翻訳の外注をお考えの場合は、そのリスクを認識しておく必要があります。翻訳会社に依頼する際は、そこに多くの落とし穴が潜んでいる可能性があるのです。
注意を怠ると、損失を被ったり翻訳の品質が損なわれたりする可能性があります。本コラムでは、翻訳サービスを外注するときのリスクとその回避方法についてご紹介します。
※本コラムはInnovolo Group Ltd社のコラムを元にお届けします
目次
リスクその1:ターゲット層を考慮に入れていない
翻訳を外注するとき、対象読者であるターゲット層を考慮しないのは大きな間違いです。あなたが作成するテキストは、特定の対象読者向けであることを忘れてはなりません。
対象読者を考慮しなければ、誰も相手にしていないことになります。対象読者は、あなたの言っていることを理解しなければならないので、彼らが理解できる言葉を使うようにしてください。
たとえば、子ども向けの文章であれば、学術的な文体は使わないようにしましょう。少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、対象読者を無視することは思っている以上によくあることなのです。
大切なのは二つ、「何を伝えたいのか」を正確に知ることと、「どう伝えるか」です。そこで以下のことを自問してみてください。
- あなたの翻訳のターゲットとなる読者はどんな人か?
- ターゲットとする読者のニーズや嗜好をどれだけ理解しているか?
- そのニーズや嗜好に合った翻訳をしているか?
- 文化の違いを考慮しているか?
- 対象読者が理解できる言葉を使っているか?
リスクその2:文化的なニュアンスの無視
翻訳するときは、文化によって専門用語の理解や使い方が異なることを覚えておくことが重要です。ある文化圏では明確でも、別の文化圏では理解できないこともあるのです。
たとえば「ソフトウェア」は文化によって意味が異なることがあります。
ある文化ではコンピューターにインストールされたプログラムを指し、別の文化ではコンピューターそのものを指すこともあるので、気をつけないと間違った翻訳をして読者を混乱させることになりかねません。
オランダ人とベルギー人の文化の違いはどうでしょう?ほかの国の人たちからは両方ともほとんど同じ言語を使っているように見えますが、実は同じではありません。
したがって、ビジネスの文脈では「オランダ人は喜んで競合他社とビジネスをするが、ベルギーでそれは考えられない」といったことが起こり得るのです。
また、オランダ人は専門用語に対する理解がベルギー人とは異なるため、翻訳する場合は特に注意が必要です。翻訳プロジェクトを開始する前に、対象読者の文化的ニュアンスと専門用語の使い方を理解しておきましょう。
そこで以下のことを自問してみてください。
- 対象読者と他の文化との間で、最も一般的な文化的ニュアンスにはどのようなものがあるか?
- 対象読者の文化的ニュアンスをどの程度理解しているか?
- 対象読者と他の文化との間で、最も誤解されやすい文化的ニュアンスにはどのようなものがあるか?
- 対象読者のニーズや嗜好に合った翻訳をするにはどうすればよいか?
リスクその3:翻訳者が専門知識を持っていない
翻訳会社に翻訳を依頼するときは、担当する翻訳者が技術的なバックグラウンドや専門性を持っていることを確認してください。
技術的な内容を翻訳するには、その内容を深く理解する必要があり、もし翻訳者がこのような知識を持っていないと正確な翻訳をすることができないからです。
また、翻訳者を探すときは必ず資格と経験について尋ねてみてください。あなたが携わっている技術分野に精通しているか、業界で使用される専門用語に精通しているかを確認するのです。
また、彼らの文体や技術的な内容をいかに正確に翻訳できるかを知るために、過去の実績など仕事の結果をサンプルとして見せてもらうようにしましょう。
そこで以下のことを自問してみてください。
- 翻訳者はどのような資格や経験を持っているか?
- あなたが携わっている技術分野に、翻訳者が精通しているか?
- 業界で使用される専門用語に、翻訳者が精通しているか?
- 翻訳者の仕事の結果をサンプルとして見ることができるか?
- 翻訳者の文体はどのようなものか?
- 翻訳者は技術的な内容を正確に翻訳できるか?
リスクその4:英語なら世界共通だと思っている
英語が母国語でない人が犯しがちな間違いのひとつは、「英語はビジネスの国際言語だから、何をやっても大丈夫だ」と思い込むことですがこれは間違いです。
英語に翻訳する際には、さまざまな方言や地域の違いを知っておくことが重要なのです。
アメリカ英語とイギリス英語に違いがあるように、オーストラリア英語、カナダ英語、ニュージーランド英語にも違いがあります。これらの方言にはそれぞれ独自の単語、フレーズ、文法規則があります。
英語の地域的な違いについてよく知らない場合は、翻訳プロジェクトを始める前によく調べておくことが大切です。
さらに重要なこととして、法律、安全、衛生、環境への考慮があります。そのため、単にテキストを翻訳するだけでなく、その国の法的な側面もすべてカバーしていることを確認する必要があるのです。
たとえば、EU圏内で市販される消費者向け製品のほとんどには、「CEマーキング」が必要なのです。
「CE マーキング指令」では、「取扱説明書に製品の使用に伴う危険」に関する警告を含めるよう規定しています。そしてこれは、関連する加盟国のEU公用語(または複数の言語)で行う必要があります。
そこで以下のことを自問してみてください。
- 対象読者と他の文化圏との間で、最も一般的な文化的ニュアンスにはどのようなものがあるか?
