人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)のどちらを使うかを決めるときは、ビジネスニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
以下の統計をみるとどんなことが問題になっているかがわかります。
- CSA Researchが実施した調査によると、オンライン消費者の76%が、自分の母国語が使われているコンテンツを提供している企業から購入しています
- 最近のMultilingual CX Reportによると、64%の消費者が、そのブランドが多言語体験を提供してくれるならもっとお金を払ってもいいと答えています
- インターコムが実施した調査によると、29%の企業が、多言語サポートを提供しなかったために顧客を失ったことがあると報告しています
人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)、それぞれの長所と限界をみて、十分な情報に基づいた決断ができるようにしましょう。
本コラムでは、
- 人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)の違いについて、 最も経済的な選択肢はどちらか?
- 品質面ではどうなのか?
- 自社ビジネスにとってより良い翻訳の選択肢はあるか?
といった疑問に答えます。
※本コラムはTomedes社のコラムを元にお届けします
目次
人間翻訳 vs 自動翻訳(機械翻訳)
人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)の論争は当分続くでしょう。そしてそれぞれの熱狂的な支持者に出くわすこともあるでしょう。
しかし私たちは、より客観的なアプローチを取ることをお勧めします。
どちらか一方を選ぶ前に、人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)について学んでみてください。そして自社のワークフローに合うのはどちらかを見極めてください。
その過程で人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)、それぞれの長所を生かせる別の選択肢を選ぶことができるかもしれません。
人間翻訳: 品質、共感、そして文化認識
人間翻訳とは、ある言語から別の言語へ人間の翻訳者がテキストを翻訳するプロセスを指します。
文法、構文、文脈など、言語の複雑な要素を考慮するこのタイプの翻訳は、自動翻訳(機械翻訳)よりも正確で、実用的とされることが多いものです。
プロの翻訳者は、機械には真似のできない共感と文化的認識をもたらすことができます。
マーケティングやクリエイティブな資料を作成する際にも、人間である彼らの方がより多くの人に共感してもらうことができます。
また、法律や医療などの特殊な業界では、法廷で認められるために認定された法律翻訳者が必要になる場合があります。
しかし人間による翻訳は自動翻訳(機械翻訳)よりもコストが高くなります。
また、人間の翻訳者は時間が掛かると思っておいたほうが良いでしょう。機械と違って、人間は休まなければなりませんから。
自動翻訳(機械翻訳): スピード、スケーラビリティ、コスト削減
自動翻訳(機械翻訳)とは、コンピューターソフトウェアを使用して、ある言語から別の言語へテキストを翻訳するプロセスを指します。
自動翻訳(機械翻訳)システムは一般的に、「統計的機械翻訳」と「ニューラル翻訳」という二つのタイプに分かれます。
自動翻訳(機械翻訳)の精度の信頼性について躊躇する人もいますが、ニューラル機械翻訳は技術文書から大量のユーザーデータまで、さまざまなテキストを正確に翻訳することができます。
自動翻訳(機械翻訳)ソフトウェアは人間の翻訳よりもはるかに速く効率的であるため、多くの企業や組織で人気のある選択肢となっています。
しかし感情的で創造的なコンテンツに関しては、自動翻訳(機械翻訳)はしばしば的外れなことをします。
また、機械は言語に関する実際の経験がないため品詞やスラングも理解できません。そのため自動翻訳(機械翻訳)は、場合によっては滑稽なミスをすることもあります。
そして重要な文書では、たったひとつのミスが壊滅的な影響を与えることもあります。
人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)をどう使い分けるか?
