

オンライン通訳に貢献する可能性は?

ChatGPTがライブ通訳サービスに貢献する可能性があります。

しかしこの特定の用途のためにモデルを最適化するには、さらなる開発と微調整が必要になる可能性があります。

たとえばChatGPTのようなモデルを特定の言語、ドメイン、スタイルに微調整し、ライブイベントや会話中にリアルタイムで翻訳を生成するために使用することができるでしょう

そのようなアプリケーションの実現には高性能なモデルと優れたユーザーインターフェイスが必要ですが、それは確かに可能であると言えるでしょう。

ライブ通訳サービスに於けるChatGPTの応用例として音声合成(TTS)システムの利用が考えられますが、ChatGPTを使って音声言語を生成することで、書き言葉のリアルタイム通訳を提供することができるようになります。

これは遠隔地やオンライン会議など、人間によるライブ通訳が不可能な状況に於いて特に有効であると考えられます。

テキストから自然な音声を生成するために使用するこの方法はText-to-Speech(TTS、音声合成)として知られており、自動翻訳(機械翻訳)とはまた異なる分野です。

TTS(音声合成)ではChatGPTのようなモデルがテキストを入力として受け取り、人間が話しているように聞こえる音声出力を生成することができます。

この技術は音声アシスタント、自動顧客サービスシステム、視覚障害者のためのアクセシビリティツールなど、さまざまなアプリケーションですでに使用されています。

ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)に基づくTTS(音声合成)システムが生成する音声の品質は、モデルの品質、学習データの品質、使用する特定のTTS(音声合成)アーキテクチャに依存することは注目に値します。

しかし一般的に大規模言語モデル(LLM)に基づくTTS(音声合成)システムは、非常に自然な音声を生成することが示されており、より多くのデータと優れたモデルが利用可能になるにつれ、時間の経過とともに改善されていくことが期待されます。

ライブ通訳サービスに於けるChatGPTのもうひとつの応用例として、同時通訳システムというかたちが考えられますが、ChatGPTを使ってリアルタイムに翻訳を生成することで、話し言葉の翻訳をほぼリアルタイムで提供することができるようになります。

ただし、ChatGPTはリアルな音声合成を行うことはできますが、「このタスクのために特別に設計され最適化された現在の音声合成(TTS)モデルほど高度ではない」ことに留意する必要があります。

また、書き言葉や話し言葉をリアルタイムで音声翻訳するためには、高速で安定したインターネット接続と、膨大な計算資源が必要になります。

まとめ

以上、「【ChatGPTは翻訳業界に影響を与えるか?】ChatGPTに聞いてみた」でしたがいかがでしたでしょうか。

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