- 対象読者の文化的ニュアンスをどの程度理解しているか?
- 対象読者と他の文化との間で、最も誤解されやすい文化的ニュアンスにはどのようなものがあるか?
- 対象読者のニーズや嗜好に合った翻訳をするにはどうすればよいか?
リスクその5:現地の法律を無視する
世界中の対象読者のために翻訳するときは、各国の異なる法律や規制を認識することが重要です。それを怠ると深刻な法的問題に発展する可能性があるからです。
たとえば英国では「広告に特定の語句を使用することが違法」であることをご存知でしょうか?英広告基準局(ASA)はこれらの法律を執行する責任があり、とても真剣に仕事に取り組んでいます。
ある国では一般的に受け入れられていることでも、別の国では禁止されていることがあるのです。だから製品を海外で販売する場合は、現地の法律や規制に準拠していることを確認することが非常に重要です。
ユーザーマニュアルやその他の文書も同様で、販売する国の要件を満たしていなければ、多額の罰金を科される可能性があるのです。
もちろん、心配しなければならないのは政府の規制当局だけではありません。物理的な製品を販売する場合は、その製品を販売する国で使用できるかどうかも確認する必要があります。
たとえば電気製品には正しいプラグと電圧要件が必要です。これを怠るとユーザーは不幸になり、返品される商品も多くなります。
だから次に海外で製品やサービスを販売しようとお考えの際は、現地の法律や規制について調べるために数分時間を取ってください。潜在的な頭痛の種を避けるために、努力するだけの価値は十分にあります。
リスクその6:画像をおろそかにする
文書のなかに翻訳されていない表や画像があるのはちょっと不格好だと思いませんか?でもそのようなケースは、あなたが思っている以上によくあるのです。
画像内の表、パーツリスト内の図面などは、DTPにも精通した翻訳会社ならそれらに含まれるテキストも細部まで翻訳してくれます。
さらに、元の書式(体裁)を失うことなく翻訳できるので、母国語の資料と同じように、プロフェッショナルなものに仕上がります。
高品質の翻訳をお望みなら、DTPサービスを提供する翻訳会社を選ぶことをお勧めします。そうすることで後々の手間を省くことができるのです。
リスクその7:寸法表記がまったく正しくない
大工さんにとっては当たり前ですが、建築に於いては寸法測定が不可欠です。テーブルやキャビネットを作るには、綿密な計画と正確な施工が必要であり、わずかな誤差が設計全体を狂わせてしまうのです。
翻訳、特に専門用語に関しても同じことが言えます。優れた翻訳者は、時間をかけて正しい寸法を調査し、ターゲット言語で正確に伝えられるようにします。
これを怠ると、最終的にまったく不正確で使い物にならないものができあがる可能性があるからです。
だから正確さが要求される翻訳をお考えなら、その道のプロに依頼するようにしてください。そうでないとひどい仕上がりになってしまいます。
リスクその8:翻訳したあとに内容をチェックしていない
「良い翻訳」は、翻訳に於いては不可欠なものです。「ペパロニピザを注文」と書いてあるのに、翻訳では「ロバを注文」となっていたらかなり動揺するでしょう?
たしかに、たとえ間違いがあってもそれによって世界が終わるわけではありません。しかし、良い翻訳者を使い、良いチェックをしなければならないことに間違いはないのです。
ほとんどの翻訳会社は、翻訳者、翻訳、品質の管理に高い基準を設けています。翻訳は少なくとも「三人の目」でチェックされているので、「句読点が抜けて文全体の意味が変わってしまう」ようなことはありません。
また、使用されている略語や寸法が正しいかどうかも確認できます。翻訳がいかに重要であるかを知っているからこそ、翻訳会社は真剣に翻訳に取り組んでいます。だから安心して依頼してください。
クラウドソーシング翻訳や自動翻訳(機械翻訳)など、中にはチェックもしない翻訳会社や翻訳方法もあります。しかし、お客様に最高のサービスをお届けするためには品質保証が不可欠なのです。
だからほとんど翻訳会社では、専任のQAマネージャーが責任を持ってプロジェクトを管理、監督しています。どうか、良い翻訳会社、最適な翻訳方法を選んでください。
まとめ
以上、「【翻訳を外注するときのリスク】TOP8と回避する方法」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。