【徹底解説】世界の言語、その使用人口と使用状況

翻訳外注ノウハウ

世界には実に多くの言語が存在しています。それぞれの言語は地域に由来するものですが、実際に使用されている地域はその由来の地にかぎりません。

たとえば、英語は公用語として世界中で使用され、中国語も同じく華僑の人々が住む地域であれば世界中のどこででも使用されています。

また、言語は生き物です。大航海時代のイギリス(大英帝国)やスペインの影響によりそれらの言語が世界中に広まりましたが、一方では使用する人口の減少により絶滅していった言語も膨大にあります。

本記事は、キリスト教系の少数言語の研究団体国際SILの公開しているウェブサイトおよび出版物Ethnologueが公表している内容に基づき、「世界の言語・使用人口と使用状況」など外国語や外国人と接する際に役立つ視点を養うことを目的にお届けします。

世界で使用されている言語と人口

世界では現在7,139種類の言語が使用されています。

また、約40%の言語が絶滅の危機に瀕しており、その多くは話者数が1,000人以下となっています。

その一方で、わずか23の言語世界人口の半分以上を占めています。

世界でもっとも使用されている言語

順位母国語人口会話言語人口
1位北京語(中国語)9.21億人英語13.48億人
2位スペイン語4.71億人北京語(中国語)11.2億人
3位英語3.7億人ヒンディー語6億人
4位ヒンディー語3.42億人スペイン語5.42億人

※「会話に使用されている言語・人口」には「母国語以外で使用している人口」が含まれます

中国語のひとつである北京語は、それを母語として話す人の数だけをみると、世界で最も使用人口が多い言語です。これは中国の人口の多さによるものです。北京語は中国のマクロ言語の中で最大のものと考えられています。

マクロ言語とは、文字体系や文学を共有しているために「中国語」とみなされる13の言語の集まりです。他の有名な例としては、呉語や広東語などがあります。

第二言語、第三言語、口頭言語といった会話で使用される人の数をみると、英語が世界で最も使用人口が多い言語です。これはイギリスの植民地支配の影響および、その後のアメリカ文化の拡大によるものです。

北京語(中国語)には集中、英語には分散という特徴があります。北京語(中国語)の規模は主にそれを母国語として使用する人の数によるものなので、使用者の多いアジアを中心とした限られた地域に集中しているのは当然でしょう。

一方英語は、母国語として使用する以外の人の数が多いため、北京語(中国語)と比較してはるかに多くの国、特にアフリカに於いても使用されています。英語146か国で話されており、北京語(中国語)の38か国とは大きな違いがあります。

世界で話されている言語TOP20

世界で会話に使用されている言語、前述の1位から4位を含む、TOP20は次のとおりです。

順位言語使用人口
1位英語13.48億人
2位北京語(中国語)11.2億人
3位ヒンディー語(インド系)6億人
4位スペイン語5.42億人
5位アラビア語2.74億人
6位ベンガル語(インド系)2.68億人
7位フランス語2.67億人
8位ロシア語2.58億人
9位ポルトガル語2.58億人
10位ウルドゥー語(インド系)2.3億人
11位インドネシア語1.99億人
12位ドイツ語1.35億人
13位日本語1.26億人
14位マラーティー語(インド系)0.99億人
15位テルグ語(インド系)0.96億人
16位トルコ語0.88億人
17位タミル語(インド系)0.85億人
18位広東語(中国語)0.85億人
19位上海語(中国語)0.82億人
20位韓国語0.82億人

地域由来の言語比率

地域別由来言語の使用比率

それぞれの地域に由来する言語の使用比率は次のとおりです。

地域比率
アジア32%
アフリカ30%
太平洋18.5%
アメリカ15%
ヨーロッパ4%

上図は、言語がどこの地域に由来するものかを示していますが、そのほとんどはアフリカ、アジア、太平洋地域で、実に84%の人がそれらの地域に由来する言語を使用しています。

由来の元となる言語が最も多いのはアジアで、それに続くのがアフリカです。これら2つの地域を合わせると、世界の言語の2/3近くを占めることになります。

ある地域でどれだけの言語が生まれたかは、地形、文化史、古代文明の広がりなどさまざまな要因が絡み合った結果です。

地域別由来の言語数

それぞれの地域に由来する言語の数は次のとおりです。

地域言語数
アジア2,294言語
アフリカ2,144言語
太平洋1,313言語
アメリカ1,061言語
ヨーロッパ287言語

地域別由来の言語使用人口

それぞれの地域に由来する言語の使用人口は次のとおりです。

地域使用人口
アジア39.8億人
ヨーロッパ17.2億人
アフリカ8.87億人
アメリカ0.51億人
太平洋0.07億人

地域別の先住民族言語数とその使用人口は上図のとおりですが、興味深い結果を示しています。

アジアやヨーロッパの言語を使っている人が圧倒的に多いのは、特定の地域の人口の多さや近年の植民地拡大を考えると当然のことかもしれませんが、世界の言語の18.5%を占める太平洋地域の言語は使用している人が非常に少なく、地域別では最下位です。

  • 上の2つの図は、世界の各地域において、その地域の言語の数(上図)と、その言語を話す人の数(下図)を比較したものです。
  • 使用人口は、その言語を使用する人が実際にどこに住んでいるかではなく、その言語がどこから来ているかを表しています。
  • 例えば、中国に住んでいる英語を話す男性は、ヨーロッパに分類されます

