【完全ガイド】はじめての翻訳外注

【完全ガイド】はじめての翻訳外注

 

慣れないうちの翻訳対応は大変です。外国語に堪能であれば「自分でやってしまう」という手もありますが、「それにかかる時間」や「その出来不出来に責任を持たねばならない(品質保証・担保)」などを考えるとやはり「自分でやる以外の方法」を考えたほうがよいかもしれません。

今回は「はじめて翻訳を頼まれた方」のために、「たどるべきプロセス」をわかりやすく説明します。ひとつずつ、みていきましょう。

どこで使う・何語への翻訳が必要なのか確認する

英語には、イギリスで使用される「英国式」とアメリカで使用される「米国式」がありますが、万国共通語として世界中で使われている英語には、国によって様々な違いがあります。また、中国語には、本土で使用される「簡体字(かんたいじ)中国語」と香港、台湾で使用される「繁体字(はんたいじ)中国語」があります。さらに、ポルトガル語にもポルトガル本国で使用されるものと南米ブラジルで使用されるものがあり、スペイン語は広く世界に行き渡り、カナダで使用されるフランス語もあります。

よって

  • 外国語に翻訳する場合は「どこの国で使うのか」
  • 外国語から翻訳する場合は「どこの国で作成されたものなのか」

 

といったことを確認することで「翻訳すべき正確な言語」を確認することができるのです。

誰に向けた・どんな翻訳が必要なのか確認する

翻訳は読み手によって必要となる品質その他が異なるので、「誰に向けた(ものか)」をしっかりと考えましょう。そうすることで「どんな翻訳が必要なのか」がはっきりします

  • 一般公開するのか
  • 関係者へ情報伝達、共有するためなのか
  • ざっと内容や主旨を理解するため(だけ)の翻訳なのか?
  • 「社外」向けの翻訳なのか、「社内」向けの翻訳なのか?
  • 読者はネイティブなのか?(翻訳後言語を母語として使用している人)
  • 読者はノンネイティブなのか?(翻訳後言語を母語として使用していない人)

 

といったことを考える必要があるわけですが、翻訳品質レベルは必ずしも「高ければ良い」ではなく、読者に合わせた柔軟な対応( 読みやすさ追求)が必要な場合もあります。また、「社外」向けと「社内」向けでは、翻訳の良し悪しによるリスクが異なるといったことを念頭に対応するようにしましょう。

翻訳したものをどう使うのか確認する

印刷物として使用する、WEBサイトとして公開する、プレゼンテーションに資料する、内容を確認するため、社内で回覧する、など翻訳の用途はさまざまです。用途によって翻訳に求められるものも大きく変わるため、事前にしっかり確認しておきましょう。

そもそも文章を作成するときには、あらかじめ用途が決まっているものです。発注者自身が翻訳文書の用途を知っている必要があるのは、翻訳する者がそれを必要とすることと同じです。プロの翻訳者は、用途に合わせて適切な訳文を作成しますが、どこに掲載するのか、どんな目的で誰が読むのか、によって翻訳にどのようなスタイルや用語、表現を使うべきかが決まります。

また、翻訳者または翻訳チームと長期的な関係を築くことが最良の翻訳を生むことも間違いありません。共有する時間が長いほど、翻訳者も自社の経営哲学や方針、製品についての知識が深まり、効果的な訳文を作成できるようになるからです。

いずれにせよ用途を確認することは、最良の翻訳を創り上げる上で必要不可欠なことなのです。

翻訳に費用をかけてよいのか確認する

翻訳に掛かる(掛ける)費用と翻訳品質は比例します。予算をしっかりと割いて、目的に沿い、期待する成果に導いてくれる翻訳を手にすることが望ましいのは言うまでもありませんが、かならずしもそのような余裕があるとはかぎりません。そこで必要となるのが「予算」や「費用感」の確認です。

「AI翻訳」という呼称で広く世に知られることになった「機械翻訳」は低コスト、短納期翻訳の頂点に君臨していますが、残念ながらその精度(翻訳品質)は安心して使うレベルには至っていません。しかし、翻訳する目的が

  • ざっと内容を確認する程度
  • 自身に外国語能力があるので、その下地として使用する
  • (簡単な名詞など)機械的な単語の置き換えで済む

 

といった場合は無料で済むこともあり、その効果は絶大です。一方

  • 文節(句読点のあいだ)が長い
  • コンテクスト(文脈)を読む必要がある
  • 主語が曖昧である
  • ニュアンスを反映させる必要がある

 

