翻訳単価は、翻訳料金を算出するための基準となるもので、翻訳言語ペア(何語から何語への翻訳か)や翻訳する原稿の種類や分野、ボリューム(文字数、単語数)などによって変動します。

どのように決まるのか、ひとつずつみていきましょう。

何語から何語への翻訳なのか

翻訳単価を決める最初の要因は「言語ペア(言語の組み合わせ)」です。

日本語から英語、英語から日本語、日本語から中国語、中国語から日本語、日本語から韓国語、韓国語から日本語、など翻訳が必要な言語の組み合わせは数多くありますが、このような「〇〇語から〇〇語」への言語の組み合わせを言語ペアと呼びます。

「翻訳単価」とは、この言語ペアのなかで「翻訳する前の原稿に含まれる文字または、単語あたりの料金」を指しますが、言語ペア毎に異なる翻訳単価の例は次のとおりです。

  • 日本語→英 語 20円(原文日本語1文字あたり)
  • 英 語→日本語 25円(原文英語1単語あたり)
  • 日本語→中国語 18円(原文日本語1文字あたり)
  • 中国語→日本語 20円(原文中国語1文字あたり)
  • 日本語→韓国語 18円(原文日本語1文字あたり)
  • 韓国語→日本語 20円(原文韓国語1文字あたり)

言語ペア毎に「翻訳単価」が変動するのは翻訳市場に於ける需要と供給の関係が原因ですが、その具体的なメカニズムは次のとおりです。

  • 言語ペアのニーズが高い(需要が多い、メジャー言語)→対応する翻訳者の数が多い→ 翻訳単価が下がる
  • 言語ペアのニーズが低い(需要が少ない、マイナー言語)→対応する翻訳者の数が少ない→翻訳単価が下がらない

たとえば、英語の翻訳ニーズは多いので対応する翻訳者も増えて翻訳単価も下がるが、ヒンディー語の翻訳ニーズは少ないので対応する翻訳者は増えずに翻訳単価も下がらない、ということです。

尚、海外の翻訳者、翻訳会社に依頼した場合、為替レートの影響により翻訳単価が下がることもありますが、逆に上がることもありますので注意が必要です。

また、翻訳という作業は翻訳者という「人間」が行う作業であるため、大量生産によるコストダウンが可能な工業製品のように、定期的に値下げすることは難しいことも理解しましょう(ただし自動翻訳(機械翻訳)を除く)。

翻訳が必要な原稿はどんな種類なのか

翻訳単価は、翻訳が必要な原稿の種類によっても変動します。

専門的で高度な技術が必要な、難易度の高い種類の原稿であればあるほど翻訳単価は上昇しますが、具体的には次のとおりです。

  • ファンドレポート、決算書、IRレポートなど
    • 翻訳単価「高」
    • 専門的な知識が必要かつ、高い品質が求められるため
  • 契約書、裁判資料、規約、規則など
    • 翻訳単価「高・中」
    • 品質要求は全般的に高いが、流通量が多く専門とする翻訳者が一定量いるため
  • マニュアル、取扱説明書、設計図、カタログなど
    • 翻訳単価「中・低」
    • 翻訳(原稿)量が多く、繰り返し使用される言語があり翻訳支援ソフトなどを活用した効率的な翻訳が可能なため
  • 薬事申請書類、医学論文、申請書など
    • 翻訳単価「高」
    • 高度に専門的な知識が必要であり、かつかなり高い品質が求められるため
  • ウェブページ、ニュースリリース、チラシなど
    • 翻訳単価「中・低」
    • 難易度が低く、使用される用語もさほど専門的でないため
    • ただし、ウェブページの場合はページによって異なる場合がある

翻訳原稿はどの分野に属するのか

翻訳単価は、翻訳が必要な原稿の分野によっても変動します。翻訳原稿の種類同様、専門的で高度な技術が必要な、難易度の高い分野の原稿であればあるほど翻訳単価は上昇します。

ただし、「種類」と「分野」の掛け合わせは無限にあるため、「種類」のほうが翻訳単価に強く影響する傾向がありますが、翻訳依頼内容の傾向という点では「分野」もひとつの参考になります。

具体的には次のとおりです。

  • 金融分野
    • 翻訳単価「高」
    • 全般的に高い品質が求められるため
  • 法律分野
    • 翻訳単価「高」
    • 全般的に専門性が求められるため
  • IT・工業分野
    • 翻訳単価「中・低」
    • 翻訳支援ソフトにより効率的な翻訳が可能なため
  • 医薬分野
    • 翻訳単価「高」
    • 高い品質と専門性が求められるため
  • その他分野
    • 翻訳単価「中・低」
    • 比較的平易な内容が多いため

翻訳原稿の量はどれくらいあるのか

翻訳単価は、翻訳が必要な原稿の量(文字数または、単語数)によっても変動しますが、その量が多いほど翻訳単価は下がります。

ただしそれは単純に翻訳単価が下がるということではなく、「ボリュームディスカウント(割引)」が適用されたり、「翻訳支援ツールの活用によりコストダウンが図れる」といったことによるものであり、値引分を含めた翻訳料金を、翻訳単価という単位当たり料金に置き換えると結果的に下がるかたちになる、ということです。

具体的には次のとおりです。

  • ボリュームが多い
    • 翻訳単価「安」
    • ボリュームディスカウントが適用される可能性が高いため
  • ボリュームが普通
    • 翻訳単価「中」
    • 標準的な料金が適用されるため
  • ボリュームが少ない
    • 翻訳単価「高(割高)」
    • 前後処理も含め、翻訳には一定の料金が必要となるため

その他翻訳単価を左右する要因について

言語ペア、種類、分野、ボリューム以外の、翻訳単価の変動につながる要因に納期があります。納期が標準納期よりも短ければ短いほど翻訳単価は上がります。

ただし、ボリュームと同じようにこちらも単純に翻訳単価が上がるのではなく、納期を調整する費用として加算される「納期短縮割増」などを、翻訳単価という単位当たり料金に置き換えると結果的に上がるかたちになる、ということです。

まとめ

以上、「【翻訳単価とは?】その決まり方」でしたがいかがでしたでしょうか。

最後に繰り返しますが、翻訳単価は翻訳料金を算出するための基準となるものであり、翻訳料金の一部に過ぎません。

翻訳に掛かるコストの総額を示す翻訳料金の決定要因については、コラム【翻訳の料金と納期】の決まり方で詳しくご説明していますので合わせてぜひお読みください。

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