翻訳者は世界中に星の数ほどいます。翻訳を事業としている会社は日本国内だけでも2,000~3,000社あると言われています。

急に翻訳しなければならなくなり、とりあえず自分で翻訳することは断念して誰かに頼むことに決めたとしても、翻訳の選択肢が多いためどの翻訳者、どの翻訳会社に外注すればよいのかを判断するのが難しいと思います。

本コラムでは、翻訳を外注するときにどこの国の翻訳会社、翻訳者を選ぶべきかご説明します。

どこの国の翻訳者を選ぶべきか

まずは翻訳を外注するときにどこの国の翻訳者、正確には何語を母語とする翻訳者を選ぶべきかについてご説明します。

日本人の翻訳者を選ぶ場合

英語を専門とする日本人の翻訳者なら、日本語→英語への翻訳(英訳)も英語→日本語への翻訳(和訳)のいずれもできて当然と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

プロ翻訳者の言語能力があればもちろん、日本語→外国語、外国語→日本語のいずれも翻訳することはできるのですが、翻訳は翻訳後の言語を母国語とする翻訳者がしたほうが、よりなめらかで美しいものに仕上がるのです。

たとえば外国語で書かれた説明書を日本語にする場合、外国語のわかる日本人と日本語のわかる外国人のどちらが翻訳したほうが自然で読み易いものに仕上がると思いますか?

それと同じです。よって日本人の翻訳者が翻訳したほうが良いのは、次のいずれかに該当する場合です。

  1. 外国語→日本語の翻訳(和訳)の場合
  2. 日本語→外国語の翻訳(外国語訳)だが、原稿の内容が難解な場合

1のの場合はもうご説明は不要でしょう。しかし2の場合でも日本人の翻訳者を選んだほうが良いのです。

普通なら2の場合は日本語に精通した外国人翻訳者が翻訳すべきなのですが、原稿によってはその内容が、そこに使われている言語を母国語とする翻訳者でも読解に苦労するような難解なものがあるのです。契約書や行政機関の発行する書類などが良い例です。

また、原稿の内容が特定の国の文化、風習に基づくものなど、その国で生まれ育った翻訳者でないとわかりづらい場合も同様です。昔話に登場する人物、言い伝えなどが良い例です。

このような場合はやはり、原稿に使われている言語を母国語とする翻訳者、つまり難解な日本語の文章を外国語にする場合は日本人の翻訳者が翻訳したほうが良いということなのです。

【TIPS】

ネイティブチェックという言葉を聞いたことがあるでしょうか?日本の翻訳市場を例にするとこれは「日本人が外国語に翻訳したものを、翻訳後の言語を母国語とする翻訳者が校閲(こうえつ)することを指します。

具体的には、日本語→英語に翻訳(英訳)する場合に、日本人の翻訳者が英訳したものを、アメリカ人やイギリス人など英語を母国語とする翻訳者が修正するという作業ですが、これはまだ翻訳市場の需要に対して翻訳者の数という供給が足りていなかった時代の名残と言えます。

しかし現代では日本国内にかぎらず、世界中に日本語を得意とする外国人の翻訳者が多数います。よって翻訳は原則、翻訳後の言語を母国語とする翻訳者が行なうことが主流になっているのです。

外国人の翻訳者を選ぶ場合

外国人の翻訳者を選ぶのは、原稿が次のいずれかに該当する場合です。

  1. 日本語→外国語の翻訳(外国語訳)の場合
  2. 外国語→日本語の翻訳(和訳)だが、原稿の内容が難解な場合

たとえば日本語→英語の翻訳(英訳)の場合、アメリカ人やイギリス人など英語を母国語とする翻訳者が翻訳し、その後に日本人の翻訳者がプルーフリーディング(校正)したほうが、より滑らかで美しい翻訳に仕上がります。