といった長文、創造性を必要とするもの、ビジネス上絶対に間違えられない、といった文章の場合は相応の費用を投じて、人間の、プロの翻訳者に依頼することが避けられないのは説明の必要がないでしょう。

いつまでに翻訳しないといけないのか確認する

突発的で致し方ない場合を除いて、納期を短くして良いことはありません。翻訳コストが上がるだけでなく、品質劣化の可能性が高まるからです。よって翻訳対応は計画的に、余裕を持って、納期設定は適切に行なう必要がありますが、これは翻訳依頼主や依頼先に対しても同じです。

誰かに何かを依頼する際は、自分(自社)側に(予期せぬ事態に陥ったときのための)バッファ(余裕期間)を確保しがちですが、必要以上に納期を詰めるとかえって良くない結果を招くことになります。

まずは翻訳依頼先に「標準納期」を聞き、しっかりと余裕をもたせることが肝要です。その上でもし納期的な余裕があれば、「品質向上」か「値引き」に充てることが望ましいでしょう

十分な納期設定は、

  • 価格交渉の好材料となる場合がある
  • 最適な翻訳スタッフ、翻訳者に対応してもらえる
  • 人気のある翻訳スタッフのスケジュールを押さえることができる

 

といったメリットとして返ってきます。もしそれでもタイトな納期設定で翻訳を依頼しなければならない場合は、あらかじめ予定を(翻訳依頼先に)伝えておきましょう。また、無理な納期で翻訳を依頼する場合は、品質についてある程度調整(劣化を許容)する心構えも必要となります。

翻訳する方法を検討する

先述のAI(機械)翻訳をはじめ、「翻訳」にはさまざまな手法があります。

  • 無料の機械翻訳(某検索大手が提供するサービスを代表とする)
  • 有料の機械翻訳(機械翻訳会社が販売しているソフトウェア)
  • ポストエディティング(MTPE:機械翻訳したものを、人間が手直しする)
  • クラウド翻訳(翻訳を依頼したい人と依頼されたい人のマッチングサービス)
  • 人力翻訳(プロ翻訳者による翻訳)

 

など、現代ではその選択肢も大幅に増え依頼する際の判断も難しくなっていますが、「料金」で比較するのもひとつの方法です。こちらも先述のとおり「翻訳に掛かる(掛ける)費用と翻訳品質は比例します」ので、必要とする翻訳品質と掛かる費用をバランスにかけた結果が「最適な翻訳手段(方法)」と言っても過言ではないでしょう。

それでも判断に迷うときは、上記いずれかのサービスを展開する企業に問い合わせることをお勧めします。余談ですが、問い合わせた際に、お客様のことを考え、公平な立場からアドバイスしてくれる企業は、良い翻訳依頼先と言えます。

翻訳見積もりを依頼する相手を決める

翻訳手段(方法)が決まったら、翻訳「見積」依頼先(翻訳者、翻訳会社)を探しましょう。必要なキーワードを入力して検索すれば、広告も含め数多くの翻訳依頼先候補が見つかるはずです。

ここで気を付けるべきは、サイトに記載されている情報の多くは「商用」であり「同業他社の目を意識したもの」であり、誤解を恐れずに言うと「美辞麗句」であるという認識です。「料金」「実績」その他多くの情報が記載されていますが、翻訳依頼主としてはその信ぴょう性をはかる術は残念ながらありません。

そこでもっとも有効な判断基準となるのが、「連絡した際の対応」です。

  • レスポンスの速さは?
  • ヒアリングの内容は?
  • 親身になって対応してくれたか?
  • 依頼主の立場を考え、期待に応えてくれるようなスタンスだったか?