言語数が最も多い国

言語数の多い国TOP10

現在、最も多くの言語が話されている上位10か国は次のとおりです。

順位言語数
1位パプアニューギニア840
2位インドネシア712
3位ナイジェリア522
4位インド454
5位アメリカ326
6位オーストラリア314
7位中国308
8位メキシコ292
9位カメルーン275
10位ブラジル221

パプアニューギニアは世界で最も多くの言語を持ち、その数は800を超えており、ヨーロッパで話されている言語の2倍以上です。また、インドネシアも700以上の言語を持っています。

このように、言語は世界各地に偏在しています。この傾向は、地域ごとに見ても、国ごとに見ても明らかです。

世界の言語族(言語ファミリー)

言語族別使用地域と使用言語数

同一の起源から派生・発達したと認められる同系統の言語の集まりである語族の使用地域や、属する言語の数は次のとおりです。

語族使用地域言語数
ニジェール・コンゴ語族サハラ砂漠以南アフリカ1,535
オーストロネシア語族台湾、東南アジア島嶼部、太平洋の島々、マダガスカル1,225
ニューギニア横断語族ニューギニア、周辺の島477
シノ・チベット語族カシミール、チベット、中国大陸、台湾、中央アジア、東南アジア455
インド・ヨーロッパ語族ヨーロッパ、南アジア、北アジア、アフリカ、南アメリカ、北アメリカ、オセアニア445
アフロ・アジア語族アラビア半島を中心とする西アジア、北アフリカ371
その他 2,631

言語数の多い6つの語族は、ニジェール・コンゴ語族、オーストロネシア語族、ニューギニア横断語族、シノ・チベット語族、インド・ヨーロッパ語族、アフロ・アジア語族です。

142の異なる言語族の中で、この6つの言語族が世界の主要な言語族として際立っています。この6つの語族は世界の主要な語族であり、世界各地で見られ、地域や国によって独自の広がりを見せています。これらの語族は、それぞれ世界の言語の5%以上を占めており、合わせて全言語の3分の2を占めています。

ニジェール・コンゴ語族とオーストロネシア語族の2大語族はそれぞれ1,000以上の言語を擁していますが、これはサハラ以南のアフリカと東南アジアにおける驚くべき言語の多様性によるものです。

言語族別使用地域と使用人口

同一の起源から派生・発達したと認められる同系統の言語の集まりである語族の使用地域や、属する言語の使用人口は次のとおりです。

語族使用地域使用人口
インド・ヨーロッパ語族ヨーロッパ、南アジア、北アジア、アフリカ、南アメリカ、北アメリカ、オセアニア32.9億人
シノ・チベット語族カシミール、チベット、中国大陸、台湾、中央アジア、東南アジア14億人
アフロ・アジア語族アラビア半島を中心とする西アジア、北アフリカ5.83億人
ニジェール・コンゴ語族サハラ砂漠以南アフリカ5.71億人
オーストロネシア語族台湾、東南アジア島嶼部、太平洋の島々、マダガスカル3.27億人
ニューギニア横断語族ニューギニア、周辺の島0.04億人
その他 10.1億人

この6つの語族は、世界の人口の6分の5を占めています。インドヨーロッパ語族とシノチベット語族の2つの語族は、使用者の数が46億人を超え、最も大きな語族です。英語はインド・ヨーロッパ語族、中国語(北京語)はシノ・チベット語族に分類されます。

絶滅の危機に瀕している言語

現在絶滅の危機に瀕している言語の数は3,018と言われています。

言語の総数同様、この数も常に変化しています。ある言語が絶滅の危機に瀕するのは、その言語の使用者がもっとメジャー(支配的)な言語を自分の子供に教えたり話したりするようになったときです。

絶滅の危機にある言語は、その性質上、使用者がほとんどいないことが多く、情報を得るのが難しい場合があります。また、その言語の最後の使用者が、公的な記録がないまま亡くなってしまうこともあります。

言語の生存活動

現存する言語の状態別の比率は次のとおりです。

言語の状態比率
安定的に維持されている50.25%
絶滅の危機に瀕している42.27%
制度上使用を定められている言語7.48%

約42%の言語が絶滅の危機に瀕していますが、安定的に維持されている言語も多数あります。安定的に維持されている言語とは、コミュニティのすべての子供たちがその言語を学び、使用している状態を指します。

この状況が変化すると、安定的に維持されている言語もたちまち絶滅へ向けて減少し始める可能性があります。

尚、政府、学校、マスメディアが採用している制度上使用が定められている言語は、絶滅の可能性が最も低いものです。その多くは第二言語として使用されています。

まとめ

以上、「【徹底解説】世界の言語、その使用人口と使用状況」でしたがいかがでしたでしょうか。

冒頭でお断わりしたとおり、本記事はEthnologueが公表している内容に基づくものですが、言語の数を正確に数えることはほぼ不可能と言われています。

また、言語の定義も容易ではなく、ある言葉をほかとは異なる言語とすべき方言とすべきかといった議論は常に行われているようです。

ゆえに本記事はその正確性を追求するものではなく、世界に存在する言語、数、そしてそれを使用して生活している人々の多寡に思いを馳せ、ビジネスに生かすための参考情報として活用いただければとの思いで執筆したものです。

少しでもお役に立てる内容でしたら幸いです。また、もし外国語や外国語人材のことでお悩みでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせボタン