翻訳、校閲、校正サービスを通して企業や各種組織、団体、個人のお客様の外国語に関するお困りごとを解決するのが当社のミッションですが、日々多くのご依頼にご対応しながら感じるのは、四方を海に囲まれた日本の閉鎖性です。
閉鎖性とはつまり外国語や外国人そして、外国そのものに対するアレルギー(抵抗感というよりも苦手意識)であり、その弊害を「ガラパゴス現象」という自嘲気味な表現で自国民が自国のことを揶揄しているのは残念です。
しかしアレルギーのせいにばかりしていられないのがこれからの日本の状況であり、外国や外国人とのビジネスを含むさまざまなかたちでの交流は、今後ますます避けては通れないものになるでしょう。
先細りの未来しか描くことのできない日本の企業や各種組織、団体、特に個人事業主を筆頭に、小規模の組織が行うべきはなによりもまず外国や外国人と交信する機会を増やすことです。そして、交信するためには先に発信する必要があります。
本コラムでは海外取引・海外進出すべき5つの理由についてご説明します。
パイの奪い合いから逃れるため
海外取引・海外進出すべき最初の理由は単純に、人口縮小と少子高齢化の進む日本市場に固執していては同業他社や類似事業を営む他社との厳しい「限られたパイ(市場、お客様)の奪い合い」という生存競争から逃れることができないからです。
ご存知のとおり戦後拡大を続けてきた日本の人口は、2010年の約1億2800万人をピークに減少に転じ、今から約40年後の2060年には約8700万人(32%減)とピークの3分の2まで減少する見込みです(同じ仮定では約90年後の2100年には約4300万人(2010年比66%減))。
また、全人口に占める65歳以上の高齢者の割合を示す高齢化率は、2020年の約29%から2060年には約40%に増加の見込みであり、これは労働人口の減少だけでなく、これまで多くのビジネスに於いてターゲットとされていた20-64歳世代というマスマーケットを対象とした事業者にとっては大きなダメージであることは間違いありません。
このようななか日本国内だけで数年後、数十年後まで存続できるように、新商品や新サービスを開発し、マーケティング活動や営業活動に注力し、古参や新規参入組を含むライバルたちとの壮絶な戦いを続けながら勝ち残ることができるでしょうか。
アレルギーという目に見えないものに囚われ、日本という厳しいレッドオーシャンでの生き残りに固執するよりも、「外国」という新しいパイ(市場、お客様)に目を向けることのほうが、ずっと簡単かつ現実的で、成果につながり易いチャレンジではないでしょうか。
市場を変えるため
海外取引・海外進出すべき二つめの理由は、ビジネスを行う市場を変えるかもしくは、新たに加えるためです。
「世界人口白書2020」によると、2020年の世界人口は約78億人(同年の日本の人口は1億2650万人、国連人口基金東京事務所サイトより)です。
コラム【解説】世界の人・世界の国・世界の言語の数でも紹介していますが、これらの人の話す言語の割合は次のとおりです。
- 中国語を母語とする人口は約9億人(全人口の約12%)
- 英語を母語とする人口は約4億人(全人口の約5%)
- スペイン語を母語とする人口は約3億人(全人口の約4%)
さらにこれらは「母語の人口」つまり「ネイティブ話者の人口」であり、「英語も話せる」「中国語も話せる」「スペイン語も話せる」など非ネイティブながら実用的にそれぞれの言語を話す人を含めると次のような構成になります。
これはつまり単純計算で「ビジネスを英語で世界に発信するだけで日本の約14倍」「ビジネスを中国語で世界に発信するだけで日本の約9倍」「ビジネスをスペイン語で世界に発信するだけで日本の約3倍」の大きな市場を相手に、ビジネスの可能性を追求するチャンスを得ることができるということです。
- 英語を実用的に話す人口は約18億人(全人口の約23%)
- 中国語を実用的に話す人口は約11億人(全人口の約14%)
- スペイン語を実用的に話す人口は約4億人(全人口の約5%)
GAFA(グーグル(Google)、アマゾン(Amazon)、フェイスブック(Facebook)、アップル(Apple))を筆頭に米国系、BATH(Baidu(百度、バイドゥ)、Alibaba(阿里巴巴集団、アリババ)、Tencent(騰訊、テンセント)、HUAWEI(華為技術、ファーウェイ))を筆頭に中国系の企業が世界を席巻している理由のひとつがその言語圏にあることは明らかですが、日本語のコンテンツにアクセスするのはそのほとんどが日本人(だけ)です。
世界的に蔓延した悪性ウイルスというきっかけは決して良いものではありませんでしたが、結果的にビジネスのオンライン化が定着し、必ずしも現地に向かう必要がなくなった今はまさに、旅費交通費や宿泊費、日当といった浮いた経費を充ててでも、あなたのビジネスを世界に発信、海外取引・海外進出すべきときではないでしょうか。
アレルギーという目に見えないものに囚われ、日本語を話す日本人だけで占められた小さな市場に固執するよりも、「外国語圏」という新しい市場に目を向けることのほうが、ずっと簡単かつ現実的で、成果につながり易いチャレンジではないでしょうか。
競合他社との差別化を図るため
海外取引・海外進出すべき三つめの理由は、それが競合他社との大きな差別化につながるからです。
前述のとおり、日本の企業や各種組織、団体、特に個人事業主を筆頭に小規模の組織による外国や外国人との交信機会つまり、海外取引や海外進出などがなかなか進まないのは、外国語や外国人そして、外国そのものに対するアレルギー(抵抗感というよりも苦手意識)が強いからです。
しかしこれは逆を言えば、それを行うだけで「競合他社との差別化」になるということです。
「過去に無く、他にも無い」といった無から有を生み出すことは並大抵の努力では叶いませんが、「前例はあるが、競合他社がまだやっていない」ことをするのはさほど難しいことではありません。
高度経済成長期に商社の社員やメーカーの技術者が世界中に送り出され、徒手空拳で取引先、仕入先を開拓し、といった先人たちの偉業と比較して、今の時代にビジネスを世界発信する労力がどれほど(簡単)かはご説明するまでもないと思います。
日本国内ではどうしてもシェアを上げることのできないビジネスでも、競合他社が進出していない外国で行えば無敵です。
もちろん現地にも類似事業を展開する企業や各種組織、団体は存在すると思いますが、日本の企業や組織、団体であることだけですでにブランディングと差別化がなされているのです。
アレルギーという目に見えないものに囚われ、類似ビジネスを展開する競合他社がごまんといる日本市場に固執するよりも、競合他社の存在しない、または存在しても差別化の図り易い「外国」という新しい市場に積極的に発信、海外取引・海外進出することのほうがずっと簡単かつ、現実的で成果につながり易いチャレンジではないでしょうか。
言葉の壁は簡単に壊せるため
海外取引・海外進出すべき四つめの理由は、外国語や外国人そして、外国そのものに対するアレルギー(抵抗感というよりも苦手意識)の最大の原因である「言葉の壁」は簡単に壊せるからです。
帰国子女が増え、無料の自動翻訳(機械翻訳、Google翻訳など)や自動通訳機(POCKETALKなど)の精度が向上し、また、映画やテレビ、音楽番組で日常的に海外メディアや海外コンテンツに接する人が増えた現代、外国語に対する抵抗感は昔よりも減ったように思います。
よって自力でなんとかしようという意識さえあれば、言葉に関するほとんどの問題は実際になんとかなってしまうものです。
日本の企業や各種組織、団体でも、外国や外国人と交信する機会がある人が最初に行うのは、自分もしくは、社内または組織内にいるスタッフで対応するというものです。
さらに今は、クラウドソーシングサービスの登場によって、翻訳ができる個人へのアクセスが簡単になりました。
また、従来から存在する翻訳会社のオンライン対応力やソフトウェアを使った技術力も向上し、繰り返しますが自動翻訳(機械翻訳)の精度も向上しています。(翻訳のクラウドソーシングサービスについて詳しくは【クラウドソーシング翻訳】のメリットとデメリットをお読みください)
また、言葉の壁を壊すといっても、専門部署を設置する、専任担当者を設置する、外国語のできる人を雇う、といった大袈裟なことをする必要はなく、自社、自組織のホームぺージやそこからダウンロードできる会社案内、ホワイトペーパーといったコンテンツの英語版や中国語版を作るだけです。
それで問い合わせがあればその都度翻訳してコミュニケーションを重ねていけばよいのです。
さらに話が進み、取引、契約、合弁、輸出、輸入といった流れになれば、それぞれのステージの専門家や企業、組織に問い合わせてアドバイスを乞えばよいのです。
アレルギーという目に見えないものに囚われ、類似ビジネスを展開する競合他社がごまんといる日本市場に固執するよりも、とりあえずホームページの外国語版を用意して、「外国」という新しい市場に積極的に発信、海外取引・海外進出することのほうがずっと簡単かつ現実的で、成果につながり易いチャレンジではないでしょうか。
世界の発展、平和につながる可能性があるから
海外取引・海外進出すべき最後の理由は、それが「世界の発展、平和につながる可能性があるから」です。これは決して大袈裟なことではありません。
日本市場では古くからある、決して目新しくもなくまた、競合他社による類似商品、サービスがあふれるビジネスでも、外国に行けばまったく新しいものとして迎え入れられる可能性があります。
タイムマシン経営とは逆の流れになりますが、国際援助といった大仰な活動ではなく、あなたにとっては当たり前のビジネスをただ外国に向けて発信、紹介することで、自国にはないその商品やサービスを知った人が活用することにより、個人だけでなく地域や経済に大きな影響を与える可能性もあります。
「あったら便利」「あったら助かる」といったビジネスが自国以外に存在し、またその内容を詳細に確認することができ、取引、購入、利用することができて困る人はいません。そしてあなたのビジネスがそのような貴重な存在になる可能性があるのが「外国」という市場です。
回りまわって家族や周囲の人たちを笑顔にすることをビジネスの目的とすれば、その対象を競合の多い日本国内ではなく、広く大きな外国に移すだけです。
アレルギーという目に見えないものに囚われ、似たようなビジネスが多くシェアを上げることの難しい日本市場に固執するよりも、あなたのビジネスを知らない外国の誰かに紹介し、その地の人たちの笑顔の元とすることのほうが、ずっと簡単かつ現実的で、社会的な貢献度も高く尊いのではないでしょうか。
最後に
少々大袈裟な内容になってしまいましたがお伝えしたかったのは、「あなたのビジネスをぜひ外国に発信してください」「あなたにとっても世界にとっても、有益な結果につながる可能性が高いから」ということです。
「とりあえずホームページを外国語にしておく」「とりあえずランディングページを外国語にしておく」まずはそれだけで十分です。
たったそれだけでもおそらく、予想以上の数の問い合わせが入り始めるはずです。あとはその内容をひとつひとつ、吟味しながら対応していけば良いのです。
まとめ
以上、「日本企業は今すぐ【海外取引・海外進出するべき】5つの理由」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。