効果的な【マニュアル(取扱説明書)の翻訳方法】

翻訳外注ノウハウ

製品やサービスの海外展開で必ず必要となるのが、マニュアル(取扱説明書)の多言語翻訳です。マニュアル(取扱説明書)は表現や用語の統一など、正確さが求められる文書です。その内容に間違いがあると場合によっては人命に関わることもあるため、翻訳は慎重に行なう必要があります。それでは、マニュアル(取扱説明書)の翻訳で統一性や正確さを保つにはどのようなこと注意すればよいのでしょうか?また、翻訳の工数削減にはどうすればよいのでしょうか?本コラムでそれらポイントについて解説します。

マニュアル(取扱説明書)の制作に必須な二つの要素

用語を統一する

マニュアル(取扱説明書)を作る際、「用語の統一」は重要な要素です。小説などの文芸作品では同じ言葉を異なる言葉でさまざまに表現することがありますが、マニュアル(取扱説明書)ではわかりやすさが命なので、用語の不統一など、読者を混乱させる要素はできるだけ省くようにしましょう。

スタイルガイドを遵守する

スタイルガイドとは、文章の表現や表記に関するルールを独自にまとめたルールブックで、文書のイメージや方向性に関する認識を揃えるために必要なものです。翻訳した後に表現や表記の方向性が合っていないことが判明し、翻訳をやり直すことになると、納期は遅れ、料金も加算されてしまいますので、依頼主と依頼先、双方の方向性をすり合わせるためにも、スタイルガイドがある場合は必ず依頼先に共有しましょう。

翻訳前に確認すべきポイント

マニュアル(取扱説明書)の翻訳を依頼する際、「これを翻訳してください」と言って原稿だけを提供するのではなく、参考情報も一緒に提供したほうが翻訳の品質は高まります。参考情報や資料の数が多過ぎるのは考えものですが、翻訳の品質向上に役立つ情報には次のようなものがあります。

誰が読むのか?

マニュアル(取扱説明書)には大きく、サービスマニュアルとユーザーマニュアルの二種類あります。サービスマニュアルは技術者向けユーザーマニュアルは一般消費者向けの、製品を買ったときに一緒に同梱されているマニュアル(取扱説明書)のことです。

サービスマニュアルとユーザーマニュアルでは読者がそれを読む目的も変わりますので、「内容についてどの程度の知識がある読者をターゲットにしているか」という情報を提供できれば、マニュアル(取扱説明書)制作者の意図が正しく反映された、良い翻訳に仕上がります。

どこを翻訳するのか?

「翻訳してほしい」と言って原稿を渡すだけだと、翻訳会社や翻訳者は基本的に「そこに含まれるテキストすべてを翻訳する必要がある」と考えてしまいます。ゆえにもし翻訳する必要がない箇所がある場合は、前もってそのことを伝えておけば翻訳料金を抑えることができます。一方、翻訳した後に「この部分は翻訳する必要がなかった」と言っても、すでに翻訳し終えたところは課金されてしまいます。

「テキストが中に含まれているが、それを含む全体が画像化されているので上書きできない」図や表などが原稿に含まれている場合、そこに含まれるテキストも翻訳する必要があるかどうか、も翻訳依頼先にあらかじめ伝えておけば翻訳作業がよりスムーズになります。

参考資料があるか?

自社内で決められた用語(定訳)がある場合は、Excelなどに原文と翻訳文を併記した「対訳表(たいやくひょう)」を先に作って渡しておくことで、翻訳の工数を抑えることができると同時に用語の統一が図り易くなります。マニュアル(取扱説明書)を翻訳するときよく使われる翻訳支援ツールに「対訳表」に含まれる用語を登録しておくと、翻訳作業中に自動的に対訳が表示されるので「違う用語に翻訳してしまった」というミスを防ぐことができます

また、同じ製品や類似した製品のマニュアル(取扱説明書)を過去に翻訳したものがあれば、それも対訳表と同様、参考資料としてあらかじめ提供することで表現の統一を図ることができます。

翻訳支援ツールの活用

翻訳支援ツール(CATツール:Computer Assisted Translation、コンピュータ支援翻訳)とは、翻訳者が効率的に、正確な翻訳を行なうために使うソフトウェアのことです(自動翻訳(機械翻訳)とは異なります)。SDL社が開発、販売しているTrados(トラドス)が代表的ですが、その特長は次のとおりです。

文言の統一が簡単

翻訳支援ツールを使って翻訳をすると、異なるページに同一の文言があった場合に「前回どのように翻訳しているか」がひとめでわかるので、用語や表現の統一が簡単にできます。マニュアル(取扱説明書)には同じ文言が繰り返し使用されることが多いため、翻訳支援ツールを使って翻訳するに適した文書と言えます。

InDesignやFramemakerで作った原稿もそのまま翻訳できる

翻訳支援ツールでは、Adobe社のInDesignやFramemakerで作られた原稿でも、そのまま取り込んで翻訳を上書きすることができます。翻訳する前と翻訳した後では一般的に文章の長さが変わるものですが、同じ内容を示す文章でもその長さは言語によってさまざまなので、翻訳した際にレイアウトがずれてしまうことがあります。しかし、翻訳支援ツールを使えばこのようなズレをひとつひとつ確認しながら修正する必要がないため、工数を抑えることができるのです。

尚、翻訳支援ツールを使って翻訳すると、一文ずつ対になったデータベース(翻訳メモリ)が作成されますが、これを保管しておけば、類似製品のマニュアルを翻訳する際にそれを利活用することで、次回の翻訳に掛かる料金や納期を抑えることができるので便利です。また、翻訳支援ツールを使って翻訳した場合だけですが、「翻訳を納品するときに、翻訳メモリも一緒に納品してほしい」と頼めば翻訳会社や翻訳者が応じてくれるでしょう。

わかりやすい原稿を提供する

主語と述語の関係性を明確に

日本語の文章では主語が省かれることがよくあります。しかし主語がない文章では、翻訳するときに主語を取り違える可能性が高まります。参考資料があればそれを見て確認することもできますが、原稿に主語がきちんと記載されているほうが翻訳作業をよりスムーズに進めることができます。

できるだけ肯定形で記載する

読者の理解度を高めるため、マニュアル(取扱説明書)はできるだけ肯定形の文章で作りましょう。二重否定などは読者の誤解を招く恐れがあるだけでなく、翻訳するときに翻訳者が意味を取り違えるリスクもありますので、手順を説明する文章などは特に肯定形を意識したほうが良いでしょう。

最後に

製品やサービス販売に欠かせないマニュアル(取扱説明書)は、ユーザーが安心して使用・操作するためにも正確で読み易いものでなければなりません。翻訳会社や翻訳者に原稿を送る際、スタイルガイドや参考資料、定訳表などを一緒に提供することも是非ご検討ください。

まとめ

以上、「効果的な【マニュアル(取扱説明書)の翻訳方法】】」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界120か国語で行ないます。

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