人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)のどちらを使うべきかは、言語のペアリング、予算、翻訳するテキストの種類など、さまざまな要因によって決まります。
いくつかの計画を立てることでこのプロセスをより簡単にすることができますが、役立つヒントのいくつかは以下のとおりです。
言語ペア
「○○語と○○語」という言語のペアリングによっては、自動翻訳(機械翻訳)が適していないこともあります。
ある言語ペアをニューラル機械翻訳できるかどうかは、その言語に関するデータの有無や、その言語ペアの開発に専念するリソース(開発者、開発会社)があるかどうかなど、さまざまな要因に左右されます。
また、使用者の極端に少ない希少言語など、言語によっては特に翻訳が難しい場合もあります。
ただしニューラルネットワークが成長し進化するにつれて、機械は限られたデータで言語を翻訳することができるようになるでしょう。
GoogleのZero-Shot Translation(ゼロショット翻訳、明示的なトレーニングを受けていなくとも実現する翻訳方式)は正しい方向への一歩です。
しかし今のところ少数民族の言語には人間の翻訳が最適かもしれません。
予算
翻訳に掛ける予算を決めることで、選択肢を絞り込み、時間を節約することができます。
コンテンツ数が多く、予算が限られている場合は、自動翻訳(機械翻訳)を利用することで大幅なコスト削減が可能です。
一方、正確さを最優先するのであれば、人間翻訳が最適な場合もあります。
代替案としては、自動翻訳(機械翻訳)と人による「ポストエディット」を組み合わせたハイブリッドなアプローチで、正確性を確保しつつ翻訳コスト全体を削減するという方法があります。
のちほど詳しく説明します。
予定
プロジェクトの予定から考えましょう。
少ない時間枠の中で大量のテキストを翻訳する必要がある場合、自動翻訳(機械翻訳)ならコンテンツを迅速に提供できます。
しかし流暢さと正確さを重視するのであれば、人間翻訳を検討すべきです。
文書の種類
どのような文書を翻訳するのでしょうか。
契約書など法律関係の翻訳が必要な場合は、熟練した人間の翻訳者を活用したいものです。
しかしシンプルで繰り返しの多い文章であれば、自動翻訳(機械翻訳)で十分な場合もあります。
目的
翻訳の目的について考えてみましょう。
たとえば医療記録には人間による翻訳が最適であることが多いものです。
業務遂行に必要不可欠な翻訳では、翻訳する前の、元の文章の完全性を確保するために、翻訳者が持つ専門知識が必要です。
一方、電子機器のユーザーガイドなどの場合は、自動翻訳(機械翻訳)が有効です。
その他サービス
ただ翻訳するだけでなくローカライズ(現地最適化)を行う場合は、製品やサービスをより早く市場に投入するためにも、フルサービスの翻訳会社を選んだほうが良いでしょう。
そうすればそれぞれを別の会社に依頼する手間が省け、プロジェクト全体を一か所で処理することができます。
人間翻訳から自動翻訳(機械翻訳)および、それらのハイブリッドな翻訳方法(ポストエディット)まで、包括的なサービスを提供する翻訳会社を利用を考えてみてください。
中にはターゲット地域のマーケティング、ローカルのSEO調査、さらにはソフトウェアテストなどのローカリゼーションサービスも提供する、総合的な翻訳サービス会社もあります。
未来予想図: 自動翻訳(機械翻訳)は人間の翻訳者に取って代わるか?
答えはNOです。翻訳の世界には人間が活躍する場があり、人間の翻訳者が必要であり続けるでしょう。
ただし将来的には機械がますます重要な役割を担うようになることが予想されます。つまり、人間の翻訳者の役割も変化していくと思われます。
実際に人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)の業界のトレンドは次のとおりです。
自動翻訳(機械翻訳)の未来:ニューラル翻訳
ニューラル翻訳の未来は有望です。
この技術の開発に投資されたより多くのデータとリソースによって、ニューラル機械翻訳はますます効果的かつ効率的になっていくでしょう。
新しい技術やアプローチは常に開発されており、ニューラル機械翻訳がより広範な言語ペアを処理する能力を向上させる可能性があります。
人間翻訳の未来
ニューラルネットワークの進化に伴い、翻訳者に残された役割は何かと考える人が増えてきました。
しかしこれだけ変化が激しい中でも、まだ具体的な答えは出ていないようです。
翻訳者は技術を学ぶべきだという意見もあります。また、機械と一緒に働くべきだという意見もあります。
しかしその判断は翻訳者自身に委ねられているのが実情です。
人間の翻訳者は、自動翻訳(機械翻訳)の進歩に重要な役割を果たすことができます。
これまでの自動翻訳(機械翻訳)技術の発展に、翻訳者は大きな影響を及ぼしてきました。
ハイブリッドなワークフロー: 人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)の融合
ハイブリッドな翻訳ワークフローである「ポストエディット」は、自動翻訳(機械翻訳)のスピードと人間翻訳の専門性を組み合わせることで一貫性のある自然な仕上がりを実現します。
この方法により専門的な文書も効率的に翻訳することができるようになりつつありますが、人間の翻訳者の共感と経験を活用することで、ポストエディットはコンテンツやテキストをより読み手に親しみ易いものにします。
最後に
自動翻訳(機械翻訳)は間違いなく、人間の翻訳とは大きく異なるものです。
それはまだ決して完璧ではありませんが、人間の翻訳者は自動翻訳(機械翻訳)に順応し、良い方向に利用し始めつつあります。
自動翻訳(機械翻訳)の研究者は失われた言語を発見し、Googleのゼロショット翻訳は24の未対応言語を追加し、3億人に母国語でつながる機会を与えています。
その進歩は感動的であり、可能性は無限大です。数年後には、世界中の視聴者とつながるための選択肢がさらに増えていることでしょう。
自動翻訳(機械翻訳)は言語分野の常備品と言えます。世界中の企業が機械がもたらす可能性を受け入れています。
なかには人工知能を信頼することに抵抗がある人もまだいますが、それもまた変化していくことでしょう。
まとめ
以上、「【人間翻訳と自動翻訳(機械翻訳)】その違いとは?」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。