「翻訳料金は意外に高い」と思われる方は多いと思います。同時に「少しでも翻訳コストを下げたい」と考えている方も多いと思います。
普段その存在を意識する機会がほとんどない「翻訳」なので、相場感もなく、料金についても明確な比較対象がないため、額面から「なんとなく高額」と感じてしまうのはやむを得ないと思います。
翻訳は単なる言語転換ではなく、正確性や文章としての美しさが求められる、コピーライティングに近い作業であることを理解いただければ、それにかかる料金についても納得できると思いますが、Google翻訳や自動通訳機の知名度が上がるにつれ、「誰でも簡単に行えるもの」といった誤解を与えていることも事実です。
本コラムでは、相見積もりや値引きなどのその場しのぎのコストダウンではく、「翻訳の品質を維持したまま翻訳コストを下げる方法」についてご説明します。
目次
表面的な翻訳料金だけで判断しない
相見積もりで翻訳料金の安さを競わせるのは、翻訳の依頼方法として良策とは言えません。
なぜならその場合の値下げは翻訳工程を調整つまり、省力化するかまたは、一部工程を省いて実現させる可能性が高く、翻訳の品質低下につながるからです。
翻訳会社が自社の利益を削って値下げに対応する場合もありますが、翻訳会社から翻訳者に支払われる翻訳業務委託料はほとんどの場合、翻訳会社が受注した金額に対して一定の割合です。
つまり翻訳会社の固定費や宣伝広告費、管理費などを考えると、自社の利益を削ることは経営を圧迫することになりますので、翻訳工程を調整することで値下げに対応しがちなのです。
いずれにせよ翻訳会社という業者または、その先の翻訳者などどこかに無理を強いた値下げは「翻訳の品質劣化」というかたちであとからお客様に返ってくるため、「かえって高くつく」可能性があります。
よっていくら翻訳コストを下げたくても、相見積もりの数を増やして低価格を追い求めることはしないようにしましょう。
本当に翻訳が必要なのかを考える
翻訳料金を構成する要素のなかでもっとも影響力の大きなものは「ボリューム」です。ボリュームとは、原稿に含まれる文字数または、単語数のことを指します。
翻訳料金は原則従量制で、ボリュームという「量」に大きく依存するので、翻訳料金を下げたいのであればこのボリュームを減らすことが近道です。
ボリュームを減らすといっても「全体の半分だけ翻訳する」といった単純なことではありません。やらなければならないのは、
- 本当に翻訳する必要があるのか?
- 本当に翻訳しなければならないのか?
をよく考えることです。
- このファイルに含まれるテキストすべてを翻訳して
- この冊子すべてを翻訳して
など、翻訳外注は丸投げされがちですが、翻訳が必要な文書の内容をよく見直し、
- 翻訳が必要な箇所とそうでないところを分ける
- 別に要約版をつくる
といったひと工夫でボリュームが減少し、翻訳料金は大きく下がるのです。
翻訳する必要があるかどうかについては、「翻訳することで効果があるか、成果が上がるか」を基準に判断すると良いでしょう。
翻訳しても意味のないものにお金を費やす必要はありません。
過去の翻訳資産を利活用する
翻訳外注は社内のほかの誰かと情報交換することもなく、不定期に、散発的に行われることが多いものです。
その結果「過去に行った翻訳」という貴重な資産が社内に眠っているにもかかわらず、それらが共有されることもなく、十分に活用されずにいることも多々あります。
- 社内のどこの部署の、誰が、どんな翻訳を、どのように行っているかご存知ですか?
- それ以前に自社が過去、翻訳を外注したことがあるかどうかご存知ですか?
ご存知でなければぜひ一度、周囲や社内の人に聞いてみてください。
普段意識することのない翻訳という作業は実は意外なくらい、いろんなところで頻繁に行われているものなので、社内に眠る過去の翻訳資産を利活用すれば、それがそのまま翻訳にかかる費用を下げることにつながります。
もちろん過去に翻訳したものすべてがそのまま使えるわけではないでしょう。しかしその一部でも再利用することができれば、その部分は新たに翻訳する必要はないはずです。
また、過去の資産としてもっとも有効なのは、「用語集(対訳集)」です。
企業には「社内用語」と呼ばれる独自の用語が存在するものですが、それ以外にも専門用語や業界用語などで「自社ではこの用語を使う」といった前例があるはずです。
これらの用語をまとめたものは、翻訳するときに必要な用語の調査に掛かる時間の大幅な削減だけでなく「用語の統一」という翻訳品質の安定化にもつながるため、翻訳外注先にも好意的にとらえられ、品質を維持したままの値引きにつながることもあります。
テキストではなくグラフィックで示す
翻訳料金は、原稿すなわちテキストに対して発生します。つまり対象がテキストでなければ翻訳する必要はなく、翻訳料金も発生しないのです。
そこで、前述の原稿のボリューム(量)を減らすことによって翻訳にかかるコストを下げる方法に加え、一部のテキストを図やグラフといったグラフィックに変えることも検討してみましょう。
文章では長々とした説明が必要なものも、図や表にすれば単純化されるだけでなく、直感的に理解できるようになるのでかえって翻訳よりも効果的な場合があります。
また、図は表は万国共通であるため、翻訳による誤解を生む可能性の低減にもつながります。
原稿の一部だけでもテキストではなくグラフィックで示すことを検討することで、翻訳の品質を維持したまま、場合によってはそれ以上の効果を発揮した上で翻訳にかかるコストを下げることができるのです。

関与する人員と時間を減らす
翻訳依頼は社内の他の誰かと情報交換することもなく、不定期に、散発的に行われることが多いもの、とお伝えしました。
これは裏を返せば自社内のいろんな人が、いろんなところで同時多発的に「翻訳外注」というひとつの作業に関わっているということです。
同じ作業をあちこちでばらばらに行うことの非効率さについては説明の必要はないと思いますが、その非効率な作業は集約することで効率化できることは言うまでもありません。
そこで社内の誰が、いつ、どこに翻訳を依頼しているのかを確認した上で、翻訳の発注窓口をひとつにしてはいかがでしょうか。なにも専門部署まで設置する必要はありません。「翻訳外注担当者」を決めるだけで良いのです。
翻訳の管理を専門とする担当者を置くことで、社内の非効率な作業が効率化されるだけでなく、情報も集約され、ノウハウや資産が蓄積されます。
それらノウハウや資産を元に翻訳を外注すると、外注先に提供できる情報量と交渉力が増すことになり、結果的に翻訳にかかるコストを下げることにつながるのです。
スケジュールに余裕を持つ
計画的に翻訳を依頼する、つまり「無理のないスケジュールで翻訳を依頼する」ことも、翻訳の品質を維持したまま翻訳にかかる費用を下げることつながります。
なぜなら「余裕ある翻訳納期」は「高い品質が期待できる、腕の良い翻訳者の確保」につながり、「同じ翻訳料金でも翻訳品質が向上する」ことで実質的に翻訳コストを下げることと同じ効果を生むからです。
また、長めの納期を提示することで翻訳料金の値下げも期待できるかもしれません。
無理のないスケジュール設定に加え、先々の予定連絡も翻訳の外注先にとっては貴重な情報であり、次の注文の確保につながるので翻訳料金が下がる可能性があります。
なぜなら先の予定連絡という「見通し」は、翻訳外注先にとって「制作体制の維持、再構築時の省力化」になるだけでなく、継続的な取引から蓄積できる資産の利活用が可能となるからです。
単発的でなく継続性のある長期的な取引は、ネットではなくグロスでの見積もり対応を翻訳外注先に促すため、「ボリュームディスカウント」や「年間取引特別単価」など、お客様のさまざまなコストメリットにつながる可能性があるのです。
翻訳外注先に役立つことをする
ここまでご説明してきたこと以外にも、なにか「翻訳外注先に役立つこと」をすれば翻訳コストを下げる可能性は高まります。
「翻訳外注先に役立つこと」とはつまり、「社内で行えることはすべて事前に行っておき」「十分に情報提供して」「翻訳の見積もりを依頼をする」ということです。
自社で行っておくべきことまで外注先にさせると、当然ですがその作業料が翻訳料金に上乗せされることになります。
餅は餅屋と言うように、翻訳の外注先にはできるだけ「純粋に、絶対に必要な、翻訳作業のみ」を行わせることが翻訳コストを下げることにつながります。
単なる外注先としてあれもこれも丸投げて、見積もり料金だけで競わせた結果、もっとも割を食うのは実はお客様であるあなた自身かもしれないということです。
最後に
翻訳にかぎりませんが、料金は圧力によって下げるべきものでありません。圧力をかけて料金を下げるとかならずどこかに歪みが出ることになりますが、翻訳で影響を受けるのは品質というもっとも大事な部分です。
品質改善とコストダウンは、製品、サービスの別なくあらゆる営利団体の至上命題ですが、言うまでもなく大切なのはそのバランスです。
飽くなき品質の追求と、品質を維持したまま実現可能なコストダウン、一見矛盾するこのふたつですがここまでのご説明を実行することでかならず実現できると思います。
まとめ
以上、「【翻訳の品質を維持したまま】コストを下げる7つの方法」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。