表面の凸凹をあとで削って滑らかにするか、滑らかな表面にあるわずかな凹凸をあとで磨いて滑らかにするかのいずれが良いか、をイメージするとわかり易いかもしれません。

しかし難しい内容の文書を翻訳する場合は、そこに使われている言語を母国語とする翻訳者が翻訳したほうが良いのです。

どこの国の翻訳会社を選ぶべきか

次に、どこの国の翻訳会社を選ぶべきかについてご説明します。

日本の翻訳会社を選ぶ場合

翻訳を外注するなら日本の翻訳会社に、と多くの人は考えます。しかし日本の翻訳会社を選ぶにも明確な理由があり、それは次のようなものです。

  1. 日本語でのコミュニケーションが必要な場合
  2. 日本語→外国語、外国語→日本語など、日本語が翻訳の工程に含まれる場合

1についての説明はご不要もしれませんが、日本語でのコミュニケーションを求めるなら間違いなく日本の翻訳会社に翻訳を外注したほうが便利です。

言葉の面だけでなく、同じ民族、国民としての阿吽の呼吸や忖度、気遣いや心遣いが期待できることもあるでしょう。

翻訳も場合によっては海外の翻訳会社を選んだほうが良いこともあるのですが、上記に挙げたことを重視する場合はやはり日本の翻訳会社に翻訳を外注したほうが良いと思います。

そして2についてですが、実は日本の翻訳会社を選ぶべき理由はこちらのほうに主にあるのです。

日本の市場で発生する翻訳ニーズ需要のほとんどに日本語が含まれることは言うまでもありませんが、それはつまり日本人の翻訳者が活躍する機会が多いということでもあるのです。

海外の翻訳会社より日本の翻訳会社のほうが、日本人翻訳者のリソースが豊富なのは間違いないので、日本語の絡む翻訳をするのであれば日本人翻訳者を豊富に抱える日本の翻訳会社のほうが良いということです。

外国の翻訳会社を選ぶ場合

一方、外国の翻訳会社を選んだほうが良いこともあります。それは次のような場合です。

  1. 外国語でのコミュニケーションに支障がない場合
  2. 外国語→外国語の翻訳など、日本語が翻訳工程に含まれない場合

こちらの1については少しご説明が必要です。

日本の市場で発生する翻訳ニーズのほとんどが日本語絡みであるにもかかわず、外国語でのコミュニケーションに問題がない場合になぜ敢えて外国の翻訳会社を選ぶほうが良いのか、その理由はコストです。

為替も関係しますが、翻訳料金は外国の翻訳会社のほうが安い場合がよくあるのです。

たとえば日本語→中国語の翻訳は、中国の翻訳会社のほうが圧倒的に安価で対応してくれます。ベトナム語やタイ語などのアセアン言語も同様です。

また、日本語→英語の翻訳も、アメリカやイギリスの翻訳会社はそうでもありませんが、インドの翻訳会社なら安価で依頼できる場合があります。そして中国やアセアン地域の翻訳会社の中にも、日本語→英語の翻訳ができるところもあります。

これらを考えると、外国語でのコミュニケーションに問題がないのであれば、外国の翻訳会社を選んだほうが翻訳コストが下がる可能性が高いというわけです。

ただし翻訳はコストと品質が比例しますので、ある程度の品質劣化を許容できるか、または自社で翻訳の修正、改善ができる場合に限っておいたほうが賢明です。

2の外国語→外国語の翻訳の場合に、外国の翻訳会社を選んだほうが良いのは、日本の翻訳会社や翻訳者が得意とする日本語が翻訳の工程に含まれていないからです。

翻訳は原則、その工程に含まれる言語を母国語とする国の翻訳会社が行なったほうがあらゆる面で良いのです。

つまり、外国語→外国語の翻訳ではコミュニケーションの問題を除き、そこに日本の翻訳会社が介在する理由がほとんどないのです。

実際、外国語→外国語の翻訳を日本の翻訳会社に外注しても、そのほとんどは外国の翻訳会社に再委託されていると思います。

日本語が含まれない外国語→外国語の翻訳を得意とする翻訳者が日本にどれだけ居るか、を考えれば外国の翻訳会社に外注すべき理由は明確でしょう。

最後に

便利だから、ラクだから、都合が良いから、と知り合いの翻訳者や日本の翻訳会社に頼んでしまうのは、お客様にとって必ずしも得策ではありません。

以下のように賢い使い分けが必要なのは、翻訳の方法と同じです。ぜひ本コラムを参考に、最適な翻訳の外注先を選んでください。

  • 日本語→外国語)翻訳は日本の翻訳会社に
  • 外国語→日本語)翻訳は日本の翻訳会社に
  • 外国語→外国語)翻訳は外国の翻訳会社に
  • 日本語→外国語)翻訳は外国語を母国語とする翻訳者に
  • 外国語→日本語)翻訳は日本語を母国語とする翻訳者に

まとめ

以上、「【どこの国の翻訳会社に】翻訳を外注すべきか?」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行ないます。

高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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