 

これらはその後(見積依頼後、発注後)の対応にも大きく影響し、また、翻訳依頼先候補それぞれの違いが如実に現れますので、もっとも信頼の置ける判断基準となるでしょう。

翻訳見積もり依頼先に必要な情報を正確に伝える

翻訳「見積」依頼の際、最低限必要になるのが以下の情報です。

  • 何語から何語への翻訳なのか
  • 原稿ボリューム(文字数、単語数など)はどれくらいあるのか

 

これらを伝えれば「純粋に翻訳に掛かる料金」は判明します。しかしながら、翻訳を依頼するのはなにかしらの目的や、翻訳することによって期待している効果や成果があるはずです。それらに応える翻訳を手に入れるためにも、情報はできるかぎり多く、正確に伝えましょう。具体的には次のとおりです。

  • 希望納期があれば伝える(なければ標準的な納期でよいと伝える)
  • 原稿の形式(紙媒体、冊子、電子ファイルなど、電子ファイルの場合はそのファイル形式など)
  • 図や表、画像の処理など、純粋な翻訳以外の作業が必要かどうか(コーディング等も含む)
  • 翻訳の用途、目的や期待する成果など

 

ほかにも伝えるべき情報は多々ありますが、情報量が増えれば増えるほどより正確な見積を得ることができます。情報は惜しまずに提供しましょう。

翻訳発注先を決める

翻訳「発注」先(翻訳者、翻訳会社)を決める上で大切なのは、「見積料金だけで決めない」ということです。翻訳は「文章というクリエイション(創造物)」であり、工業製品のような統一規格もなく、また、規格を統一できるものではありません。同じモノ、コトを耳や目にしたり体験しても、人によって印象や感想、表現が変わるように、翻訳はそれを翻訳する人(翻訳者、翻訳会社)によって大きく結果が変わってくるものです。

「どこに頼んでも同じ」であれば(同じ製品、商品を手にする保証があれば)料金で決めるのは間違いではありませんが、こと翻訳に関しては先述の通り、

  • レスポンスの速さは?
  • ヒアリングの内容は?
  • 親身になって対応してくれたか?
  • 依頼主の立場を考え、期待に応えてくれるようなスタンスだったか?

 

といったことに重きを置いて判断されることをお勧めします。これらを軽視するとあとで厳しい状況に陥る可能性が増すことも、合わせて理解いただければと思います。

翻訳を発注する

翻訳を依頼(発注)する際にもっとも重要なのは、「発注後の内容変更や修正依頼を避ける」ことです。発注前に原稿内容は確定させておき、余計な混乱をあとで生まないようにしましょう。五月雨式の原稿提供などは誤訳やハンドリングのミスを誘発し、納期遅れや翻訳品質の低下に直結します。

内容が曖昧(未確定)なままで進行(発注)しない、また、内容が曖昧(未確定)なままで進行し(請け)ようと翻訳依頼先がした場合も、内容が確定するまでは対応を待つように指示するのが賢明です。

翻訳を受け取る

プリントアウトされたものを郵送、電子データをCD-Rなど記録媒体に保存したものを郵送、電子ファイルのメール添付、ファイル転送サービスの利用、特定URLへのアップロードなど、現代に於ける翻訳の納品方法はさまざまです。翻訳したあとの利便性や使用の仕方によって、翻訳納品の仕方についてはあらかじめ翻訳依頼先と取り決めておきましょう(見積依頼の時点で決めておくことが望ましいでしょう)

翻訳の品質を確認する

依頼先から納品された翻訳の内容(品質)はかならず確認するようにしましょう。翻訳依頼先はもちろんその品質を担保(保証)したうえで納品していますが、翻訳は「文章というクリエイション」につき、表現の仕方やニュアンスなど、曖昧で十分に伝えきれなかった部分で思い通りでない場合もあります(もちろん誤訳、異訳、訳漏れ、スペルミスといった初歩的なミスが生じる場合もあります)

十分にその内容を確認しなかった翻訳がのちに大きな問題の原因となることは、歴史的にも枚挙に暇がありません。問題が起こってから翻訳依頼先の責任を問うても、自分や自社の損失(特に社会的信用など)がかならずしも補填されるとはかぎりません。翻訳依頼先との信頼関係は大切ですが、その品質については丸投げせず、依頼主としてしっかりと内容を確認することが必須です。

次回翻訳依頼に備える

納品された翻訳内容の確認を終え、無事に検収したらそこで終わり、ではありません。翻訳は自分、自社の資産でもあります。次回その必要性が生じた場合に備え、データの保存だけでなく、共有といった有効活用にも努めましょう。

できれば「用語集(原文と翻訳文を対比表)」の作成を行ない、次回依頼の際に(翻訳依頼先に)提供できるよう備えておきましょう。「用語集」については翻訳依頼先に作成を頼むことも可能です(有料の場合が多いですが)

 

以上が「【完全ガイド】はじめての翻訳外注」ですが、詳細確認がご必要な場合はお気軽にお問い合わせください!