翻訳してもらうために原稿を翻訳会社に丸投げするのは、外注の手間を省くことはできてもコストアップにつながる可能性があります。
なぜなら翻訳会社は、依頼主から明確な指示がなければ「提供された原稿に含まれるテキストすべてを翻訳する」という前提で見積もるからです。
完全従量制の翻訳料金は翻訳する文字数や単語数が多いほど上がりますが、翻訳会社に依頼する前のほんのひと手間で、翻訳コストを抑え、納期も短縮することができます。
本コラムではその方法をご説明します。
目次
翻訳が必要な箇所を吟味して明確に伝える
翻訳会社は、依頼主からの指示がなければ「提供された文書に含まれるすべてのテキスト」を翻訳の対象とし、見積もります。
そして翻訳会社が翻訳料金を見積もるときに基準とするのは大抵、「文書に含まれる文字数または、単語数」なので、翻訳するテキストの量が多ければ多いほど料金は上がり、納期も長くなります。
これに対してもっとも単純な翻訳コスト削減、納期短縮方法はずばり、「翻訳する必要のあるテキストの文字数または、単語数を減らす」ことです。
翻訳が必要な箇所、不要な箇所をあらかじめ翻訳会社に伝えておくことで、翻訳コストを下げ、納期を短縮することができるので、翻訳が必要な箇所にマーカーを引いたり太枠で囲むなどした上で、「この部分だけ翻訳してほしい」と伝えるようにしましょう。
シンプルなテキストデータの納品を依頼する
Adobe InDesignやIllustratorで作成された文書や、Microsoft Wordで作成したものでも凝ったレイアウトを施した文書を翻訳するとき、その編集作業(レイアウト、DTP)も含めて翻訳会社に依頼すると、翻訳料金とは別に「レイアウト料金」が加算されることになります。
よってもし純粋な翻訳作業だけを依頼したいのであれば、文書ファイルをそのまま翻訳会社に渡すのではなく、翻訳が必要な箇所だけを抽出したテキストだけのファイルを渡すことで、作業負担が軽減され、作業効率も上がり、コストダウンと納期短縮に効果を発揮します。
翻訳が必要な箇所だけを抽出したテキストファイルの提供が難しく、渡した文書ファイルを使って翻訳してほしい場合は、次のように翻訳会社に伝えると、純粋な翻訳作業に必要な料金以外のコストが加算されたり、納期が延びたりすることを防ぐことができます。
- ファイルに翻訳を上書きする必要はない(=レイアウト作業は要らない)
- 対訳表形式(原文と翻訳文が併記されたもの)で納品してよい
過去の翻訳データや参考資料を提供する
取扱説明書(マニュアル)などその内容に繰り返しや重複する箇所、過去の文章を流用した箇所が多い文書の場合は、次のようにひと手間掛けることで翻訳コストを下げることができます。
- 繰り返し、重複、流用箇所を翻訳の作業対象外とする
- 対訳表形式(原文と翻訳文が併記されたもの)の「過去の翻訳データ」を、参考資料として翻訳会社にあらかじめ提供する
参考資料がないと繰り返しや重複箇所の検索に手間がかかり、場合によっては一からすべて翻訳する「新規翻訳扱い」となってしまうのでコストアップの原因となります。
ただし後述の「お抱えの翻訳会社を持つ」ことで、翻訳に掛かるコストを徐々に下げていくことは可能です。
お抱えの翻訳会社を持つ
「過去の翻訳データ」という参考資料を提供できなくても、同じ翻訳会社に継続的に翻訳を依頼することで、翻訳データの蓄積、用語集や翻訳メモリの作成、管理といった作業を翻訳会社が自主的に行うなどするので、将来的なコストダウンにつながることがあります。
「依頼の度に増していく充実度が作業負担の軽減とコストダウンにつながる」ということですが、契約書やマニュアル、特許申請書類など、共通する文言が多い文書であればあるほどコストダウンに効果を発揮します。
余裕あるスケジュールで翻訳を依頼する
標準的な納期より短い期間で翻訳する場合、料金が割り増しされるケースが多いです。
これは、納期が短いと翻訳者がその案件に掛かりきりになるため、他の案件対応を断念せざるを得ない可能性があるからです。
よって原稿を早めに用意できるのであれば、翻訳会社への依頼も早めに行うことが肝要です。
余裕あるスケジュールで翻訳を依頼することは無駄なコストアップを避けるだけでなく、品質チェックに掛ける時間も増すため、翻訳品質の向上にもつながります。
レイアウト作業は自社で行うようにする
前述のとおり、凝ったレイアウトを施した文書を翻訳するときに「レイアウト作業」も含めて翻訳会社に作業依頼すると、翻訳料金とは別に「レイアウト料金」が加算されることになります。
よってもしレイアウト作業を自社内で行えるなら、依頼する際にその旨を翻訳会社に伝えておくと良いでしょう。
また、「対訳表形式(原文と翻訳文が併記されたもの)の納品で良い」という場合もその旨を翻訳会社に伝えておくことで、期待通りの翻訳を得ることができます。
翻訳単価の安さにとらわれないようにする
翻訳の依頼先を決めるときに翻訳料金は大きな要因ですが、他の翻訳会社よりも極端に安い見積もりを受け取った際は「どのように品質管理しているのか」確認することをおすすめします。
翻訳者が自身の生活のために設定している翻訳単価には相場があり、その翻訳単価を元に翻訳会社も翻訳料金を決めていますので、その相場を大幅に下回る場合、翻訳工程のどこかに負荷をかけている可能性があります。
品質管理工程を短縮、省略するかもしくは、翻訳者への発注価格を下げるといったことですが、それらがどのような結果を招くかは言うまでもありません。
結果として納品された翻訳が使いものにならず、別の翻訳会社にその修正を依頼するはめになったりしたら本末転倒ですので十分に気を付けましょう。
最後に
翻訳のコストを追求すると翻訳の品質低下につながるため慎重な対応が必要ですが、工夫することによって翻訳の品質を維持したまま、コストダウンを図ることが可能になります。
翻訳のコストと品質のバランスについては翻訳会社に知見がありますので、遠慮なく聞くようにしましょう。
まとめ
以上、「翻訳を外注するときに【コストダウンと納期短縮】同時に実現する方法」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
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